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偶然
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sideリラ
ルシアス様の胸に飛び込むと、ルシアス様は私のことをギュッと抱きしめてくれた。
「ルシアス様…ルシアス様…」
ルシアス様が来てくれた。
もう大丈夫だ、もう誰も傷つかない。
ルシアス様が絶対守ってくれる。
「もう大丈夫だ、よく頑張ったな。」
涙が溢れた。
ルシアス様の腕の中は本当に温かい。
この人の腕の中は安心する。
「怪我してないか?ちゃんと顔を見せろ。」
この人の声は私を意のままに操り言うことを聞かせる。
「ったく、俺の犬っころを泥まみれにするなんてやっぱりアイツは串刺しの刑で正解だったな。」
今は私を笑わせてくれた。
「大丈夫そうだな。よし、じゃあそこに座ってろ、でかい方の犬っころも助けてくる。」
よかった、ルディも助けてくれるみたいだ。
私は言われた通りルシアス様が指したところに膝を抱えて座った。
*******************
sideルディ
「おいこら、犬っころ。」
コイツ、俺を犬呼ばわりするなんて。
「お前それでも本当にタマついてんのか?」
化け物に投げた剣を引き抜き俺に聞いたルシアス・ランドルフ。
今の俺は唸ることしかできない。
「女1人守りきれないなら夜に連れ回すな。」
正論だった。
返す言葉がない。
確かに、この男が来なかったらリラは今頃どうなっていただろう。
もしかしたら、その辺で真っ二つになっていたかもしれない。
「それと、この罠はそこらかしこにしかけられている。群れの連中にこの森には近づくなと言っておけ。」
ルシアス・ランドルフは血塗れの剣を一振りして簡単に罠の魔法を切った。
「あぁ、それからお前ともう1匹のラルフ?だったな、お前ら何ヶ月か遠くに行ってろ。誰かは分かっていないがデカい組織がお前らを狙ってる。俺がその組織を潰すまでここへは戻ってくるな。」
言い返したいけど、ここで人の姿に戻れば全裸になる。
リラがいたら流石にできない。
「片付けとその他諸々は引き受けてやるからさっさと帰れ。」
*******************
sideルシアス
俺の言葉を十分に理解した狼は夜の闇に消えた。
昼間見たときはアホ面下げていたが、思ったよりアホでもないらしい。
とりあえず分かるところだけ、人狼の罠を解除して行くか。
とは言ってもリラをここに1人置き去りにはできないからな……。
近くにルルドがいるから送らせるか?
いや、アイツがリラを俺の家に送る道理がない。
「リラ。」
目の前には行けばリラは驚いていた。
「い、今あそこに…!」
あぁ、少し離れたところにいた。
こんな距離簡単に詰めれる。
「俺はヴァンパイアだ。これくらい訳ない。」
それより…
「今すぐ家に帰りたいか、俺と少し血塗れの散歩してから帰りたいか、どっちだ?」
今すぐ帰りたいと言えば俺が家まで送ってやる。
散歩なら抱っこでもして仕事を片付ける。
「私は…ルシアス様といたい、です//////1人だと、怖いから…/////」
お前…なんだよ。
どこで覚えてくるんだ?
その仕草に、声に、視線に。
固まった俺を見て、リラは不安を隠しきれていなかった。
「えっと…あの、ルシアス様の側が1番安全…かなって思っただけで、だからって迷惑はかけませんよ!家の方が安全ですよね!ルシアス様の家なら多分怖くないだろうし、私やっぱり帰りますね!」
リラは早口で話して立ち上がった。
俺は固まってる場合じゃない。
「迷惑だなんて思ってねぇよ、お前の言う通り俺の側が1番安全だ。」
俺の言葉にリラは柔らかく笑う。
「じゃあ…お散歩に連れて行ってください////」
その安心したような、気の抜けたような笑顔に取り憑かれている自分が怖い。
そんな顔すんなよ、お前を喰いたくなる。
*****************
sideリラ
ルシアス様は私を片手に抱き上げて、死体をもう片方の手でずるずると引き摺りながら歩いていた。
これは、あの時の誘拐の時と同じだ。
あの時もこうして死体を引きずっていたっけ。
「ルシアス様…」
さっきから聞きたいことがある。
「ん?」
声が優しい。
いじめてくる様子はなさそう。
「どうしてあの場にいたんですか?」
偶然?それにしては完璧なタイミングだった。
「偶然だ、今回は本当に。俺は少し離れたところで同じものを狩っていた。片付けようと思ってたら気配がしてここまで来た。」
聞けば聞くほど偶然だった。
「私、本当に運がいいです。」
あの場にルシアス様がいなかったら私は二つになって地面に転がっていただろうから。
「あぁ、だからもうあの狼とは会うな。」
ん???
「あ…あの、それとこれとはどう関係が??」
ルシアス様のいきなり発言に私は驚いた。
「お前、俺以外の男といると不幸になる。そう言う相が出てんだよ。」
ん?占い??
「あ、あの、ルシアス様?」
なんて言っていいか。
「今日から30年くらいは恋人は作らない方がいい。結婚もしない方がいいな。不幸になる。だからやめとけ。けど占い師兼騎士兼王子の男と一緒にいるといいことがたくさんある。だから、あの狼とはもう会うな。」
なんともめちゃくちゃな…
ねぇ、ルシアス様。
こんなことを言ったら怒るかもしれないけど……
「妬いてます?」
ルシアス様の顔を見ると、ルシアス様は私から顔を背けてしまった。
「馬鹿なこと言うな。」
そう言うけどルシアス様の首筋と耳は真っ赤だ。
「ふふ/////はーい、ごめんなさい。」
剣を持てばたちまち強い人なのに、ルシアス様は案外可愛い。
ルシアス様の胸に飛び込むと、ルシアス様は私のことをギュッと抱きしめてくれた。
「ルシアス様…ルシアス様…」
ルシアス様が来てくれた。
もう大丈夫だ、もう誰も傷つかない。
ルシアス様が絶対守ってくれる。
「もう大丈夫だ、よく頑張ったな。」
涙が溢れた。
ルシアス様の腕の中は本当に温かい。
この人の腕の中は安心する。
「怪我してないか?ちゃんと顔を見せろ。」
この人の声は私を意のままに操り言うことを聞かせる。
「ったく、俺の犬っころを泥まみれにするなんてやっぱりアイツは串刺しの刑で正解だったな。」
今は私を笑わせてくれた。
「大丈夫そうだな。よし、じゃあそこに座ってろ、でかい方の犬っころも助けてくる。」
よかった、ルディも助けてくれるみたいだ。
私は言われた通りルシアス様が指したところに膝を抱えて座った。
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sideルディ
「おいこら、犬っころ。」
コイツ、俺を犬呼ばわりするなんて。
「お前それでも本当にタマついてんのか?」
化け物に投げた剣を引き抜き俺に聞いたルシアス・ランドルフ。
今の俺は唸ることしかできない。
「女1人守りきれないなら夜に連れ回すな。」
正論だった。
返す言葉がない。
確かに、この男が来なかったらリラは今頃どうなっていただろう。
もしかしたら、その辺で真っ二つになっていたかもしれない。
「それと、この罠はそこらかしこにしかけられている。群れの連中にこの森には近づくなと言っておけ。」
ルシアス・ランドルフは血塗れの剣を一振りして簡単に罠の魔法を切った。
「あぁ、それからお前ともう1匹のラルフ?だったな、お前ら何ヶ月か遠くに行ってろ。誰かは分かっていないがデカい組織がお前らを狙ってる。俺がその組織を潰すまでここへは戻ってくるな。」
言い返したいけど、ここで人の姿に戻れば全裸になる。
リラがいたら流石にできない。
「片付けとその他諸々は引き受けてやるからさっさと帰れ。」
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sideルシアス
俺の言葉を十分に理解した狼は夜の闇に消えた。
昼間見たときはアホ面下げていたが、思ったよりアホでもないらしい。
とりあえず分かるところだけ、人狼の罠を解除して行くか。
とは言ってもリラをここに1人置き去りにはできないからな……。
近くにルルドがいるから送らせるか?
いや、アイツがリラを俺の家に送る道理がない。
「リラ。」
目の前には行けばリラは驚いていた。
「い、今あそこに…!」
あぁ、少し離れたところにいた。
こんな距離簡単に詰めれる。
「俺はヴァンパイアだ。これくらい訳ない。」
それより…
「今すぐ家に帰りたいか、俺と少し血塗れの散歩してから帰りたいか、どっちだ?」
今すぐ帰りたいと言えば俺が家まで送ってやる。
散歩なら抱っこでもして仕事を片付ける。
「私は…ルシアス様といたい、です//////1人だと、怖いから…/////」
お前…なんだよ。
どこで覚えてくるんだ?
その仕草に、声に、視線に。
固まった俺を見て、リラは不安を隠しきれていなかった。
「えっと…あの、ルシアス様の側が1番安全…かなって思っただけで、だからって迷惑はかけませんよ!家の方が安全ですよね!ルシアス様の家なら多分怖くないだろうし、私やっぱり帰りますね!」
リラは早口で話して立ち上がった。
俺は固まってる場合じゃない。
「迷惑だなんて思ってねぇよ、お前の言う通り俺の側が1番安全だ。」
俺の言葉にリラは柔らかく笑う。
「じゃあ…お散歩に連れて行ってください////」
その安心したような、気の抜けたような笑顔に取り憑かれている自分が怖い。
そんな顔すんなよ、お前を喰いたくなる。
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sideリラ
ルシアス様は私を片手に抱き上げて、死体をもう片方の手でずるずると引き摺りながら歩いていた。
これは、あの時の誘拐の時と同じだ。
あの時もこうして死体を引きずっていたっけ。
「ルシアス様…」
さっきから聞きたいことがある。
「ん?」
声が優しい。
いじめてくる様子はなさそう。
「どうしてあの場にいたんですか?」
偶然?それにしては完璧なタイミングだった。
「偶然だ、今回は本当に。俺は少し離れたところで同じものを狩っていた。片付けようと思ってたら気配がしてここまで来た。」
聞けば聞くほど偶然だった。
「私、本当に運がいいです。」
あの場にルシアス様がいなかったら私は二つになって地面に転がっていただろうから。
「あぁ、だからもうあの狼とは会うな。」
ん???
「あ…あの、それとこれとはどう関係が??」
ルシアス様のいきなり発言に私は驚いた。
「お前、俺以外の男といると不幸になる。そう言う相が出てんだよ。」
ん?占い??
「あ、あの、ルシアス様?」
なんて言っていいか。
「今日から30年くらいは恋人は作らない方がいい。結婚もしない方がいいな。不幸になる。だからやめとけ。けど占い師兼騎士兼王子の男と一緒にいるといいことがたくさんある。だから、あの狼とはもう会うな。」
なんともめちゃくちゃな…
ねぇ、ルシアス様。
こんなことを言ったら怒るかもしれないけど……
「妬いてます?」
ルシアス様の顔を見ると、ルシアス様は私から顔を背けてしまった。
「馬鹿なこと言うな。」
そう言うけどルシアス様の首筋と耳は真っ赤だ。
「ふふ/////はーい、ごめんなさい。」
剣を持てばたちまち強い人なのに、ルシアス様は案外可愛い。
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