生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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答え合わせ

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sideリラ

ルシアス様、昼間からそんなに飲んで大丈夫?


もうボトルが半分空いた。


「ルシアス様、酔っちゃいますよ?」


酔ったルシアス様を運ぶ自信はない。


「酔うわけないだろ、こんな酒で。水みたいなもんだ。」


こんな酒??水?まさかもう酔ってるとか?


「本当に大丈夫ですか??」


まさか水とお酒の違いも分からないくらい酔いが回ってたりして……


「あぁ、水飲んで酔っ払ってたらキリがねぇだろ?」


いや、確かにそうなんですけどね…


「じゃあ私にも一口ください、お酒飲んでみたいです。」

ルシアス様が水って言うなら私も安心して飲める。

「お前にはまだ早い。」


水なのに!?


「早くないです!私は大人ですよ!」


お酒くらいちゃんと飲める!!

そしたら、ルシアス様とも一緒にお酒を楽しめるのに…


「やめとけ、お前に酒はまだ早い。」


またそうやって子供扱いして!


「早くないです!」


私もムキになってしまう。


こう言うところが子供なんだ。

だからルシアス様を振り向かせられない。


「お前が節度を守って飲めるようになるまで待っててやるからそう焦るな。」


この人はどうしてこんなに私の心をかき乱すんだろうか。


こんなこと言われたら期待する。

長い間、一緒にいられるんだって。


「だって…焦らないと、私はルシアス様よりも動きが遅いし、年だって離れてるし、何もかも追いつけません。せめてお酒くらいは……。」


それに、ルシアス様にいつ好きな人ができるか分からないでしょ?


「犬っころは俺に引っ張り回されてりゃいいんだ。無理して追いつかなくていい。それに俺は一度拾った犬を捨てるような酷い真似はしない。安心してゆっくりついて来い。」


本当にいいことを言ってる。


心がじんわりと温まるくらい。


ただね、ルシアス様……


「私、犬じゃないんですけど。」


*******************

sideリラ

「あっははは!!!ルシアス様なんか残念!!」


今日言われたことを更衣室でダリアちゃんに話すと、ダリアちゃんは大笑い。


「言ってること格好いいのに、所詮私は犬止まり…。あ、それより!ラルフとどうだった!?」


私はそこがきになるよ!


「え!?え??っと?どう?とかないかな?うん、あの…ちゃんと見ててくれた、かな?えへへ////」


ただ単に見られていたならこんな反応はしない。

きっと熱い視線が送られてきたのかな?


「よかったね、ダリアちゃん!」


ダリアちゃんは顔を真っ赤にして嬉しそうに笑う。


「ま、まぁね/////」


可愛いな、本当に可愛い。


キラキラしてる。


2人の恋が叶えばいいのに。


「それからね、ダリアちゃん。私の好きな人わかった。」


自分のことなのに気付くの遅いよね。


「あ!ちょっと待って!せーので言おう!!これでフェアだよ!」


親友の答えは誰だろう。


これで正解ならダリアちゃんの洞察力はすごい。


「わかった、せーの!!」

「「ルシアス様!」」


同じ答えに私たちは感動した。


「やったー!!正解!さすが私リラちゃんの親友!」

「さすがダリアちゃん!!本当に大好き!!」


2人で大はしゃぎ。

恋の話となると楽しくて仕方ない。


「これは語らないといけないね、次の休みに一緒に遊ぼ!もちろん私たち2人だけで!」


2人で遊ぶのは久しぶりだ。


「うん!遊ぶ!」


正直、デートより嬉しいかも。


「じゃあ次の休みは朝7時集合ね!」

「早っ!でもいいよ!いっぱい話そ!」


きっと私たちはどんなに早起きしても時間が足りなくなる。


「どこで落ち合う?」


私は土地勘がないからできるだけわかりやすいとこがいいな。


ダリアちゃんはそれも含めて考えてくれてる。


「じゃあここでよくない??」


考えたのか、手の込んだ手抜きか、誰にも分からないけど…


「賛成!」

楽しみができた。


これで一層仕事も頑張れる!


「じゃあ私ラルフとルディと一緒に帰るから!また明日ね!」


明日も楽しみだな。


「うん!また明日!気をつけてね!」


ダリアちゃんが笑顔で手を振りながら更衣室を出て行く。


私もルシアス様を待たせないようにさっさと着替えなくちゃ!











「お待たせしました!」


ダリアちゃんと少し盛り上がったけど、その後急いだからあまり遅れてない、はず!


「やっと来たか、どうせ服の着方忘れたんだろ?」


なんて失礼な人!

けど、私の好きな人だ。


「ルシアス様じゃあるまいしそんなことないですよ~。」


私もここ最近かわすのが上手くなってきた。


「言うようになったな、犬っころ。」


生意気だと怒ってくれていいですよ、ルシアス様。


「はい、いちいち気にしてたら長く一緒にいられませんから!」


私はルシアス様が許す限り、近くにいたい。


恋人じゃなくていい、犬でいい。


ルシアス様を笑顔にできる存在でありたい。


その為にはルシアス様と同じように憎まれ口くらい叩けないと。


「そうだな、たまにはいいこと言うじゃねぇか。帰ったらおやつでもやるよ。」


叶わない恋だけど、少しでも一緒にいられるように、楽しい思い出を作れるように私頑張る!!
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