生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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用心棒

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sideリラ


結局2人の激しい口喧嘩はあれから2時間続いた。


そしてようやく聞き出したのは、ライアスに拾われたときにはすでにこの模様があったらしい。   
 

それだけを聞くためにいろいろ大変だった。

だけどライアスに会って分かったことがある。

呪いが解けて、ライアスへの恋心が消えていたこと。

ライアスが嫌いなわけじゃない、むしろ好き。

けど、その好きの意味は少し違う。

ルシアス様とはまるで違うものだ。

散々2人の口喧嘩を聞く羽目になったけど、やっぱりライアスに会いに行ってよかった。










あれから数日経ち、私は困惑に満ちている。


「あぁ可愛い、あぁ、可愛い。急性可愛い中毒で死にそうだぜ…。」

「今日からよろしく。」


私の目の前にはピシッとカトレアの制服を着たルディとラルフがいる。


「ルディ!もっとちゃんとしてよ!今日から用心棒なんでしょ!?」


ルディが私にデレデレしてダリアちゃんが怒ってる。


あの日、私が寝てしまってみんな先に帰ったからこうして日を空けずに会えてよかった。


「ダリアの言う通り、シャキッとなさい。ルディ。」


ちなみにここにはマリア様もいる。


「話はライアス様に聞いているわ。ダリアもリラも変なのに付き纏われていたらしいわね。どうして私に言わなかったのかしら?」


私とダリアちゃんはいきなりの嘘の設定に驚いた。


「え…っと…その…」

「マリア様に心配かけたくなかったんです!!」


私が挙動不審だったから、ダリアちゃんがそれをカバーするように大声を上げた。


「今度から何かあればちゃんと言うのよ?あなたたちは私の大切な大切な商品だもの。ふざけた真似をする客は私が最終的に捻り潰すわ。」


恐ろしい人だ、この人は冗談を一つも言っていない。


「さすがマリア様!頼もしいです!」


ダリアちゃんも苦笑いだ。


「まぁ、そう言うことだから。用心棒のお二人は何かあれば私に突き出して頂戴、場合によっては私がその辺の湖に沈めるわ。」


マリア様はサラッと恐ろしいことを言ってこの部屋を去った。


「…あの人、中身騎士かなんかか?」


ルディの言いたいことは痛いほど分かる。


「マリア様、格好いいよね。」


本当に憧れるよ。


「それはいいとして、俺はダリアに付く。それでいいか?」


ラルフは本当に分かりやすい。

ダリアちゃんの担当になりたいって顔に書いてある。

私とルディは目を見合わせてこっそりニヤニヤした。


「もちろんでございますよ。ねぇ、リラ様。」

「えぇ。もちろんですわ、ルディ様。」


私とルディがふざけているとラルフは呆れたようにしてダリアちゃんを連れて踊り専用のフロアへ向かう。


この部屋を出る途中、ダリアちゃんが私に向かって手を振ったときの笑顔が可愛すぎて気絶するかと思った。


「リラ、毎日楽しみだな!」


確かに、ルディがいると毎日楽しそう。


「うん!一緒に頑張ろうね!」


私達が和気あいあいと話していると、今度はライさんが来た。


「ライさん、おはようございます!」

ルディは先輩に元気よく挨拶をする。


「おはようございます!」

私もそれに釣られて挨拶をした。


「おはよう。ルディ、だっけ?このピアス貸すから仕事中は付けて。何かあれば話しかけて、そしたら俺が対応する。用心棒だけど、無理はしないように。」


やっぱりライさんは頼もしい。


「はい!」


もちろん元気よく返事をするルディも頼もしい。


「じゃあ、そう言うことで今日からよろしく。」

「はい!よろしくお願いします!」

ルディはすごい。


誰とでも仲良くできるタイプだ。


ルシアス様を除いてね。


ライさんがカウンターに戻ったらまた可愛いの雨が降ってくる。


「可愛い~リラ可愛い~可愛いー可愛いー」


ルディは本当にそれしか言えないのかな…?


悪い気はしないし、まぁいっか。


*******************

sideルディ


ドアの前に何時間も立ちっぱなし。

何がキツいって、ここから動けないこと。

山の中を走り回りたい。

けど……


「ライさん、お願いします!」

「はい、これ。」


1日中リラを眺められてさらには金までもらえる。

正直待遇は悪くない。


ニコニコ笑って可愛いなぁ…

俺のお嫁さんになってくれないかな~


「まさか面接合格か?面接官は目玉が付いてなかったんだな。」


この嫌な声は1人しかいない。


「不審者は立ち入り禁止だよ。」


ルシアス・ランドルフ、俺の天敵だ。


「不審者はお前だろ、1人でニヤニヤしやがって。」


俺はニヤニヤしてたんじゃない。


「今癒されてる途中!邪魔すんなよな!そして帰れ!」


騎士団長って暇なのか??


「客に帰れとは何事だ?それより退け、邪魔だ。」


怪しい奴はつまみ出していいって聞いてるから是非そうしよう。


「だーかーらー、不審者は通さないの、お分かり?」

「あ?」


そんなに凄んでも怖くない。


「お帰りいただけますかー??」


俺のこのオッドアイも本気で睨めばそれなりに迫力がある。


「ルシアス様!」


可愛い声がして、こっちに駆け寄ってくる音がする。


「悪いな、野良犬。帰ろうと思ったが呼ばれちまったから行ってくる。」


そしてこの男は本当にむかつく!!


「ルディ、ずっと立ちっぱなしだけど大丈夫?足痛くない??」


振り返ると天使がいた。


「うん。痛くない、本当に可愛いね、君は。」


俺は気絶しそうだよ。


そして毒気が抜かれた、もう好きにしてくれ。


「本当に大丈夫?なんか目が座って…」

「おかしな奴には近づかないのが1番だ。ほら、酒持っていつもの部屋来い。」


はぁぁぁ!?


「待て!まだ話は終わってないぞ!!」

憎き吸血野郎はリラの肩を抱き店の中に進む。


「ルシアス様、あの、ルディが何か「気のせいだ。いくぞ。」



くそっ…!!


店の中でイチャモンつけるわけにいかないし、しかも給料発生してるから真面目に働かないといけないし…


「だぁぁぁぁ!!!」


やっぱり吸血鬼は大嫌いだ!!!!


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