生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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謎の呪い

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sideリラ

ルシアス様は嫌がっていたけど私はその逆だ。


ライアス様にはもう会えないと思っていたから嬉しい。


「~♪」


呪いがちゃんと解けているのかも確認できる。


「嬉しそうだな、犬っころ。」


ルシアス様は超ご機嫌斜めだ。


「はい!嬉しいです!」


この私の答えがさらにルシアス様を不機嫌にさせた。


「あぁ、そうかよ。それよりアイツに教えてやらないとな。どうやって呪いを解いたか、事細かくな。」

………?


「な、何言ってるんですか!」


事細かくって何!?

まさか全部話すつもり!?


「急に楽しみになってきた。どんな顔して聞いてくれるんだろうな。」


ルシアス様は悪魔の笑みを浮かべた。

*******************

sideライアス


「思ったより早くきてくれたね、リラ。」

「はい!」

「俺もいる。」


ルシアスはおまけみたいなものだからいいか。


「呪いは解いたみたいだね。」


なんとも憎らしいよ。


可愛く笑うから尚のこと。


「はい…解きました……。」


笑顔は消えて不安そうな顔になる。


さらには敬語も使うの?


「ねぇ、リラ。呪いを解いたことを責めたりしないよ、むしろ僕は謝らないといけない。本当にごめんね。」


これは僕が自ら招いたこと。


最初から姑息な手を使うからこうなった。


「僕を許してくれる?」


リラはまた可愛く笑った。


「うん!もちろん!」


呪いが解けてもその笑顔を見せてくれるなんて、僕は本当に幸せ者だ。


「あ、間違えた!はい!」


リラには本当に悪いことをした。

こんなにも後悔する日が来るなんて予想していなかったよ。


「敬語なんか使わないで。僕にそんな価値はないよ。」


リラの好きにしてくれていい。


罰ならなんでも受ける。


「で、でも、ライアス様は王子様ですから。」


そうだよ、ロクでもない王子だ。


「それなら、僕と結婚して王族になる?同じ王族なら前みたいに話してくれる?」


僕の言葉にリラが心底驚いていた。


「け、結婚!?」

もちろん、ルシアスも。

「お前何言ってんだ、そもそも結婚すんなら俺だろ。責任なら取るつもりだからお前に用はない。」


責任を取る……ね。


「その責任なら僕にもあるよ。そもそも僕がやってしまったことだ。」

「へぇ、責任か。なら頭丸坊主にして全裸でその辺走ってこい。それくらいするべきだろ?」


*******************

sideリラ

私の入る隙がないと言うか、物凄い剣幕と言うか……


「僕はそんな誰にも特にならない責任の取り方はしないよ。」

「いいや、俺とリラは腹を抱えて笑ってやる。」


言ってることは本当におかしいのに、美形2人が睨み合うと怖い。


「あ、あの!結婚とか全裸とかやめましょうよ!全部丸く収まったじゃないですか!」


それに責任の取り合いってなんだろう…。


一夜の関係を持ったからとか、原因を作ったからとか…それで結婚なんて嫌だ。


結婚って一生一緒にいるためのものなのに。


「それに私は誰とも結婚しません!」


私の言葉にルシアス様とライアス様が一緒にこっちを向いた。


「あ、あの、えっと、占い師に言われたんです!結婚するとロクなことがないって。だから結婚はしません!」


どこかの偽占い師のル○アス様に言われた事だけど今は使わせてもらおう。


「誰だ、その占い師って。きっとロクなやつじゃねぇぞ。」


いや、あなたですけど!?


「そっか…それなら仕方ないね。じゃあリラ…。」
「あ!お前!何勝手に!!」


ライアス様はいきなり私の目の前に来て私の手を取った。



「僕と友達になってほしい。友達なら敬語で話さないよね?」


なんとも無理矢理だけど、結婚よりはまともだ。



「………うん。わかった、ライアスさ「友達に様はおかしいよ?」


え!?そこも!?


「えっと………ライアス、?」


私が名前を呼ぶと、ライアスは優しく笑った。


「俺の許可なしに触るな、お友達の分際で。」

友達ならいいと思うんだけど……。


「友達の立場から言わせてもらうけど、未婚の男女2人が一つ屋根の下なのは大丈夫?それに一度関係を持ったから気まずくない?また僕といればいいよ。僕たちは友達だからなんの問題もない。」


ライアスに言われると妙な説得力がある。


「お前喧嘩売ってんのか?お前と一つ屋根の下の方が問題あるだろうが。」


ルシアス様は本当にライアスといると怒りの導火線が短い、短すぎる。


「リラに聞いてるんだけど?」

そしてライアスもそれは同じだ。


ルシアス様よりかは導火線は長いだろうけど。


「コイツは俺のものだ、持ち主に許可を取るのが礼儀だろ?」

「恋人でもないのに、自分のものだと言い張るの?」


「あぁ、俺のものだ。どこからどう見たってわかるだろ?」

「全く分からないんだけど?」

「俺の方に懐いてる。」

「僕は呼び捨てにされてるよ。」

「リラの初めての男は俺だ。」

「じゃあ僕はリラの最後の男になろうか?」

「お友達の発言とは思えないな?」

「いずれ友達じゃなくなるからね。」

「殺されたいならはっきりそう言え。」

「それはこっちのセリフなんだけど?」


仲が悪くてもやっぱり兄弟ね。


言い合いのテンポがいい。


きっと喧嘩しなれているんだ、昔から。



「あ…あの…その話は後々考えるとして、ライアスに聞きたいことがあるの。」


私が切り出さなくちゃ終わらない。


「何?なんでも答えるよ?」


ライアスは私に対しては本当に優しい。


声も表情も。


「えっとね、ここのね、模様があると思うんだけど…。」


私は2人に背を向け後ろ髪をかき分けて2人に首を見せた。


「これは何かわかる?」


ライアスが私の首の模様を指で優しくなぞる。


くすぐったくて身を竦めたら…


「おい、触るな。」


ルシアス様がライアスの手を掴む音がした。


「心の狭い男だね。」

「お前の狭さには負けるけどな。」


はぁ………


今日中に聞きたいことが聞ければいいけど。
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