生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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俺は無力だった

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sideルシアス

「っ…くっ…ぅっ…」


お互い何度達した?


「ルシアス…も…むり…無理なの……」  


頭がおかしくなりそうだ。


熱くて朦朧とする。


だけど、この感覚は嫌いじゃない。


「笑わせんな…まだ足りねぇよ。」


幾度となく達しても、リラの中に全てを注いでも足りない。

まだ欲しい。


「次はベッドで可愛がってやる、床で抱いて悪かったな。」


名残惜しいが、リラの中を手放して軽い体を腕に抱く。


小さくて熱くて…


「ルシアス様…本当に、死んじゃいます…////」


生意気で、愛おしい。


まだ呼べないのか?

こんなに抱いても、まだお前の心の近くには行けないか?


「殺さねぇよ。」


骨を折らないように、体内を抉り取らないようにかなり手加減してる。


殺す気ならもっと早くってる。


こんな風に…


「きゃっ///」


お前をベッドに押し倒したりするか。


「ルシアス様……」


また呼んでる。


「誰だ?それ。」

小さな手を取り指と指を絡めた。


体はこんなにも繋がってんのに。


様、なんてつけるなよ。


「俺に抱かれながら誰のこと考えてんだ?」


意地悪が過ぎるか?


でも仕方ないよな?


ちゃんと呼べないリラが悪い。


「誰も…ルシアス様のことしか…////」


もう無理だ。


全てに引き込まれる。

この目や、声や、小さな腕、全てに溺れていくようだ。


もういいだろ。

さっさと俺のものになれよ。

こんなに溶け合って混ざって何が何だか分からなくなってるんだ。

お前を掬い上げれるのは一緒に溶け合ってる俺だけだ。


「だから、ソイツ誰だよ。」


リラの瞳の中が困惑した。


丸くて潤んだ目は俺を捉えて離さない。


「ルシアス様は…王子様だけど騎士で、格好良くて、でも笑うと可愛い人です。意地悪だけど、たまに優しい、ですよ?」


俺の欲に終わりが見えない。


手加減してやれるか分からない。


もっと、もっと、深いところに行きたい。


「あっ!!!」

俺をこんなに煽るなんて。

いっそ喚き散らせばいい。

声が枯れるまで、歩けなくなるまで抱いてやる。

俺がいなければ生きられない、そんな体になってしまえばいい。

********************

sideリラ

「ん……」


あれ?


もう外が明るい。

私の体にはご丁寧に毛布がかけられていた。

「やっと起きたか。」


ルシアス様はもうちゃんと服も着てるし、朝から元気だ。

いつも朝は気怠げなのに。


「おはようございます…」


私、冷静だな。


何度もこんな朝が来れば当たり前か。


それより私……変な声。


ルシアス様と一夜を過ごすといつもこうなる。


今日は腰も重いし憂鬱な日になりそう。


「少し腫れたな。」


ルシアス様はベッドに腰掛けて私の頬に手を当てる。

そして、その長い指で私の瞼を撫でた。

「泣くほど善かったのか?」


頭の中がはっきりしてきて昨日のことを思い出す。


私は自分でもわかるくらい顔を赤く染めた。


「からかわないでください…/////」


図星だ。


昨日は勝手に涙が出るほど溺れていた。


「本当の事だろうが。…起きて早々あれだが着替えてくれ。」


着替え?


「…あ、はい。」


今日何かあったっけ?


「お前忘れてるだろ。」


私の間抜けな返事を聞いてルシアス様が呆れている。


「…?」

「ライアスとキジャと、目が覚めてればルルドと話し合いだ。」


あぁ、そうだ。

昨日の報告をするんだった。

早く着替えないと。


「すぐ着替えます!」


急いでベッドから降りた。


けど…


「………っ!」


足が小鹿のようにガクガクする!


「あーあ、可哀想に。誰にやられたんだ?」


ルシアス様は本当にいい笑顔を提げてる。


「ご自分の胸に手を当ててよーく考えてみたらいいじゃないですか。」


また私をこんなに乱すなんて。


……それに飲まれた私も同罪かな。


「よく分からねぇが、見るに耐えないから今日は俺がお前の脚になってやるよ。光栄に思え。」


いきなり王子様感出てきたな…


「はい、光栄です。ルシアス王子。」


ルシアス様の大嫌いな王子様呼び。


ルシアス様の額には綺麗に2本の筋が入った。


「あ?」


たった一言に色々な意味が含まれてる。


もう何も言うことはない、潔く死を認めて来世を夢見よう。


*******************

sideキジャ


いやー、それは、うん。ダメですよ。


「団長。」


ちょっとねー。



「なんだ?」


無自覚ほど怖いものはない。


「いや、その…なんて言っていいか。それ同意なんですか?同意ならもっとなんて言っていいか…。」


俺は団長の後ろに佇むリラを見つめることしかできない。


「何がだ?」


リラは光を失った目を俺に向けた。


「いや…えっと…はい。あの、やめません?リラは確かにペット感あってかわい」「あ゛ぁ?」


おっと怖い。

団長の前でリラを可愛いと言ったら死ぬ。


俺は死にたくない。


「その、確かにリラはペット感満載ですよ?けど、本当に首輪と鎖つけるのは…ちょっと。」


まさかとは思うけど歩いてきてないよな?

「よく似合ってるだろ?首輪は街で1番人気の店で買ってやったんだ、さっき。」


あ、ダメだ、これ街から歩いてきたパターンだ。


「へ…へぇ。よかったですね。」


リラは相変わらず何の感情も示さない。

そして俺はまともな助け舟も出せない。


俺は無力だった。

俺は無力だった。

俺は無力だった。

俺は無力だった。

俺は無力だった。
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