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事実
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sideリラ
ルシアス様は私がお風呂でのたうち回ってからと言うものずっとそばに着いてる。
「ルシアス様…本当に大丈夫です。本当に、ちょっと頭が痛かっただけですから。」
今私はルシアス様のベッドに寝かされて頭を撫でられていた。
「いいから寝ろ。明日医者も呼ぶ。」
!?
「大袈裟ですよ、本当に大丈夫です。」
ただ、記憶が戻っただけなんだから。
「心配だ。」
ルシアス様は私の頭を何度も何度も撫でてくれる。
この手を忘れたくない。
幸せだなぁ…。
離れたくない、ずっとここにいたい。
記憶なんて戻らなければよかったのに。
そしたらずっと、何も知らないままルシアス様の側にいられたのに。
好きになるんじゃなかったな。
ルシアス様は素敵すぎて好きになるなっていう方が無理なんだけど。
あぁ……この手は本当に猛毒だ。
こんなに眠いなんて信じられない。
*******************
sideルシアス
ようやく寝たか。
「……なるほどな。」
リラの頸を見れば、元々あった模様が綺麗に消えていた。
昔記憶を弄られるかなんかの呪いだったな。
あの頭の痛がり方、明らかに変わった雰囲気から察するに、記憶は戻ってる。
それならどうして俺に言わないんだ?
実は相当ヤバい女だったとか?
それならもう知ってるから白状しちまえばいいのに。
あぁ、それより…
「出てこいよ。」
俺の防衛魔法は客人には無意味だったらしい。
「勝手に入ってごめんね。」
「ライアス、説明しろ。」
お前はリラのことをどこまで把握してる?
「そうだね…まずどこから説明したらいいかな。」
この状況で、どこからなんて選ぶ馬鹿がどこにいるんだ。
「知ってること全部吐け。死にたくなけりゃな。」
何も知らないなんてごめんだ。
どんな事実でも知っておきたい。
守り切れないなんて冗談じゃないからな。
「じゃあ最初から話そうか。」
ライアスはそう言ってベッドに腰掛けてリラの顔を覗いた。
「僕が初めてリラに会ったのは10年くらい前。禁断の果実の村に王と出かけた時だよ。まだ、あの村が滅ぼされる前に僕らは会ってた。」
ライアスはリラの手を握り昔を思い出したのか少し笑った。
「まだリラは子供で、僕が王子だとも知らずに懐いてきて本当に可愛かったよ。」
10年くらい前ってことは俺らが15か16辺りか。
「僕はリラに懐かれてから、何度も何度もあの村に行った。人目を盗んでは会いに行って遊んで、何度も繰り返している内に王にその事が知られてしまった。それからは知っての通りだよ。」
あぁ、なるほどな。
「禁断の果実の村が滅ぼされたのは僕のせいなんだ。僕がリラに何度も会いに行っていたから、勘違いされてしまってね。………あっという間に滅ぼされてしまったよ。」
あの衝撃的な事件も10年くらい前の事だ。
あのろくでなしは、ただ単に自分以外の者に禁断の果実のを食わせないために滅ぼしたんじゃない。
あのろくでなしはあの頃から王座に執着し過ぎていたんだな。
「僕がそれを知ったのは村が血の海になってからだったよ。僕はあの日、村に行ってリラを探した。そこで、あの日リラは運良く逃されたことを知ってね。何年も探した末に今に至るよ。」
まさかそんな出会い方してたなんてな。
「そして、リラを探している最中に分かった事実が一つ。…リラは禁断の果実の力を誰よりも多く持っていた。」
誰よりも多く?
「禁断の果実ってそんなに人数いたのか?」
勝手に1人だと思い込んでいたが。
「禁断の果実を食べたイヴは子供を産んで、さらにその子供も子を産んで、これをどんどん繰り返していけば禁断の果実の力を持った子が増える。ただ、イヴの血は薄くなっていくけどね。」
じゃあ禁断の果実の村には、イヴの血を薄く受け継いだ奴が多くいたって事だな。
その中でもリラは誰よりも多くの禁断の果実の力を持っていた。
それが何を意味するのかは明白だった。
「リラは…イヴの直系の子孫ってことか。」
俺の質問にライアスが頷いた。
「そう。この事実を探り当てるのにかなり手こずったよ。本当、驚くほど巧妙に隠されていたからね。恐らくリラの血統を知っているのは僕らしかいない。…本人はどうか知らないけど。」
ライアスはリラの手を離し、頸の髪を少し退ける。
記憶が戻った、なんて俺は一言も言っていないのに勘のいい奴だ。
「とにかく、禁断の果実が絡むといろいろ複雑な事が起こる。記憶も戻ったことだし、ちゃんと守ってあげないとね。」
それをお前が言うか。
「とてもリラを食おうとしていた奴の発言とは思えないな?」
むしろ、リラがイヴの子孫だと知っていながら食わなかったのも気味が悪い。
「殺して僕の中れ入れてしまえば永遠に一緒にいられると思ったんだけど、実際生きていてくれた方が僕は嬉しいからね。王になりたい、その気持ちも嘘じゃないよ。……僕は必ずあの日の報復をする。一瞬でも僕とリラを引き裂いたんだから、当然の報いだよね。」
俺はこんな頭のいかれた奴と血を分けてるのか。
涙が出そうだ。
「お前、そのこと絶対コイツに言うなよ。」
きっと泣いて震え上がるだろうからな。
ルシアス様は私がお風呂でのたうち回ってからと言うものずっとそばに着いてる。
「ルシアス様…本当に大丈夫です。本当に、ちょっと頭が痛かっただけですから。」
今私はルシアス様のベッドに寝かされて頭を撫でられていた。
「いいから寝ろ。明日医者も呼ぶ。」
!?
「大袈裟ですよ、本当に大丈夫です。」
ただ、記憶が戻っただけなんだから。
「心配だ。」
ルシアス様は私の頭を何度も何度も撫でてくれる。
この手を忘れたくない。
幸せだなぁ…。
離れたくない、ずっとここにいたい。
記憶なんて戻らなければよかったのに。
そしたらずっと、何も知らないままルシアス様の側にいられたのに。
好きになるんじゃなかったな。
ルシアス様は素敵すぎて好きになるなっていう方が無理なんだけど。
あぁ……この手は本当に猛毒だ。
こんなに眠いなんて信じられない。
*******************
sideルシアス
ようやく寝たか。
「……なるほどな。」
リラの頸を見れば、元々あった模様が綺麗に消えていた。
昔記憶を弄られるかなんかの呪いだったな。
あの頭の痛がり方、明らかに変わった雰囲気から察するに、記憶は戻ってる。
それならどうして俺に言わないんだ?
実は相当ヤバい女だったとか?
それならもう知ってるから白状しちまえばいいのに。
あぁ、それより…
「出てこいよ。」
俺の防衛魔法は客人には無意味だったらしい。
「勝手に入ってごめんね。」
「ライアス、説明しろ。」
お前はリラのことをどこまで把握してる?
「そうだね…まずどこから説明したらいいかな。」
この状況で、どこからなんて選ぶ馬鹿がどこにいるんだ。
「知ってること全部吐け。死にたくなけりゃな。」
何も知らないなんてごめんだ。
どんな事実でも知っておきたい。
守り切れないなんて冗談じゃないからな。
「じゃあ最初から話そうか。」
ライアスはそう言ってベッドに腰掛けてリラの顔を覗いた。
「僕が初めてリラに会ったのは10年くらい前。禁断の果実の村に王と出かけた時だよ。まだ、あの村が滅ぼされる前に僕らは会ってた。」
ライアスはリラの手を握り昔を思い出したのか少し笑った。
「まだリラは子供で、僕が王子だとも知らずに懐いてきて本当に可愛かったよ。」
10年くらい前ってことは俺らが15か16辺りか。
「僕はリラに懐かれてから、何度も何度もあの村に行った。人目を盗んでは会いに行って遊んで、何度も繰り返している内に王にその事が知られてしまった。それからは知っての通りだよ。」
あぁ、なるほどな。
「禁断の果実の村が滅ぼされたのは僕のせいなんだ。僕がリラに何度も会いに行っていたから、勘違いされてしまってね。………あっという間に滅ぼされてしまったよ。」
あの衝撃的な事件も10年くらい前の事だ。
あのろくでなしは、ただ単に自分以外の者に禁断の果実のを食わせないために滅ぼしたんじゃない。
あのろくでなしはあの頃から王座に執着し過ぎていたんだな。
「僕がそれを知ったのは村が血の海になってからだったよ。僕はあの日、村に行ってリラを探した。そこで、あの日リラは運良く逃されたことを知ってね。何年も探した末に今に至るよ。」
まさかそんな出会い方してたなんてな。
「そして、リラを探している最中に分かった事実が一つ。…リラは禁断の果実の力を誰よりも多く持っていた。」
誰よりも多く?
「禁断の果実ってそんなに人数いたのか?」
勝手に1人だと思い込んでいたが。
「禁断の果実を食べたイヴは子供を産んで、さらにその子供も子を産んで、これをどんどん繰り返していけば禁断の果実の力を持った子が増える。ただ、イヴの血は薄くなっていくけどね。」
じゃあ禁断の果実の村には、イヴの血を薄く受け継いだ奴が多くいたって事だな。
その中でもリラは誰よりも多くの禁断の果実の力を持っていた。
それが何を意味するのかは明白だった。
「リラは…イヴの直系の子孫ってことか。」
俺の質問にライアスが頷いた。
「そう。この事実を探り当てるのにかなり手こずったよ。本当、驚くほど巧妙に隠されていたからね。恐らくリラの血統を知っているのは僕らしかいない。…本人はどうか知らないけど。」
ライアスはリラの手を離し、頸の髪を少し退ける。
記憶が戻った、なんて俺は一言も言っていないのに勘のいい奴だ。
「とにかく、禁断の果実が絡むといろいろ複雑な事が起こる。記憶も戻ったことだし、ちゃんと守ってあげないとね。」
それをお前が言うか。
「とてもリラを食おうとしていた奴の発言とは思えないな?」
むしろ、リラがイヴの子孫だと知っていながら食わなかったのも気味が悪い。
「殺して僕の中れ入れてしまえば永遠に一緒にいられると思ったんだけど、実際生きていてくれた方が僕は嬉しいからね。王になりたい、その気持ちも嘘じゃないよ。……僕は必ずあの日の報復をする。一瞬でも僕とリラを引き裂いたんだから、当然の報いだよね。」
俺はこんな頭のいかれた奴と血を分けてるのか。
涙が出そうだ。
「お前、そのこと絶対コイツに言うなよ。」
きっと泣いて震え上がるだろうからな。
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