生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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作戦開始 〜準備〜

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sideルディ


クロウさんに言われた通りちゃんと一列に並んだら…


ポンッ!と音がして目の前に針のついた丸い瓶が現れた。


「注射器も冗談だ。俺お手製の魔法道具で血を抜く。」


この人、多分冗談言うの下手なんだな。  


「何でこのタイミングで冗談なんか??」


ダリアはクスクス笑っていた。


「場を和ませようと思ったんだが失敗だったな。」


こんな完璧な人でも、可愛いとこってあるんだな。

可愛いとことはいっても雀の涙より小さいけど。


「まぁいい、1人30個用意してる。その瓶がいっぱいになったらまた教えてくれ。」  


「「はーい。」」

「これどこに刺すんですか?結構針太いですけど。」 


ラルフが超大事なことを聞く。



「太腿が一番楽だ。一思いにブスッといけ。」


太腿!?

絶対痛いじゃん!!

しかも……


「自分で!?まさか自分でブスっと!?」

 
自分で刺せると思ってる!?

俺そこまでメンタル強くないよ!?

 
「自分以外誰がやるんだ?」


ラルフ、お前冷静すぎないか?


「そうだよ、あんた何言ってんの?」


ダリアまで!!

いや、俺がおかしいの!?


絶対お前らの方がおかしいからね!?


「お前らの野生的な考え方と一緒にすんなよ!俺は超繊細デリケート狼なんだからな!!」



この発言をした5秒後に俺はダリアとラルフに太ももを串刺しにされた。

****************

sideダリア

血抜きは簡単に終わった。

私はね。


「あ~くらくらする~。」

「貧血だからあまり騒ぐな、倒れる。」


だけど人狼2人は1日じゃ終わらない。

血の生成が遅いから。

私はヴァンパイアだから、何か食べていれば血なんか無限に生成できる。


「2人とも何か食べた方がいいよ、貧血で倒れたら元も子もないんだから!」


ルディはやっぱり少し血を抜いたくらいがおとなしくていい。

「そうだな、肉を積極的に食べた方がいい。ダリア、狩りに行くから付き合ってくれ。」


狩り、か。


楽しそう!


「もちろん!!この森は何がいるんですか!?」


あわよくば、私も動物達の血をつまみ食いしちゃおうかな~


「鹿、兎、熊、狐、猿、何でもいる。」


そうこなくっちゃ!


「全種類狩りますね!」


狩れば狩るほど私の食料も増えることだし。


「あぁ、そうしてくれ。2人ともいい子にしてろよ?」


クロウ先生はそう言って家を出る。


まさか人間なのに丸腰で行く気?


魔法で狩りをするのかな?


魔法の狩は見たことないから楽しみ!  

*******************

sideルディ

狩りに行けないなんて情けない。


「あー、俺も行きたかったなぁ。」


フラフラだけど。


「足手まといがオチだ。」


「そりゃそうだけど、俺だってたまには走りたい!」

「いつも暴れてるからいいだろ。」

「な!俺は暴れてなんか……あぁ、やめた。クラクラするー。」


貧血ってダメだな。


気分最悪だし何もできない。


あぁ、これも全てリラのため。


リラ、今何してんのかな?

大丈夫かな?


心配だ。


今回の事で実力不足はよくわかった。



本気でリラを守るなら俺も貧血くらいで弱音を吐いたらダメだ。


ちゃんと強くならないと。


今はしっかり食ってしっかり寝て体力つけとかないとな!


そもそも、俺が元気なかったらリラも心配するだろうからな!


今俺はここで出来ることをしよう。


「俺は絶対リラを守れる男になって、リラと結婚する!!」


これを目標に頑張るか。


「おい、やめとけ。貧血の時に急に立ち上がってそんな大声出したら……」

「はい?」



あれ?


ラルフが2人に………



バタッ!!!



「倒れる。…あぁ、もう倒れてたか。そのまま寝とけ。」



床に転がると少し楽だ。


正確には倒れたんだけど。


リラ、俺めっちゃ頑張るからな。


次はいつ会えるのかな…


早く会いたいな!


俺ちゃんと強くなるから。


もうこんなのはごめんだ。


大人たちに逃がされてばかりの足手まといじゃ絶対ダメなんだ。


俺が強ければ、今もリラの側にいられたわけだし。


早く会いたいけど、またしばらく会えないんだろうな。

だって俺らは死んだ事にするんだから。


俺とラルフとダリアが死んだって知ったらリラはどうなる?


いくら何でもリラには知らせた方がいいんじゃないか?


友達3人を一気に失って正気でいられるわけない。


仲間を失うつらさはよくわかる。


あんな思い、二度としたくない。


だからって、そんな甘いことが許されるほど今回の敵はへなちょこじゃないってことだよな。


早く敵を倒すためにも頑張らないと。


でもまずは……


「血抜き頑張ろ……。」


*******************

その頃……


「ダリア!回りこめ!」

「はい!!」


「そこで踵落とし!いけー!!!!!」

「やぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


ダリアとクロウは狩りを楽しんでいた。


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