生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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作戦成功

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sideリラ

「ふふ…」

私はルディが話す前代未聞の死顔を聞いて笑ってしまった。

「もう本当にリラだけには絶対見せられない顔だった、もう最悪って感じ!俺もまさかあんな不細工に仕上がるとは思ってなかったよ。」


ルディは話すのを嫌がっていた割には楽しそう。


「見てみたかったなぁ。」


私が言うとルディは焦り始めた。

「ダメ!本当にダメ!絶対幻滅する!」

焦り方が何だか可愛い。

「でも、その死体はどこに放置したの?」

私は全く知らない話だからよく聞いておかないと。

「ライアス様のお屋敷の近くの森放置したよ。置いてすぐにライアス様が気づいたから、リラちゃんには言ったと思ったんだけど…」


ライアスからはそんな話は聞いてない。


「何も聞いてないよ。どうして黙ってたんだろう、そんな大事な事…。」


もしかして言うタイミングを伺っていてこんな事になった?

隠し事をされていたことに少しだけ心がチクッとする。 


「そう簡単に言えることでもないだろう。友達3人が近くの森でバラバラにらなってた、なんて。」


私はラルフの言葉に耳を疑った。


「バラバラ!?」


一体何をしたらそうなるの!?


「あぁ、そうそう!よりリアルな感じを出す為にバラバラにしたんだ!」


ルディが怖い。

笑顔で言うことじゃないよね??


「でもライアス様すごかったよ!ちゃんとあのバラバラの私たちを集めて仕分けしてた!」


集めて仕分け!?

「ら、ライアスが?本当に?」


私はもう目が回りそう。


「うん。本当に!俺らクロウ先生の水晶で見てたんだけど、ちゃんと一人一人識別して固めて埋めてくれてた!」


それをこの3人はどんな顔で見てたんだろう…。


「俺らも大概ヤバいが、向こうもかなりヤバい。俺らがバラバラになっていても顔色一つ変えなかった。」


ライアスは一体どんな心理状態で3人の死体を埋めたんだろう。


「さすがと言えばさすがなんだろうけど……」


ちょっとライアスが怖いかな。


「きっと、ライアス様はリラちゃんが心配で本当のことを言えなかったんじゃないかな?埋めた後はお花も置いてくれてたし、悪意のある感じじゃなかったよ?」


きっとそうだよ。

ライアスが私に隠し事なんて少し驚いただけで、決して私を騙そうとしたりした訳じゃないんだから。


「うん……そうだよね。」


変に疑うのはやめよう。


それに私でも同じことをする。


ライアスの大切な人が死んだことを自分だけが知っていたら隠すと思う。

ライアス自身が、その大切な人の帰りを待っていたのなら尚更。


今は余計な事は考えている場合じゃない。


全て終わってから聞けばいい話なんだから。


「話は済んだか?」


クロウ先生が別の部屋から戻ってきた。

 
「はい。」


かなり驚くことが多かったけど。


「クロウ先生は何を?」


結構長い時間、向こうの部屋にいたけど。


「お坊ちゃんの兄貴の方の記憶を消してきた。」


ライアスの!?

「え!?どうやって!?」


いくらクロウ先生でもそれは難しいんじゃない??


「仕込んでおいた魔法を発動させただけだ。詳細は省くがとりあえず今お前のことを知っているのはここにいる俺らだけだ。」


仕込んでおいた魔法を!?

しかも詳細は省かれたし!


「あぁ……そうですか…….。」


もうこう言うしかないよ。


「さて、準備は整った。明日から本格的に動くことになる。頑張ろうな。」


クロウ先生の気の引き締まる言葉に私たちは頷いた。


「じゃあ、チーム名決めね?」


こんな時でもルディは明るい話題を手放さない。


「決めなくていいだろ。」


ラルフはそんなルディに呆れていた。


「えー!面白そうだからいいんじゃない!?ねぇ、リラちゃん!」


あ、ダリアちゃんが私に振った。


みんな私を見てる。


もしかして、決定権は私にある感じ?


「……いいんじゃないかな?楽しそうだし。」


私のこの一言によって、チーム名決めは5時間の熱烈な話し合いとなった。


・いつメン  リラ作

・チーム☆ゴースト  ラルフ作

・リラちゃん親衛隊  ダリア作

・打倒☆タランテラ・ガルシア~殺意を添えて~  ルディ作


公正な話し合いによって、チーム名はラルフ作の「チーム☆ゴースト」に決定した。



********************

sideルシアス

2階で大きな音がした。


それでも……

「あー……体が動かねぇな。」


キジャのロープを切るのが限界だ。


「同じです。」


キジャもまともに動ける状態じゃない。


「悪かったな、巻き込んで。」


いくらなんでもやりすぎた。


ライアスは病的だった。


「勝手に来ただけなんでそんな風には思ってないですよ。」


お前はこんな時にはいい子になるんだな。



「俺は誰を忘れたんだろうな。……ライアスがあんなに発狂したのを初めて見た。」


会いたいな。


夢で会ったあの感覚、忘れるには温かすぎる。


「発狂なんて可愛い物じゃなかったですね…あれは狂気そのものですよ。」


誰が記憶を消したか知らんが確実に消す方を間違えてたな。


「物音一つしなくなったな。まぁいい、動けるようになったら後悔させてやるか。……誰の首の皮剥いだのかきっちり教えてやる。」
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