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怪物の視線
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sideラルフ
「ラルフ、ラルフ!」
ん?リラの声か。
目を開けると焦っているリラがいる。
どうした?と声をかけてやりたくてもこの姿じゃ話せない。
一回人の形に戻るか。
リラはその意図を汲んで目を塞いで俺に背を向ける。
俺は瞬時に人の形に戻ってズボンを履いた。
「何かあったのか?」
そんなに焦って。
「うん、なんか変な音がするの。今ルディが確認してくれてるんだけど、心配だから私も行ってくる。一応ダリアちゃんも起こしてくれない?」
リラも行くだって?
「それなら俺が行くからダリアを起こしてくれないか?」
ルディがリラを連れて行かなかったって事は危険があると言う事だ。
そんなところにリラを行かせられない。
「ダメだよ!ダリアちゃんはラルフに起こしてもらった方が喜ぶよ!」
「いや、それは絶対にないだろう。」
リラの顔を見て起きた方がダリアは泣いて喜ぶはずだ。
「そんな事ない!!好きな人に起こしてもらったら誰だって嬉しいでしょ!」
リラはたまにとんでもないことを言い出す。
それがうっかりなのかわざとなのか。
「好きな人?ダリアは俺が好きなのか?」
今回はうっかりみたいだ。
リラの焦り方が尋常じゃない。
「すす、好きな人ってつまり…好きな人?いつ私がそんなこと言った?そんなこと言ってないよ!すす好きな人って、あははは!私ルディ見てくるから!ちゃんと起こしておいてね!!!」
リラは一人で慌てふためいてルディの元へ行った。
すぐに行ってくれてよかった。
「はぁ。」
表情を隠すのが大変だ。
耳まで熱い。
こんな顔、誰にも見せられない。
そうか……好きな人か……
そう思ってくれてたんだな。
「ダリア。」
俺はてっきり興味がないと思ってた。
「起きろ、何かあったみたいだ。」
まさか俺と気持ちが同じだなんて、思いもしなかった。
「ん……なによ、まだ眠い……」
「遅くまでナイフ研いでるからだろう。」
まだ寝ぼけている。
どうやったら目が覚めるのか…。
あぁ、いいことを思いついた。
これは9割俺のやりたい事だけど……
「ンッ////////」
きっとこれで目が覚める。
ダリアとキスしたのはどのくらい前だったか…。
幼い感情だった。
好きすぎて、迂闊に手を出して失敗した。
甘くて苦い思い出だ。
「ラルフ/////あ、あの、なに??どうしたの?」
だけど今回はちゃんと物にできそうだ。
「さぁな、何かあったらしい。さっさと行くぞ。」
「あぁ、あ、うん、行こうか、行こうね、行くよ。」
動揺しすぎだろう。
いきなり距離を縮めたらあの時みたいに失敗しそうだ。
これは狩りと同じ要領だ。
獲物は確実に追い詰めて仕留める。
きっとこれ以上の好機はない。
リラに感謝しないとな。
あのうっかりがなければ、俺は永遠にダリアに何もできなかった。
ありがたく、このチャンスを活かさせてもらうぞ。
********************
sideリラ
あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
やってしまったぁぁぁぁぁぁあ!!!!
ラルフ気付いたかな??うまく誤魔化せたはずだけど、勘のいいラルフなら気づくかもしれない。
私のバカァァァァア!!!!!!
私のせいで2人の仲が悪くなったらどうしよう…
責任が取れない……
モヤモヤと2人のことを考えていたら崖の下を覗くルディを見つけた。
「ルディ。」
そうだ、今はモヤモヤしたり後悔している暇はない。
「え!?リラ来ちゃったの!?」
そう、来たよ。
「ちょっと大事件起こしちゃったかもしれない…。」
私がポロッと本音を漏らすとルディは私のそばにきた。
「大事件って?」
ルディ、絶対面白がってる。
「あのね……ラルフにダリアちゃんの秘密をポロッと言っちゃって、上手く誤魔化せたと思ったんだけど勘のいいラルフは気付いたかも……。みたいな?」
ルディは私の話を聞いて笑った。
「大丈夫、大丈夫、どうせダリアがラルフのことが好きってバラしたかも?的なやつだろ?」
な!!!なんて鋭い!!
「しー!静かに!聞こえるよ!」
これ以上、私に罪を重ねさせないで…
「大丈夫だって。むしろお手柄なんじゃない?アイツら何年も両片思いだからさ、リラが心配することなんて何もないよ。」
ルディが不安に塗れた私の肩をポンポンと叩く。
「ないとは思うけど何かあったら俺があの2人を仲直りさせるから大丈夫だ!」
ルディはいざという時頼りになるのを私は誰よりも知ってる。
「……うん。ルディがそう言うなら。」
あまり私が過剰に反応してもいい事は起こらないと思うし、少し落ち着こう。
「あぁ、そうだ、そういえば何かいた?」
あの変な音、もう聞こえないけど。
「そうそう。覗いてみたんだけど、何も登ってきてなかったよ。ていうか、暗くてよく見えない。暗いところはヴァンパイアの方がよく見えるだろうから一応リラも覗いてみてくれよ。」
ルディに言われて気が付いた。
たしかに人間だった頃よりも夜の景色がよく見えるようになっている。
これは頼りにされてるのでは!
「うん!しっかり見てみるね!」
見るだけなら私にもできるし、ルディがいるからそんなに怖くない。
私とルディは崖の淵に行き、下を覗き込んだ。
「んー。」
たしかに何もない。
崖の下を見てみたけど、おかしな物どころか動物すらいない。
「普通だよね……?」
ちょっと神経質になってたのかな。
「うん…でも、変な音がしたのは確かだしちょっと気をつけとこう。」
「うん、そうだね。」
2人で確認したし、少しは安心かな。
私はルディと一緒に、ダリアちゃんとラルフのいる所へ向かう。
そんな私達2人を恐ろしい怪物が見ているなんて、この時は思いもしなかった。
「ラルフ、ラルフ!」
ん?リラの声か。
目を開けると焦っているリラがいる。
どうした?と声をかけてやりたくてもこの姿じゃ話せない。
一回人の形に戻るか。
リラはその意図を汲んで目を塞いで俺に背を向ける。
俺は瞬時に人の形に戻ってズボンを履いた。
「何かあったのか?」
そんなに焦って。
「うん、なんか変な音がするの。今ルディが確認してくれてるんだけど、心配だから私も行ってくる。一応ダリアちゃんも起こしてくれない?」
リラも行くだって?
「それなら俺が行くからダリアを起こしてくれないか?」
ルディがリラを連れて行かなかったって事は危険があると言う事だ。
そんなところにリラを行かせられない。
「ダメだよ!ダリアちゃんはラルフに起こしてもらった方が喜ぶよ!」
「いや、それは絶対にないだろう。」
リラの顔を見て起きた方がダリアは泣いて喜ぶはずだ。
「そんな事ない!!好きな人に起こしてもらったら誰だって嬉しいでしょ!」
リラはたまにとんでもないことを言い出す。
それがうっかりなのかわざとなのか。
「好きな人?ダリアは俺が好きなのか?」
今回はうっかりみたいだ。
リラの焦り方が尋常じゃない。
「すす、好きな人ってつまり…好きな人?いつ私がそんなこと言った?そんなこと言ってないよ!すす好きな人って、あははは!私ルディ見てくるから!ちゃんと起こしておいてね!!!」
リラは一人で慌てふためいてルディの元へ行った。
すぐに行ってくれてよかった。
「はぁ。」
表情を隠すのが大変だ。
耳まで熱い。
こんな顔、誰にも見せられない。
そうか……好きな人か……
そう思ってくれてたんだな。
「ダリア。」
俺はてっきり興味がないと思ってた。
「起きろ、何かあったみたいだ。」
まさか俺と気持ちが同じだなんて、思いもしなかった。
「ん……なによ、まだ眠い……」
「遅くまでナイフ研いでるからだろう。」
まだ寝ぼけている。
どうやったら目が覚めるのか…。
あぁ、いいことを思いついた。
これは9割俺のやりたい事だけど……
「ンッ////////」
きっとこれで目が覚める。
ダリアとキスしたのはどのくらい前だったか…。
幼い感情だった。
好きすぎて、迂闊に手を出して失敗した。
甘くて苦い思い出だ。
「ラルフ/////あ、あの、なに??どうしたの?」
だけど今回はちゃんと物にできそうだ。
「さぁな、何かあったらしい。さっさと行くぞ。」
「あぁ、あ、うん、行こうか、行こうね、行くよ。」
動揺しすぎだろう。
いきなり距離を縮めたらあの時みたいに失敗しそうだ。
これは狩りと同じ要領だ。
獲物は確実に追い詰めて仕留める。
きっとこれ以上の好機はない。
リラに感謝しないとな。
あのうっかりがなければ、俺は永遠にダリアに何もできなかった。
ありがたく、このチャンスを活かさせてもらうぞ。
********************
sideリラ
あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
やってしまったぁぁぁぁぁぁあ!!!!
ラルフ気付いたかな??うまく誤魔化せたはずだけど、勘のいいラルフなら気づくかもしれない。
私のバカァァァァア!!!!!!
私のせいで2人の仲が悪くなったらどうしよう…
責任が取れない……
モヤモヤと2人のことを考えていたら崖の下を覗くルディを見つけた。
「ルディ。」
そうだ、今はモヤモヤしたり後悔している暇はない。
「え!?リラ来ちゃったの!?」
そう、来たよ。
「ちょっと大事件起こしちゃったかもしれない…。」
私がポロッと本音を漏らすとルディは私のそばにきた。
「大事件って?」
ルディ、絶対面白がってる。
「あのね……ラルフにダリアちゃんの秘密をポロッと言っちゃって、上手く誤魔化せたと思ったんだけど勘のいいラルフは気付いたかも……。みたいな?」
ルディは私の話を聞いて笑った。
「大丈夫、大丈夫、どうせダリアがラルフのことが好きってバラしたかも?的なやつだろ?」
な!!!なんて鋭い!!
「しー!静かに!聞こえるよ!」
これ以上、私に罪を重ねさせないで…
「大丈夫だって。むしろお手柄なんじゃない?アイツら何年も両片思いだからさ、リラが心配することなんて何もないよ。」
ルディが不安に塗れた私の肩をポンポンと叩く。
「ないとは思うけど何かあったら俺があの2人を仲直りさせるから大丈夫だ!」
ルディはいざという時頼りになるのを私は誰よりも知ってる。
「……うん。ルディがそう言うなら。」
あまり私が過剰に反応してもいい事は起こらないと思うし、少し落ち着こう。
「あぁ、そうだ、そういえば何かいた?」
あの変な音、もう聞こえないけど。
「そうそう。覗いてみたんだけど、何も登ってきてなかったよ。ていうか、暗くてよく見えない。暗いところはヴァンパイアの方がよく見えるだろうから一応リラも覗いてみてくれよ。」
ルディに言われて気が付いた。
たしかに人間だった頃よりも夜の景色がよく見えるようになっている。
これは頼りにされてるのでは!
「うん!しっかり見てみるね!」
見るだけなら私にもできるし、ルディがいるからそんなに怖くない。
私とルディは崖の淵に行き、下を覗き込んだ。
「んー。」
たしかに何もない。
崖の下を見てみたけど、おかしな物どころか動物すらいない。
「普通だよね……?」
ちょっと神経質になってたのかな。
「うん…でも、変な音がしたのは確かだしちょっと気をつけとこう。」
「うん、そうだね。」
2人で確認したし、少しは安心かな。
私はルディと一緒に、ダリアちゃんとラルフのいる所へ向かう。
そんな私達2人を恐ろしい怪物が見ているなんて、この時は思いもしなかった。
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