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奇襲者
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sideリラ
熱い一夜を過ごした私とルシアス。
どんなにその幸せな時間に浸っていても朝は来る。
「ん……」
「朝だよ、お寝坊さん。」
大きな手、安心する。
「リラ、起きて。」
その優しい声も安心するのよね、ライアス。
…………ライアス?
「っ!!!!」
一気に現実に戻された。
「ライアス!!」
私の大声に…
「っ!!」
もう1人の寝坊助さんも起きることに。
「ったく、この野郎!何考えてんだ!」
ルシアスは起きるや否やシーツで私をぐるぐる巻にした。
「ちょっと不用心すぎるんじゃない?リラなんて僕が触れても寝ぼけていたくらいだよ?2人とも気を抜くのもいいけど、リラは特に命を狙われている自覚をした方がいいよ。」
ライアスはそう言って私の頬を撫でた。
「殺されてからじゃ遅いんだよ。」
たしかに、ライアスの言う通り。
もしも、これがライアスじゃなくて、タランテラの使いとかだったら私は今頃永遠に眠っていることになる。
「そんなことは百も承知だ。リラ、朝飯作ってやるからその間に支度しとけ。」
「はい。」
私はぐるぐる巻にされたシーツを押さえながら立つ。
ベッドを降りてライアスの隣を通り過ぎる時、ほのかに血の匂いがした。
ライアス…誰かに血をもらってたのかな?
それとも私の気のせい?
まだ寝ぼけてるとか?
まぁいいや、とりあえず自分の準備をしないと。
******************
sideルシアス
「朝から不法侵入と殺人なんて趣味が悪すぎる。」
間違いなくライアスは血の匂いを纏っている。
本当に微かだが俺には分かった。
「誤解しているようだから言うけど、先に手を出したのは向こうだよ。」
今は朝の7時。
この様子だと夜明け前に奇襲されたか。
「お前を襲った馬鹿はどこのどいつだ?」
ライアスはとびきりの笑顔を見せた。
「そう、そこなんだよ。調べようと思って気付いたんだよね。……僕たちの補佐役をあの島に置いてきてしまったって。」
今の今まで完全にキジャとルルドのことを忘れていた。
「はぁ……………やっちまった。」
ワニのドタバタ騒動に加え、タランテラの痕跡を見つけて急いで帰った結果がこれか。
どうして誰も気づかなかった?
アイツら可哀想過ぎるだろう。
「そう、やっちゃったんだよ。責任持って僕らが迎えに行くべきじゃない?」
さすがにあの島に置き去りは酷いな。
「わかった、とりあえずクロウと合流する。お前を襲った命知らずの話はその時に聞く。」
「それがいい、ちょうど見せたいものもあるし。」
見せたいもの?
「なんだ?」
どうせロクなものじゃないが聞いておくか。
「まぁ、それは後のお楽しみ。」
******************
sideリラ
「リラ。」
私が着替えているとルシアスが部屋に入ってきた。
「ルシアス…」
ごめんね、ルシアス。
話を聞くつもりじゃなかったんだけど…
「あの……ライアス、やっぱり何かあったんだよね?」
奇襲とか、命知らずとか聞こえたよ?
「あぁ、朝から嫌なことを聞かせて悪かったな。この際言うが、ライアスが朝方何者かに襲われたらしい。もちろん返り討ちにして奇襲者は見るも無惨な姿になってる。」
なるほど、それで命知らずっていう単語が飛び交ったのね。
奇襲者も可哀想。
きっとろくな死に方してない。
「それで…留守番を頼みたい。」
私を置いていくの!?
「ど、どうして、私は強くなったし一緒に」
「バラバラになってどこがどこだか分からんような死体の山を歩きたいか?」
子供扱いしないで!
その言葉を言い切る前にルシアスが聞いてきた。
たしかに朝から見たくはない。
「それに、ちょっと忘れ物を回収しに行くからここで待ってて欲しいってのもある。」
忘れ物?
まさかあの島に?
「何を忘れたんですか?」
そもそも、そんな忘れるような何かを持って行ってたっけ?
「キジャとルルドだ。」
キジャさんとルルドさんね……
「あ!!!!!!!!!!!」
「そうだ、俺らは揃いも揃ってあの2人を忘れてきた。正直奇襲者より怖い。だからここで待っててくれ。家に安らぎがあると思って行けば、俺も安心してその忘れ物を取りに行ける。」
ルルドさんはともかくキジャさんの恨みを買ったってことだね。
「分かりました、ここで待ってます。」
ルシアスが緊張してる。
キジャさんってそんなに怖いの???
「あぁ、そうしてくれ。はぁ……アイツに何をされることやら。……とりあえず行ってくる。」
そんなに執念深いんだね、キジャさんは。
「分かりました、骨はちゃんと拾うので安心して行ってきてください。その後はちゃんとお墓も建てます。」
「おいおい。」
ルシアスは少し笑って、その後私の頬にキスをした。
「さすが俺の妻だ、冗談のセンスがなかなかいい。」
ルシアス、何言ってるの?
「私…………冗談なんて一言も言ってません。」
そう言うとルシアスは、キスしてくれた頬を強く掴む。
「いっ!」
「誰が骨で帰ってくるか。ちゃんと留守番しとけ、犬っころ。」
妻から犬っころに下げられちゃったけど、ルシアスの緊張が解けたようでよかった。
いつもの笑顔だ。
「はい!ずっと待ってます!!」
ご主人様はなんだかな~。
あ、そうだ、この呼び方がいい。
「旦那様!!」
旦那様がよほど気に入ったみたい。
ルシアスは今すごく可愛い顔をしてる。
「悪くねぇな。とりあえず、何か作っておくからちゃんと食っておけよ。」
正直朝ごはんは私でも作れる。
「朝ご飯は自分で作りますから、早く行ってあげてください。」
「でも」
「いいから、行ってください。ついでにお昼ご飯とかも作っておきますから。」
そう言うとルシアスは私をギュッと抱きしめた。
「ふふ//////」
幸せ。
「すぐに戻ってくる。」
そうしてくださいね、私も1人で待つのはあまり好きじゃないから。
「はい、いってらっしゃい。」
熱い一夜を過ごした私とルシアス。
どんなにその幸せな時間に浸っていても朝は来る。
「ん……」
「朝だよ、お寝坊さん。」
大きな手、安心する。
「リラ、起きて。」
その優しい声も安心するのよね、ライアス。
…………ライアス?
「っ!!!!」
一気に現実に戻された。
「ライアス!!」
私の大声に…
「っ!!」
もう1人の寝坊助さんも起きることに。
「ったく、この野郎!何考えてんだ!」
ルシアスは起きるや否やシーツで私をぐるぐる巻にした。
「ちょっと不用心すぎるんじゃない?リラなんて僕が触れても寝ぼけていたくらいだよ?2人とも気を抜くのもいいけど、リラは特に命を狙われている自覚をした方がいいよ。」
ライアスはそう言って私の頬を撫でた。
「殺されてからじゃ遅いんだよ。」
たしかに、ライアスの言う通り。
もしも、これがライアスじゃなくて、タランテラの使いとかだったら私は今頃永遠に眠っていることになる。
「そんなことは百も承知だ。リラ、朝飯作ってやるからその間に支度しとけ。」
「はい。」
私はぐるぐる巻にされたシーツを押さえながら立つ。
ベッドを降りてライアスの隣を通り過ぎる時、ほのかに血の匂いがした。
ライアス…誰かに血をもらってたのかな?
それとも私の気のせい?
まだ寝ぼけてるとか?
まぁいいや、とりあえず自分の準備をしないと。
******************
sideルシアス
「朝から不法侵入と殺人なんて趣味が悪すぎる。」
間違いなくライアスは血の匂いを纏っている。
本当に微かだが俺には分かった。
「誤解しているようだから言うけど、先に手を出したのは向こうだよ。」
今は朝の7時。
この様子だと夜明け前に奇襲されたか。
「お前を襲った馬鹿はどこのどいつだ?」
ライアスはとびきりの笑顔を見せた。
「そう、そこなんだよ。調べようと思って気付いたんだよね。……僕たちの補佐役をあの島に置いてきてしまったって。」
今の今まで完全にキジャとルルドのことを忘れていた。
「はぁ……………やっちまった。」
ワニのドタバタ騒動に加え、タランテラの痕跡を見つけて急いで帰った結果がこれか。
どうして誰も気づかなかった?
アイツら可哀想過ぎるだろう。
「そう、やっちゃったんだよ。責任持って僕らが迎えに行くべきじゃない?」
さすがにあの島に置き去りは酷いな。
「わかった、とりあえずクロウと合流する。お前を襲った命知らずの話はその時に聞く。」
「それがいい、ちょうど見せたいものもあるし。」
見せたいもの?
「なんだ?」
どうせロクなものじゃないが聞いておくか。
「まぁ、それは後のお楽しみ。」
******************
sideリラ
「リラ。」
私が着替えているとルシアスが部屋に入ってきた。
「ルシアス…」
ごめんね、ルシアス。
話を聞くつもりじゃなかったんだけど…
「あの……ライアス、やっぱり何かあったんだよね?」
奇襲とか、命知らずとか聞こえたよ?
「あぁ、朝から嫌なことを聞かせて悪かったな。この際言うが、ライアスが朝方何者かに襲われたらしい。もちろん返り討ちにして奇襲者は見るも無惨な姿になってる。」
なるほど、それで命知らずっていう単語が飛び交ったのね。
奇襲者も可哀想。
きっとろくな死に方してない。
「それで…留守番を頼みたい。」
私を置いていくの!?
「ど、どうして、私は強くなったし一緒に」
「バラバラになってどこがどこだか分からんような死体の山を歩きたいか?」
子供扱いしないで!
その言葉を言い切る前にルシアスが聞いてきた。
たしかに朝から見たくはない。
「それに、ちょっと忘れ物を回収しに行くからここで待ってて欲しいってのもある。」
忘れ物?
まさかあの島に?
「何を忘れたんですか?」
そもそも、そんな忘れるような何かを持って行ってたっけ?
「キジャとルルドだ。」
キジャさんとルルドさんね……
「あ!!!!!!!!!!!」
「そうだ、俺らは揃いも揃ってあの2人を忘れてきた。正直奇襲者より怖い。だからここで待っててくれ。家に安らぎがあると思って行けば、俺も安心してその忘れ物を取りに行ける。」
ルルドさんはともかくキジャさんの恨みを買ったってことだね。
「分かりました、ここで待ってます。」
ルシアスが緊張してる。
キジャさんってそんなに怖いの???
「あぁ、そうしてくれ。はぁ……アイツに何をされることやら。……とりあえず行ってくる。」
そんなに執念深いんだね、キジャさんは。
「分かりました、骨はちゃんと拾うので安心して行ってきてください。その後はちゃんとお墓も建てます。」
「おいおい。」
ルシアスは少し笑って、その後私の頬にキスをした。
「さすが俺の妻だ、冗談のセンスがなかなかいい。」
ルシアス、何言ってるの?
「私…………冗談なんて一言も言ってません。」
そう言うとルシアスは、キスしてくれた頬を強く掴む。
「いっ!」
「誰が骨で帰ってくるか。ちゃんと留守番しとけ、犬っころ。」
妻から犬っころに下げられちゃったけど、ルシアスの緊張が解けたようでよかった。
いつもの笑顔だ。
「はい!ずっと待ってます!!」
ご主人様はなんだかな~。
あ、そうだ、この呼び方がいい。
「旦那様!!」
旦那様がよほど気に入ったみたい。
ルシアスは今すごく可愛い顔をしてる。
「悪くねぇな。とりあえず、何か作っておくからちゃんと食っておけよ。」
正直朝ごはんは私でも作れる。
「朝ご飯は自分で作りますから、早く行ってあげてください。」
「でも」
「いいから、行ってください。ついでにお昼ご飯とかも作っておきますから。」
そう言うとルシアスは私をギュッと抱きしめた。
「ふふ//////」
幸せ。
「すぐに戻ってくる。」
そうしてくださいね、私も1人で待つのはあまり好きじゃないから。
「はい、いってらっしゃい。」
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