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首取りゲーム
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sideダリア
ついに始まってしまった、下克上。
ことの始まりはほんの30くらい前のこと。
・
・
・
リラちゃんとルディが連れて行かれてしまって私とラルフは躍起になって足枷を外そうとしていた。
「どんだけ固いのよ!私の力で外れないなんておかしい!」
どれだけ力を入れてみても全然曲がらない。
「っ!!!!!もう!!!何よ!!私はビューティーゴリラよ!!このっ!!!!」
「ちゃっかり気に入ってんじゃねぇか。ルディを無駄に馬鹿にして……罪な女だな。」
罪な女?
私が??
「私よりラルフの方が罪深いと思うけど?」
毎度私を夢中にして拾ってくれないのはどこのどいつよ。
「俺?なに言ってんだ。」
わからない人に取り合っても仕方ない。
それより……
「早く取れろー!!!!!」
「やめとけ、余計に怪我するぞ。」
やめれるわけないじゃん!!
「リラちゃんを取り返さないといけないからやめない!!!」
「ルディも取り返してやれよ。」
ルディ別に自分で何とかするでしょ!!
「じゃあルディはあげるから私にリラちゃんちょうだい!」
「……いや、ルディはお前にやる。」
私にルディを押し付けようって言うの!?
「絶対嫌!私がリラちゃんをもらうの!!」
リラちゃんだってきっとその方が喜ぶよ。
「残念ながらもう俺のものだ。」
いきなりした声に驚いた。
ルシアス様だ。
空間魔法を使ったらしく、次々と牢屋の中に大人たちが現れる。
「ルシアス様…」
私とラルフはポカンとするばかり。
「しかし痛そうなものをつけられてるな。」
ルシアス様はそう言って私の前にしゃがんだ。
「ラルフ、見せて。」
隣ではライアス様がラルフの足枷を見ていた。
「何をやっても取れない。俺たちより、リラとルディを助けてくれ。」
「そうですよ!2人が連れて行かれたんです!」
私が焦って言うのに、大人たちは冷静沈着。
「もちろん助けに行くし、王は殺すよ。」
…………?ん?
殺す?
ライアス様、今殺すって言った?
「えっと………自分のお父さんですよね?」
いくら王とは言えど。
「そうだね、血筋で言うとそうなる。でも、ただそれだけ。血が繋がっているだけだよ。」
ヴァンパイアという生き物は確かに家族愛が深いとは言えない。
でもここまでドライなのも珍しい。
「アイツもそろそろいい年だ。玉座に長く居座るのはよくないからな、聞くことだけさっと聞いて首を刎ねる。リラの命とアイツの命、天秤にかけるまでもない。」
ルシアス様も父親を手にかける事に全く抵抗がなさそう。
この親子はやっぱり異常だ。
「一体何をしたら息子にこんな見捨てられ方をするんだ?」
クロウさんはあまりのドライさに呆れている。
「聞かない方がいい。」
ルシアス様は詳しくは話そうとしない。
一体どんなことがあったんだろう。
この親子に。
「まぁ、強いて言うなら…俺らがヴァンパイアだから今こうして生きていることができる。人間の脆い体じゃ年のケタが2つになるまでは生きていなかっただろうな。」
荒っぽい育てられ方をしたってことだ。
ライアス様はそれを聞いていつもの中身のない笑みを浮かべている。
きっとひどい目に遭ってきたんだろうな。
そうじゃないと、あんなに作り笑いが上手にはならない。
「僕らの話はアイツの首を刎ねてからでもできる。さっさと首を取りに行こう。」
ライアス様とルシアス様があまりにも迷いがなくて少し怖い。
そんな簡単な流れで恐怖のゲームは始まった。
*******************
sideリラ
交渉をするはずが殺し合いになるなんて。
さらにその相手が王様なんてね。
「俺の可愛い生徒たち、課外授業をするにあたって必要なものを渡す。」
クロウ先生がそう言うと私たちの目の前に金色のナイフが現れた。
「俺たちはかなり忙しくなる。自分の身は自分で守ること。いいな?」
「「「「はい!」」」」
これが授業だなんて、クロウ先生も大概ぶっ飛んでるよ。
「全く虫唾の走る連中だ。」
王はそう言うと本性を露わにする。
獣のようなギラついた瞳。
お上品とはとても言えない。
アルテが王の隣に立った。
「アルテ、ガキどもを殺せ。女だろうが関係ない、八つ裂きにしろ。」
私たち、チーム☆ゴーストの相手は大嫌いなアルテだ。
気合と殺る気はもちろん十分。
だけど残念、4対1でもギリギリ負けそう。
「チーム☆ゴースト、王子様命令だ。アルテを殺せ、躊躇うな。」
ルシアスが私たちにアルテを殺せと命じた。
普段なら殺せなんて言わない。
つまり、私たちが殺さないと私たちは死ぬってことだ。
自分の命か、憎い命か。
選ぶ方なんて決まってる。
私たちはナイフを握りしめ、襲いくるであろうアルテに身構えた。
ついに始まってしまった、下克上。
ことの始まりはほんの30くらい前のこと。
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リラちゃんとルディが連れて行かれてしまって私とラルフは躍起になって足枷を外そうとしていた。
「どんだけ固いのよ!私の力で外れないなんておかしい!」
どれだけ力を入れてみても全然曲がらない。
「っ!!!!!もう!!!何よ!!私はビューティーゴリラよ!!このっ!!!!」
「ちゃっかり気に入ってんじゃねぇか。ルディを無駄に馬鹿にして……罪な女だな。」
罪な女?
私が??
「私よりラルフの方が罪深いと思うけど?」
毎度私を夢中にして拾ってくれないのはどこのどいつよ。
「俺?なに言ってんだ。」
わからない人に取り合っても仕方ない。
それより……
「早く取れろー!!!!!」
「やめとけ、余計に怪我するぞ。」
やめれるわけないじゃん!!
「リラちゃんを取り返さないといけないからやめない!!!」
「ルディも取り返してやれよ。」
ルディ別に自分で何とかするでしょ!!
「じゃあルディはあげるから私にリラちゃんちょうだい!」
「……いや、ルディはお前にやる。」
私にルディを押し付けようって言うの!?
「絶対嫌!私がリラちゃんをもらうの!!」
リラちゃんだってきっとその方が喜ぶよ。
「残念ながらもう俺のものだ。」
いきなりした声に驚いた。
ルシアス様だ。
空間魔法を使ったらしく、次々と牢屋の中に大人たちが現れる。
「ルシアス様…」
私とラルフはポカンとするばかり。
「しかし痛そうなものをつけられてるな。」
ルシアス様はそう言って私の前にしゃがんだ。
「ラルフ、見せて。」
隣ではライアス様がラルフの足枷を見ていた。
「何をやっても取れない。俺たちより、リラとルディを助けてくれ。」
「そうですよ!2人が連れて行かれたんです!」
私が焦って言うのに、大人たちは冷静沈着。
「もちろん助けに行くし、王は殺すよ。」
…………?ん?
殺す?
ライアス様、今殺すって言った?
「えっと………自分のお父さんですよね?」
いくら王とは言えど。
「そうだね、血筋で言うとそうなる。でも、ただそれだけ。血が繋がっているだけだよ。」
ヴァンパイアという生き物は確かに家族愛が深いとは言えない。
でもここまでドライなのも珍しい。
「アイツもそろそろいい年だ。玉座に長く居座るのはよくないからな、聞くことだけさっと聞いて首を刎ねる。リラの命とアイツの命、天秤にかけるまでもない。」
ルシアス様も父親を手にかける事に全く抵抗がなさそう。
この親子はやっぱり異常だ。
「一体何をしたら息子にこんな見捨てられ方をするんだ?」
クロウさんはあまりのドライさに呆れている。
「聞かない方がいい。」
ルシアス様は詳しくは話そうとしない。
一体どんなことがあったんだろう。
この親子に。
「まぁ、強いて言うなら…俺らがヴァンパイアだから今こうして生きていることができる。人間の脆い体じゃ年のケタが2つになるまでは生きていなかっただろうな。」
荒っぽい育てられ方をしたってことだ。
ライアス様はそれを聞いていつもの中身のない笑みを浮かべている。
きっとひどい目に遭ってきたんだろうな。
そうじゃないと、あんなに作り笑いが上手にはならない。
「僕らの話はアイツの首を刎ねてからでもできる。さっさと首を取りに行こう。」
ライアス様とルシアス様があまりにも迷いがなくて少し怖い。
そんな簡単な流れで恐怖のゲームは始まった。
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sideリラ
交渉をするはずが殺し合いになるなんて。
さらにその相手が王様なんてね。
「俺の可愛い生徒たち、課外授業をするにあたって必要なものを渡す。」
クロウ先生がそう言うと私たちの目の前に金色のナイフが現れた。
「俺たちはかなり忙しくなる。自分の身は自分で守ること。いいな?」
「「「「はい!」」」」
これが授業だなんて、クロウ先生も大概ぶっ飛んでるよ。
「全く虫唾の走る連中だ。」
王はそう言うと本性を露わにする。
獣のようなギラついた瞳。
お上品とはとても言えない。
アルテが王の隣に立った。
「アルテ、ガキどもを殺せ。女だろうが関係ない、八つ裂きにしろ。」
私たち、チーム☆ゴーストの相手は大嫌いなアルテだ。
気合と殺る気はもちろん十分。
だけど残念、4対1でもギリギリ負けそう。
「チーム☆ゴースト、王子様命令だ。アルテを殺せ、躊躇うな。」
ルシアスが私たちにアルテを殺せと命じた。
普段なら殺せなんて言わない。
つまり、私たちが殺さないと私たちは死ぬってことだ。
自分の命か、憎い命か。
選ぶ方なんて決まってる。
私たちはナイフを握りしめ、襲いくるであろうアルテに身構えた。
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