生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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火の玉

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sideルディ


天使すぎるリラを担いで崖を登ると…

  

ドン!!!バキッ!!!



とんでもない音が森の中から聞こえる。



「行くぞ。」


たった今崖を登り切ったラルフがダリアを下ろして走り始めた。


「俺らも行こっか。」


俺は別におろさないけどね。



「え?あ、うん!え??降ろさないの!?」


「降ろすわけない!!!天使のおみ足に傷がついたら大変だろ!!」


リラったらたまに訳わかんないこと言うんだから困るよ。


可愛いからいいけど。



「天使??おみ足??」


そうそう、天使のおみ足。


「森は道が悪いからこれでいいの、俺は足腰強いから大丈夫。」



リラくらい担いで走れるよ。


それに担いでいたい。



これなら抱きつき放題なんだからさ!!!


********************

sideダリア

何、なんなの、この嫌な感じ。

こう言う時は決まってルディがリラちゃんにスケベな事を考えてる。


「石……石…石……」


石はどこなの?


危険なルディからリラちゃんを守らないと。


「なぁ、隣で急にとち狂うのやめてくれないか?」


ラルフは石を探す私にそう言った。



「とち狂ってないよ、これは正義の鉄槌、いや、正義の石よ。」

「ばっちり狂ってるじゃないか。」


ラルフが呆れて前を向いた瞬間…


「うわぁぁあ!!」
「おっと…。」


いきなり地震のように地面が揺れた。


危ないと判断した私たちはすぐに止まって周りを警戒する。


「まさか、この地震は喧嘩が原因じゃないよね??」


そんな天変地異を起こす訳ないよね??


だってただの兄弟喧嘩でしょ??


「絶対に違うと言い切れないところが悲しいな。」


まさか、まさかね。



「よっと!何止まっての??」



リラちゃんを担いだルディがすっとぼけた感じで私たちに聞いてくる。


「あんた今地震あったの気づかなかったの??」


さすがルディ。


ドン引きだわ。



「地震?そんなもんあった?」


ルディは担ぎ上げているリラちゃんに聞いた。



「えっと…ずっと揺れてたかな、違う意味で。」



リラちゃんのこの感じかわいい!


無理矢理抱っこされてアタフタしてるの本当に可愛い!


好き!!!!私の親友可愛い!!!



やだ、私までルディみたいな感じになっちゃった。

 
「まぁ細かいことは気にせずわぁあぁぁあ!!!!!」


ルディが途中で絶叫して私たちから距離を取る。


その瞬間、虹色の炎がとんでもないスピードで私たちの間を通り抜けていった。


「な…なんだ…あれは……」


炎は後ろにあった大きな木に直撃して木を木っ端微塵にしてしまう。



間一髪避けたルディと私たちは顔面蒼白だった。


「なぁ、本当に止めに行く?俺ら死なない??」


炎の玉が一発であの威力。


でも2人の喧嘩はそんなもんじゃない。


一度だけ、ライアス様とルシアス様が喧嘩した後の草原を見たことがある。


焼け野原で壮絶を極めるものだったのはよく覚えていた。


どうして兄弟で仲良くできないのかな…


もう本当分かんない。


**********************

sideリラ


「危ないけど少し先に進む??」


ここでいつ飛んでくるかわからない火の玉を避けるより直接仲裁しに行った方がいい気がする。



「ここで止まるよりマシだな。行くか。」


ラルフはそう言ってスタスタ進みだす。


さすが、男気の塊だね。


「ちょっ!ラルフ!そんなにもスタスタ言って大丈夫??匍匐前進ほふくぜんしんの方がよくない??」


「大丈夫だ、来たら避ければいい。」


「え!?そんな適当な感じ!?」



2人を見て微笑ましく思っているとルディが前進した。


「リラ、絶対避けるから安心してね!」


そもそも降ろした方が楽なんじゃないかな…?



「ルディ、私も歩くよ?」


そしたらルディの負担にならないでしょ?



「いや、俺こっちの方が都合いいんだよね。いつどこに飛んてくるかわからない火の玉を警戒しながらリラの動きも把握するより、こっちの方が楽。」



ルディはどんな時でも私を守ることを考えている。


それってなかなか出来ることじゃないのにすごい。



ルディはやっぱりすごい子なんだ。



「そっか、じゃあルディの言うことを聞こうかな。」


早く誰にも心配させないような実力をつけないと。


いつまでもお荷物ではいられないからね。


ヒュッ!!!


何か大きなものが飛んできた。


火でも石でも木でもない。


人型だった気がする。



確認するのが怖かった。


いつも強い人がぶっ飛んで行ったんだだから当たり前だ。


地面に投げ出されたその人はライアスだった。

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