生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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新メンバー

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sideリラ  


ルシアスは言葉通り、みんなに召集をかけた。


そして、みんなで仲良く大きな丸いテーブルを囲んでいる。



みんなと言うのは、ライアスとルシアスとルルドさんのキジャさん、チーム☆ゴーストにクロウ先生。


これはいつものメンバーなんだけど、1人初めましての人がいた。


「ほら、自己紹介をしろ。お前の仲間だ。」


クロウ先生はそう言って新メンバーに催促する。



「ルーカス、魔法使い。」


新メンバーは、カルロスに支えていた青年だ。


私とルディが拘束されていた時に変な魔法を使った例の青年。



「ルーカス、そんなんじゃ何も伝わらないだろう。」


ルーカスは勘弁してほしそうな顔でクロウ先生を見た。


「はぁ、全く。」


クロウ先生はルーカスの代わりに自己紹介を始めた。


「ルーカス、年はチーム☆ゴーストと同じで俺と同じ魔法使いだ。 見ての通り寡黙な奴だ、無愛想なわけじゃない。仲良くしてやってくれ。ちなみに、カルロスの言うことを聞いていたのは洗脳にかかっていたからだ、ルーカスの意思じゃない。」



それはつまりチーム☆ゴーストに加入させるってことかな??



私たち4人は目を見合わせた。



みんなの顔にあとで集合、って書いてある。


もうこんなに長くチームしてたらわかるんだよね。



「ルーカスはわかった、その辺りはチーム☆ゴーストに任せるとして本題に入ろう。」



ルシアスが私に視線を移す。


さっき聞いた話をすればいいんだ。


「えっと…」


みんなの前で話すのは緊張するけど頑張ろう。


「聞いたことをありのまま話します。」



私はそう前置きして、本当にありのまま聞いたことを話した。

















「…という事です。」


話終わるとみんな納得いかない表情だ。


「相手の好意をを存分に利用して顔と両足を失わせ、挙句の果てには殺すつもりが自分と命をつなげられたと。…間抜け以外の何者でもないな。」




ルシアスは相変わらずわ辛口だ。



「間抜けというかいろいろとどうかと思うよ。」



ライアスも引くくらいの最低な男だって事だ。



「でもかなり重要なことはわかりました、あの女が大昔の専属魔法士だった事です。」



ルルドさんがそうまとめると…


「あ、思い出した。」


ライアスが何かを思い出したみたい。



「一瞬抜けるね。」



ライアスはそう言って本当にこの場から消えてしまった。


「一体何をしに行ったんだ?」


クロウ先生も不思議そうにライアスが出て行った扉を見た。



「お待たせ。」
「「!!!」」



ここにいる誰もが驚いた。



本当にライアスが一瞬で戻ってきてしまったから。


しかもライアスは私の真後ろにいる。



「ほら、僕とルシアスがあの女に見覚えがあったのはこれに載っていたからだよ。」



ライアスは私の後ろから大きな本を私の目の前に置いた。



「ほら、ここ。」


ライアスが後ろから覆い被さるように体を近づけてくるから少し緊張する。



「普通に横から渡せばいいだろうが。」


ライアスの体を私から離したのはルシアスだった。



「ルシアスがそうしたら?」

「あ?」  




ここでまた喧嘩勃発したらたまらない!!



「ね、ねぇ、見てこれ!!ライアスが書いた絵にそっくりだよ!」



私は2人の間をすり抜けて、チーム☆ゴーストのところにライアスが持ってきた本を見せに行った。



前にジャングルで描いてもらった絵にかなり似ている。



ライアスの絵の才能は本当にすごい。



「人間にしては綺麗な顔をしてる。」


タランテラはラルフも感心するほどの美人。



赤い髪が印象的だ。



「綺麗っていうかキツそうだな、気合入ってるって感じ?俺は全然タイプじゃねぇな。リラが1番だから安心して!」


ルディはよく分からない報告をしてきた。


「あ、うん、ありがとう。」


「でも本当に綺麗よ、羨ましい。」


ダリアちゃんはため息をつきながら写真を覗き込んだ。



私はダリアちゃん方が綺麗だと思う。


そう言おうとしたら………


「君の方が綺麗だ。」


ルーカスに先を越されてしまった。



その発言にこの場が静まり返る。


私とルディは誰よりも早くラルフの表情を確認した。


「え?そ、そう?あはは、なんか照れるな…/////」


ダリアちゃんのこの発言を聞いて私とルディの危機感が限界を越える。

 

そしてついにはラルフが立ち上がった。
 


「(ヤバいぞ!リラ!!新メンバーがラルフに殺されちまう!!」

「(取り押さえよう!!)」


私とルディは視線で会話し、見事なコンビネーションでラルフの両脇を固めた。



「ラルフ、座ろう、とりあえず座ろう。」


「そうだよ、ラルフ。ね?座ろう?」



私とルディはとにかくラルフを着席させることに専念した。





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