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不吉なもの
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sideルーカス
薬を作り終え、ラルフの部屋に戻っていると悲鳴が聞こえた。
焦って走って戻ったら…
「っ!!!!」
「ケケケケケケケケケ…」
おかしなメイドが生首を持っている。
俺は絶句した。
明らかに異常なこの状況と、肌が焼け爛れそうな程の嫌な魔力。
これは闇の魔力だ。
魔力を纏っているのはあのメイド。
あのメイドに触れるのも毒だ。
ここは俺が魔法で「朝から気持ち悪いもの持ってきてんじゃないわよ!!!!」
「え。」
ダリアの怒号と共に、ワイングラスがメイドの頭に投げられる。
「あんた!!絶対ヤバい薬やってるでしょ!!!そんなお粗末な作り物持ってきて誰の差金よ!!!まさかあの女!?」
ダリアは奇跡的に壮大な勘違いをしてる。
「あの女、まだ懲りてないのね。こんな姑息な真似して私たちを驚かせようとして…ほんっと許さない!!!
どこにコネがあったのかしら!!」
「ダリア!あれは作り物じゃない!本物だ!!」
部屋の中からルディの声が聞こえた。
「本物な訳ない!!血の匂いがしないじゃない!!」
血の匂いがしない??
俺は人間だからその辺は分からないけど、ダリアほどの嗅覚で血の匂いがわからないはずがない。
どうして血の匂いがしない?
高度な魔法を使えば匂いを消すことはできる。
でもどうして匂いを消す必要が?
まさかあの頭部に何か隠しているとか??
何にしても……
「全員逃げろ!!!早く!!!!」
こんなに大声を出したのは生まれて初めてだった。
それくらい切羽詰まっていた。
メイドが俺の方を向いてまた不気味な笑みを浮かべる。
「ビ……ショップ………?」
その気持ち悪さに足が止まった。
「リラ!!待て!!!」
ラルフが焦ったように叫んだ。
「ルーカス!!!逃げて!!」
隙をついてリラがメイドに殴りかかる。
「リラ!!触っちゃダメだ!!!」
俺が忠告するには遅すぎた。
リラがメイドの頭にかなり重い一撃を喰らわせたからだ。
メイドは不自然な体制でリラの拳を受け止めて、トレンチに乗っていた頭を床に落とす。
その瞬間、景色は一変した。
*********************
sideリラ
頭部が落ちた途端、視界を奪われるような光に襲われた。
ピカッと白い光が一面に広がり、大きな音がしたと思えば体が宙を舞っている。
理解ができなかった。
突然すぎて、痛みも追いつかない。
ドサッ!!!!
痛いと分かったのは私が床に落ちてから。
凄まじい痛みが体全体を支配している。
骨が砕けているのが分かるほど、さっきとは打って変わって鮮明に。
「うっ………」
目が痛い。
きっと光に充てられたんだ。
私が地面に転がっていると、誰かが私に馬乗りになった。
「っ!!!!さわら…ないで…!!」
視界が少しだけ戻ったから私に馬乗りになっている人物がはっきりわかった。
さっきのメイドだ。
血塗れのメイドは壊れた人形のように首をカクカクさせている。
「ワタシノ…カワイイ…カワイイ………カジツ…」
え?なに?果実??
「離れギャッ!!!!」
胸に信じられないような痛みが走った。
「あ゛っ!!がはっ!!!あ゛っ!!!」
何か太い物を刺されている。
白目を剥くほどの痛みだった。
その太いものは私の心臓を少しだけ貫き…
「ガハッ!!」
私を吐血させた。
チューッと嫌な音がして一気にその太いものが私から抜かれる。
「ぎゃっ、あっ、ゲホッ!はぁはぁはぁはぁ…」
思考が追いつかない。
刺された、でもあの変な音は何?
私は何をされたの??
必死にメイドを押しのけて、言う事の聞かない体を引きずるように逃げる。
少し動いただけなのに全身が刺されたように痛くなった。
「キャァアアッ!!!!」
自分から出たとは思えないほどの奇声だ。
それほど、この痛みが耐えられない。
まるで全身を回っているような嫌な感覚だ。
痛みに耐えかねた私は意識を手放し、冷たい床に頭を打ちつけた。
薬を作り終え、ラルフの部屋に戻っていると悲鳴が聞こえた。
焦って走って戻ったら…
「っ!!!!」
「ケケケケケケケケケ…」
おかしなメイドが生首を持っている。
俺は絶句した。
明らかに異常なこの状況と、肌が焼け爛れそうな程の嫌な魔力。
これは闇の魔力だ。
魔力を纏っているのはあのメイド。
あのメイドに触れるのも毒だ。
ここは俺が魔法で「朝から気持ち悪いもの持ってきてんじゃないわよ!!!!」
「え。」
ダリアの怒号と共に、ワイングラスがメイドの頭に投げられる。
「あんた!!絶対ヤバい薬やってるでしょ!!!そんなお粗末な作り物持ってきて誰の差金よ!!!まさかあの女!?」
ダリアは奇跡的に壮大な勘違いをしてる。
「あの女、まだ懲りてないのね。こんな姑息な真似して私たちを驚かせようとして…ほんっと許さない!!!
どこにコネがあったのかしら!!」
「ダリア!あれは作り物じゃない!本物だ!!」
部屋の中からルディの声が聞こえた。
「本物な訳ない!!血の匂いがしないじゃない!!」
血の匂いがしない??
俺は人間だからその辺は分からないけど、ダリアほどの嗅覚で血の匂いがわからないはずがない。
どうして血の匂いがしない?
高度な魔法を使えば匂いを消すことはできる。
でもどうして匂いを消す必要が?
まさかあの頭部に何か隠しているとか??
何にしても……
「全員逃げろ!!!早く!!!!」
こんなに大声を出したのは生まれて初めてだった。
それくらい切羽詰まっていた。
メイドが俺の方を向いてまた不気味な笑みを浮かべる。
「ビ……ショップ………?」
その気持ち悪さに足が止まった。
「リラ!!待て!!!」
ラルフが焦ったように叫んだ。
「ルーカス!!!逃げて!!」
隙をついてリラがメイドに殴りかかる。
「リラ!!触っちゃダメだ!!!」
俺が忠告するには遅すぎた。
リラがメイドの頭にかなり重い一撃を喰らわせたからだ。
メイドは不自然な体制でリラの拳を受け止めて、トレンチに乗っていた頭を床に落とす。
その瞬間、景色は一変した。
*********************
sideリラ
頭部が落ちた途端、視界を奪われるような光に襲われた。
ピカッと白い光が一面に広がり、大きな音がしたと思えば体が宙を舞っている。
理解ができなかった。
突然すぎて、痛みも追いつかない。
ドサッ!!!!
痛いと分かったのは私が床に落ちてから。
凄まじい痛みが体全体を支配している。
骨が砕けているのが分かるほど、さっきとは打って変わって鮮明に。
「うっ………」
目が痛い。
きっと光に充てられたんだ。
私が地面に転がっていると、誰かが私に馬乗りになった。
「っ!!!!さわら…ないで…!!」
視界が少しだけ戻ったから私に馬乗りになっている人物がはっきりわかった。
さっきのメイドだ。
血塗れのメイドは壊れた人形のように首をカクカクさせている。
「ワタシノ…カワイイ…カワイイ………カジツ…」
え?なに?果実??
「離れギャッ!!!!」
胸に信じられないような痛みが走った。
「あ゛っ!!がはっ!!!あ゛っ!!!」
何か太い物を刺されている。
白目を剥くほどの痛みだった。
その太いものは私の心臓を少しだけ貫き…
「ガハッ!!」
私を吐血させた。
チューッと嫌な音がして一気にその太いものが私から抜かれる。
「ぎゃっ、あっ、ゲホッ!はぁはぁはぁはぁ…」
思考が追いつかない。
刺された、でもあの変な音は何?
私は何をされたの??
必死にメイドを押しのけて、言う事の聞かない体を引きずるように逃げる。
少し動いただけなのに全身が刺されたように痛くなった。
「キャァアアッ!!!!」
自分から出たとは思えないほどの奇声だ。
それほど、この痛みが耐えられない。
まるで全身を回っているような嫌な感覚だ。
痛みに耐えかねた私は意識を手放し、冷たい床に頭を打ちつけた。
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