生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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最悪の展開

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sideルルド

いきなりの爆音が城内に響き渡った。


俺は廊下を走り抜けすぐにライアス様の元へ向かう。

ライアス様に何かあるなんて事は絶対に防がなければならない。



「はーい、確保~。」



そんな俺の邪魔をする男が1人。


キジャだ。


「やめろ!!離せ!!」


キジャはどんな怪力か知らなないが俺を肩を担ぎ上げた。


「ちょーっと冷静になろうか。」

「俺はいつでも冷静だ!!離せ!!!」



本当にタイミングの悪い奴だ。


気絶させてでも…



「信者もいいけど、ちょっと頭使えよ。もしかしたらこれ陽動かもよ?」


は?


「陽動?」


「うん、陽動。爆発音はそこまで大きくない、おそらく規模の小さい爆弾か何か。聞こえた方向を考えたら、ルディたちの階。
きっともう怒り狂った闘牛のごとくの王子様方が見に行ってるから俺たちは出る幕はなし。 
それより俺たちは別のお仕事しようか。」



キジャは間抜けそうに見えて侮れない。


ルシアス様が自ら選んだ手練れなわけはある。



「分かった…俺たちはどうする。」


冷静さを失っていた事に気がついた。



キジャに気付かされるなんてな。


「そりゃ、もう1人のお偉いさん。ヒントは投獄中。」


ヒントと言うかそれは答えじゃないのか?



「元国王か。」


「正解~。」




よし、それはわかった。



「キジャ。」

「ん?」



ん?じゃないだろう。



「降ろせ。」



*******************

sideダリア


おかしな爆発から数分で私は目が覚めた。

 
私が一番爆弾から離れていて怪我が少なかったからすぐに復活できたけど…


「みんな……」


他のみんなはまだボロボロ。


特にひどいのは…


「ラルフ…」


ラルフは火傷が特にひどい。
 
  
「ダリア、大丈夫だ。俺が綺麗さっぱり治してやる。先生に任せろ。」
 

泣きそうな私に声をかけたのはクロウさん。


クロウさんが治すと言っているんだから間違いはない。



「はい…お願いします。」


本当になんだったんだろう。



まだ混乱してる。



「ダリア。」


そんな私に声をかけたのはライアス様。


「大丈夫?」


ライアス様が私を心配するなんて。


「はい、大丈夫です。それより、何があったか話しますね。」


きっと一番知りたいだろうから。



「間に合ったな。」


ルシアス様が突然現れた。


「大丈夫か?」


ルシアス様まで私を心配してくれるなんて。


お二人とも丸くなったよね。


「はい、大丈夫です。とりあえず、私が見たことを全てお話しします。」



****************

sideルシアス


ダリアから話を聞いて驚かなかったと言えば嘘になる。


それより引っかかるな。



ダリアは生首が本物か偽物かわからないと言ってる。


血の匂いがしないのは不自然だ。


「メイドが朝から生首を持ってきた、ね。災難だったね。」



災難どころの騒ぎじゃない。



「とりあえず地下牢に行ってあのろくでなしが生きているか確認するぞ。」


もしも万が一死んでいたとしたらそれはそれで大事だ。


厳重な警備を潜り抜け、俺ら4人がかりで殺したアイツをあっさりと殺したってことなんだからな。


「ライアス様!!」
「団長!!!」



いいタイミングでキジャとルルドが来た。



「お前ら最高のタイミングだ、今から」
「大変です!!!!」



ルルドが血相を変えて大きな声を出した。



この表情を見る限り、ダリアの話が本当だった事になる。


「キジャの地下牢に行ったのですが…お父上は…。」


ルルドは言いづらそうだな。



「キジャ、話してくれ。」


しかし2人とも賢い奴だ。


こんな大騒動の中、2人だけは地下に行くとは。



「首を切られていました。牢の鍵は破壊されていて、見張りも皆殺しです。」


ダリアが口に手を当て息を呑む。


「なるほどな。どっかの誰かさんは、地下牢の見張りを皆殺しにし、俺らのパパの首をちょん切った挙句に爆弾に改造しちまったと、そう言う訳だ。」


なかなか趣味が悪い。


「ただのメイドにできる事じゃない。」


ライアスの言う通りだ。


そして俺らは最悪の展開を迎えている。



誰がろくでなしを殺したのかはすぐにわかった。



その力と残虐性を見るに1人しか見当たらない。



俺らが愛して止まないイカれ女の登場だ。





「あの魔女がこの城内にいる。」
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