生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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sideリラ


ルディが私を守ると言ってくれた。


「そうだね、困ってるリラちゃんを怖い人に突き出すなんてできない。」


もちろん、ダリアちゃんも。



「俺らもちゃんと命をかけるつもりだ、安心しろ。」


ラルフは命までかけると言った。


そうか、大人全員に嘘をつくと言うことはそう言うことなんだ。


「俺だって全力を出す。ちゃんと調べ上げて必ず解決する。……だから一度城に戻ろう。
ここにきたのはサプライズと、この話を誰にも聞かれないようにするためだから。」



ルーカスはまだ私と会って日が浅いのに…

根がいい子なんだろうな。



私がいつまでもメソメソしていてはいけない。



「うん…ありがとう。」


仲間ってこんなにも暖かくて心強いものなんだね。


知っていたはずなのに、何度目だろう。


この暖かい気持ちに包まれるのは。



「話も終わったし戻るか。あまり城を空けると不審がられる。」



ラルフの言う通り。


「うん、戻ろう。」


状況が変わった訳じゃないけど、少しだけ自分の気持ちが楽になった。


成長した気がする。


誰かに頼ることを覚えたからだ。


今回はみんなに大きな借りができることになる。



この借りをいつか返せたらいいんだけど…。



********************

sideルシアス


あの騒動からきっかり2時間、城の隅々まで調べて頭がおかしくなってしまった奴は先に殺した2人を除いて7人。


計、9人だった。


しかも全員メイド。


あの魔女はいつも通り煙のように消えてしまって結局捕まえられない。


今生きているのは4人だ、他の3人はライアスが殺した。



残った4人は体を縛り一列に並べている。


「どうせ殺すならサッと殺してあげればいいのに。」


「落とした常識と真心を全力で拾ってこい。」
   


最初からそんなもんがあったかは微妙だけどな。


「僕、常識はあると思ってた。」


そうか、だからお前は非常識なんだな。


今の発言で本当によくわかった。


「ただ殺すだけじゃ何も進歩がない、すぐに解剖して何がどうなってるか調べるぞ。」


「お前こそ、常識と真心を全力で拾って来い。生きたままは無理だ。せめて気絶させてからじゃないと暴れて解剖どころじゃなくなる。」



クロウに突っ込まれた。  


俺の言葉が足りなかったな。



「当たり前だろうが、もちろん気絶させて捌く。俺を何だと思ってるんだ。」


「なんだ、そのまま解剖する訳じゃないんだね。」



ほらな、ライアスはまるで常識がない。



「全く…お前たちはどうしてそう残虐な思考になるんだ…」



おい、クロウ。



「コイツと一緒にするな。真心はともかく、俺はコイツよりは常識がある。」


「どっちもどっちだ。」



俺たちのそんな会話を聞いて、チーム☆ゴースト全員がドン引きしていた。


*******************

sideルディ


2時間かけてやっとの思いで、おかしなメイド達を捕まえたはいいが…



やっぱりだめだ、コイツら。



殺すか、殺すか、殺すかしかないじゃん。



何はともあれ、リラを突き出さなくて正解だ。



リラは変なものを胸に打ち込まれたと言ってた。


そんなことがしれたら、解剖しかねない。


特にライアスがな。



「お待たせしましたー。」

「お待たせ致しました。」



突然キジャとルルドが現れた。



2人は紙を持っていた。



何かを調べて来たみたいだけど、一体何を調べてたんだ?



「はいこれ、2人で調べた今回の被害者リストです。」

「さすが仕事ができる奴は違うな。」


「ライアス様、こちらです。」

「ありがとう、ルルド。」


キジャはそう言ってルシアスに紙を渡し、ルルドはライアスに紙を渡した。


2人で仲良く紙を見合うってのは無理らしい。


だからわざわざ2枚用意してんのか。



部下も大変だね。





「全員メイドで、ターニャ、アイビー、ラナ、アリス、ニナ、テナン、エイラ、ルミ、アヤ。」


ライアスはその名前を読み上げて呆れたように笑った。


「あの女…ご挨拶だな。」


ルシアスも呆れてるけど、俺はどうして呆れているのかさっぱり分からん。


「何がご挨拶??」



俺とリラとダリアはぽかんとするだけ。



ルーカスとラルフはどうやら真相が分かったらしい。



「ねぇ、ちょっと教えなさいよ!」


ダリアがラルフに言うと……



「今のメイドの名前の頭文字並べてみろ。」


ターニャ T
アイビー A 
ラナ   R
アリス  A
ニナ   N
テナン  T
エイラ  E
ルミ   R
アヤ   A



「「「あ!!!!」」」



取り残された俺たち3人はようやく気がついた。



ルシアスの言う通り、


「本当ご挨拶だな!!最低じゃん!!!」


人の命を何だと思ってんだよ…!!!
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