生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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不確かな夢

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sideリラ


ライアスに噛まれた事は覚えている。


優しく抱きしめられたことも。



そして私が眠りについたのも何となくわかっていた。



だけど……



「あっ…/////あっ!ライアスっ…//////」



覚えがない。


知らない場所で、絶対にありえないことが起きている。



それは、ライアスが私を抱いていること。



「リラ…愛してるよ…愛してる…愛してる…」



私はライアスの逞しい体に組み敷かれて、愛を囁かれている。


何度も何度も愛を囁き、私の体を貪っているライアス。


なんとなくこれは夢だと分かるけど、私の感情と感覚があまりにもリアルで怖い。



私はライアスの腹の下で複雑な感情を抱いている。


その快感を愉しんでいる事は事実だ。

そして背徳感も。


ルシアスの事が何度も頭によぎる。


「っ////////」


それでもライアスの与える刺激や熱に体が反応している。


「ンッ//////」


ライアスにキスされて、泣いて、また快感に流される。


ただその繰り返し。


「ルシアスのことは考えないで…?今は僕だけ見てよ。」


ライアスの快感に歪む顔が切ない。


愛に飢えている顔だから。



「僕が…リラを抱いてるんだよ?」


私の事を愛おしそうに撫でて、縋り付くライアスは救いを求めているように思えた。



「うん…//////」



私がライアスの頬に手を当てれば、ライアスはその手に愛おしそうに顔を寄せた。



「こんなに幸せだとは思わなかったよ…ルシアスの元に返したくない…」



ルシアスとは全然違う抱き方なのに、私は感じてる。


それは、ライアスに噛まれた毒のせいだと思いたい。



毒のせいだよね……?



私がふしだらな女だから?


私がライアスを誘ったの?


どうしてこうなっているんだっけ?


どうしよう…分からない…。



「ずっとこうならいいのに…ずっと…ずっと…」


ライアスは今にも泣き出しそう。


「あぁ…もういっそ…」



そんなライアスは私の首に手をかけた。



「ねぇ、リラ……このまま…殺してしまおうか…」


ぐっと首に入り込む大きな手。


それは私の意識をさらに網羅させる。



だけど不思議と恐怖はなかった。



「ライ…アス……っ!」


ライアスの名を呼ぶと、ライアスはすごく喜ぶ。


「何…?」


あなたはもう、とっくの昔に壊れてしまっていたのね。


私への思いを募らせ、もう耐えられないくらいの苦痛を味わったのよね?


だからこうして私の急所に手が伸びた。


これはある意味、ライアスの助けて欲しいサインだ。


ここまで追い詰めたのは私なのかもしれない。



この言葉で救われるのなら、私は何度でもライアスを救う。



こんな事をされても、ライアスの苦しみを理解してしまったから。


どうしてか、ライアスを憎めないの。



「愛してる…」



ルシアスを愛しているのは変わらない。


だけど、ライアスを見捨てられないのも事実。



私がおかしいのはわかってる。


分かっていてこの状況から抜け出せない。


私はきっと地獄に落ちる。



罪の意識は沸々と湧いていった。
















「っ…」
「リラ?」


ルーカスがいる。


景色を見てさっきのことが夢だとはっきり分かった。


ここは森の中。


「リラ、気分は?」


気分?


「うん…大丈夫だよ。」


まだふわふわするけどね。


「よかった。丸一日寝てたから心配した。」


丸一日??


「そんなに眠っていたんだね…。」


少し怖い。



「ヴァンパイアの毒が、しかも血の繋がりのある2人の毒を体内に入れたとなれば寝込むのも仕方がない。
1日で起きれたのが奇跡だ。
2人のどちらかが加減をしたんだろう。」



ロレンジアさんが私に話しかけた。



「加減……ですか。」



残念ながらどっちが私に加減をしたかは分からない。



2人とも結構容赦なかった印象だから。




私を労ったのはどっちだろう。



ライアス?ルシアス?




今度会った時聞いてみたいけど、2人とも素直に答えてくれるのかな…。
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