生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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隠し部屋の床下

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sideルディ


「ったく、ダリアも狼遣いが荒いな。」
「そんなの昔からだろ。」



クロウさん達が出かけて30分くらい経った。


俺らは相変わらず呪文探しに奔走してるけど、片付けも大事な仕事だ。


で、俺らはダリアとキジャとルルドが読んだ山積みの本をあの不気味な秘密の部屋に片付けているところだ。



「あ、それこっちに片付けてー。」


俺らが本を持って行くとキジャが先に本を片付けていた。


「ルルドを1人にしていいのか?」


ラルフがキジャに聞いた。



「ルルドはあぁ見えて俺の100倍優秀だから大丈夫。」


キジャは片付けながらサラッと言う。


「でもさ、ルシアスについていかなくてよかったの?一応、立場的に護衛とかしなくちゃいけないんじゃないの?」


俺はここが気になった。


というかいつも気になってる。


ルルドもキジャも騎士の割には王族ほったらかしすぎじゃない?



「護衛なんかした事ないなー。面倒だし、そもそも必要ないし。」


俺とラルフは顔を見合わせた。


「それもそうだな、護衛なんて言ったらルシアスはキレそうだし。」


アイツ他人に守られるの嫌いそうだからさ。


いや、確実に嫌いだろうな。



「そうそう。あ、それそっちねー。」

「はいはい。」


俺らは言われたとこに本を直すけど…



「やっぱりここ変な匂いすんだよなー。」



頭痛くなる。



「そうだな、早めに終えるぞ。」


ラルフもこの匂いは嫌いだよな。


「俺は全然分からないけど、もしかしたら何かあるんじゃない?探してみる?」



キジャは軽く、探してみる?とか聞いてくる。



「これ以上探しようがないだろう。ほぼ部屋の中のもん探したし。」


「まだまだ甘いねー。」



甘いって言われたんだけど。



「まさか床でも剥がすのか?」
「うん。」


ラルフの冗談にキジャが真顔で答えた。


「え…マジ?」



俺が聞き返しても…


「マジ。」


この返しだ。


「いや、さすがにルシアス辺りが怒るんじゃないか?」


ラルフがキジャに聞くと、キジャはケロッと答える。


「あぁ、いいって。もし団長になんか文句言われたら、ルディが床突き抜けたって言えばいいし。」


「おい、キジャこら。人権。知ってる?俺殺されるよ?」

「分かった、それでいこう。」

「ラルフくーん、人権。人権って言葉知ってる?もう一回言うけど俺殺されちゃうよ?」



2人は俺の人権を無視し、話を無視し…



バキッ!!!!!



2人揃って床にかかと落としをした。


床はバラバラと崩れ落ち、同時に俺の人権も虚しく崩れ落ちる。



さよなら俺の人権、さらば俺の命。


*******************

sideキジャ


全ての罪をルディに着せる事にしてラルフと一緒に床下を剥がす。


そう言えばかなり前に団長とこんな事したっけ。


バリバリバリ!!!!


ラルフはルディの命なんてお構いなしに床を剥がしていった。


「ねぇ!そこ!剥がしすぎ!俺の命考えて!命大事にして!!」


「ん?何かあるな。」


「ラルフくーん、俺の命かかってますよー!わかってますかー!」



しかし騒がしい。


まぁ、嫌いじゃないんだけどね。
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