生贄少女とヴァンパイア

秋ノ桜

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拒否反応

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sideリラ

ライアスに潰されるのは時間の問題。


そろそろ背骨がひしゃげてしまう。


「っ……!!……ルシ…アス…!!」


1人ではどうにもならないと判断して、ルシアスを呼んだ。

 
念を込めてルシアスを呼べば、指輪が反応してくれる。



「ルシアス…!!」


もう一度名前を呼んだら、ライアスの腕がさらに私に食い込んだ。



「っ…かはっ…!!」


ルシアス、早く来て!!


もう一度名前を呼ぼうとしたら、誰かに思い切り後ろに引っ張られた。


「そこにいろ。」


ルシアスが来てくれた。


ルシアスは私を廊下の壁へ近付ける。


何をするかと思えば…


「お前、今まで見た中で最強に不細工になってるぞ。」


ライアスにとんでもない暴言を吐き、部屋に入って行った。


*********************

sideルシアス


体の中を治すのに相当体力を使ったみたいだな。


そのせいで、ここまで飢えている。


「不細工は…お互い様なんじゃない?」


なんか張り合いがないな。


「もうやめとけ、弱い者いじめしてるみたいで嫌だ。」


ここまで弱るか。


他人の精神に入るのは恐ろしいな。


「そこまで馬鹿にされて怒らない僕じゃないよ。」


そんなに馬鹿にしたか?


今日は手加減してるんだけどな。


「病人は大人しく寝てろ。あ、でも待て。」


近くにあったコップを取った。


自分の手首の内側に噛みつき肌に穴を開ける。


俺の血はボタボタと流れてコップへ注がれた。



「ほら、とりあえず飲め。隣の部屋にはリラがいる。こんな腹すかせた奴の近くに置いておけない。」



ライアスは渋々と言った感じでそのコップを受け取った。



「まさか僕がルシアスの血に助けられるとはね。」

「どういたしまして、さっさと飲め。」



ライアスは俺の血を飲んで相当不味そうな顔をする。



「……不味い。」


そもそも血縁者で野郎同士。


美味いわけがない。
 

「贅沢言うな、今はこれで」
「ゲホッ!!」


ライアスはいきなり胃の中のものをひっくり返した。


と言っても、俺の血しか飲んでないから吐血みたいになっている。


「………大丈夫か?」


そこまで不味いか、俺の血は。



いや、これは少し違うな。



ライアスの体が俺の血を受け付けていない。



「大丈夫じゃないよ。」



だろうな。



どんなに不味くても体が受け付けないなんてことはない。


腐ってもヴァンパイア。


どんなに劣悪な血でも飲みさえすればそれなりの力になる。


「くそ、あのイカれ魔女に聞く質問が一つ増えたな。」


馬鹿みたいに体力のあるライアスがこのザマだ。


なのにあの魔女は吐血一つせず、悠々と捕まってる。


俺が拷問してた時は流石に吐血してたが…


「簡単には喋らないと思うよ。」


ライアスは頭が痛いのか、額を押しながら俺に言った。


「そうだな。確かに何をしても一言も話さない。」


かなり痛いことをしているはずなのに、あの女は本当に強情だ。



「とにかく行って。聞き出してきてくれたら嬉しいよ、元気の秘訣をね。
それから、リラを遠くへやって。
うっかり殺しました、なんて洒落にならないからね。」
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