トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

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55話

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「さて、これより今回初の試みとなる、冒険者同士による模擬戦を行ないます」


ウォォォォォーッ


冒険者による歓声が鳴り止まない中、ミリアが司会を続けていく。


「模擬戦のルールは以下の通り・・・ーー。
今回の模擬戦の成績とこれまでの実績をもとに冒険者パーティーの順位を決めさせていただきます。
出場者の皆様は、トップ冒険者パーティーの称号を目指し、頑張ってください」


ミリアの掛け声で、この会場に設置されている映像を映す巨大なモニターに模擬戦のルールが映し出された。


ルールは簡単だ。


10組の出場者がそれぞれ冒険者同士で1組ずつ戦っていくだけ。


より多く勝利したものが有利になり、負ければ負けるほど失点につながる。


冒険者同士の戦いだけに命に関わる戦闘は禁止されているが、怪我などにおいてはギルド専属の医療機関を総動員させていて、安心だ。


戦う順番は既に決められていて、僕達【パレード】は初戦から【虎の牙タイガー・ファング】と戦うことになっていた。


「いきなりですね・・・」


僕はそれを見て、【虎の牙タイガー・ファング】に因縁がある【大剣使いのクイナ】に言った。


「そうですね・・・。
でも、戦う前にライドさんの力を知られるよりかはよかったかもしれません」


クイナは初戦から【虎の牙タイガー・ファング】と戦うに関して、そう答えた。


この戦いは、【虎の牙タイガー・ファング】のメンバーに後衛職の力を知らしめるのが目的の一つだ。


僕の職業である【付与師ふよし】の力を、一度見る前に体験させられることをクイナはプラスに考えていた。


ーーその後すぐに第一回戦の準備が開始される。


僕達【パレード】と【虎の牙タイガー・ファング】の2組の冒険者パーティーを中心のステージに残し、残りの冒険者達は控室へと案内されていった。


「まさか最初に【パレード】の皆さんと戦うことになるとは思いませんでした。
冒険者同士での戦闘は初めてで手加減しますが、怪我をさせたら申し訳ありません」


準備が整うのを待っている間、【虎の牙タイガー・ファング】のリーダー【大剣使いのレン】がそう言って挨拶に来ていた。


その後ろにはメンバーも勢揃いである。


多分レンは、モンスター相手とは違い、女性の多い僕達【パレード】を対人戦では弱い存在として見ていて、と言っているのだろう。


「ご心配なく、本気で来てください」


だけどクイナがその言葉を突っぱねて返した。


「クイナ・・・」


「クイナさん・・・」


その様子に【虎の牙タイガー・ファング】のメンバーであり、クイナの知り合いの【魔法使いのアカリ】と【回復職ヒーラーのエリカ】が心配そうに名前を呼んでいた。


クイナが言っていたように、見るからに2人はこき使われている様子で疲れた顔をしている。


「大丈夫、心配ないわ」


2人の様子にクイナがそう声をかけていた。


「わかりました、後悔しても知りませんからね」


レンは顔には見せていないが、多分そのクイナの様子が気に入らなかったんだろう。


そう言って、すぐにメンバーを連れて離れていった。

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