トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

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56話

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僕達【パレード】と【虎の牙タイガー・ファング】が向かい合う形で立つと、ちょうど一回戦目の準備が整った。


「両選手、準備はよろしいですか?」


司会に続き、審査員もミリアが続けるようでステージ上に立ち、聞く。


「大丈夫です」


僕達はすぐに武器を構えて戦闘態勢に入る。


虎の牙タイガー・ファング】のメンバーも準備万端のようだ。


「では、第一回戦始めます!
ーーよーい、始め!!」


準備が出来ているということで、ミリアが試合始めの合図を出した。


「おらぁーっ!」


いきなり先制攻撃を仕掛けてきたの【虎の牙タイガー・ファング】のリーダー【大剣使いのレン】だった。


不意を衝くように急接近してきて、大剣を振り下ろす。


ガキンッッッッッ


レンの単独行動だけに、多分この攻撃は当てる気がない挨拶代わりの一撃だったのだと思う。


力任せの攻撃で僕達は防げないと見越して、避ける選択をすると考えていたはずだ。


しかし、あえて【大剣使いのクイナ】はその攻撃を受けに行き、見事に防いだ。


「その程度ですか?」


攻撃を受け止めたクイナがレンを挑発する。


「なっ!?」


レンの驚く様子に、僕はギリギリ『ステータス上昇バフ』が間に合ってよかったと安堵していた。


今回の模擬戦に挑むに辺り、僕は自分の力を見直し、『付与ふよ』の効果が発動するまでの時間を短縮したのだ。


これまで【ダンジョン】を攻略する前に毎回メンバーを待たせるのが申し訳なく感じていた。


そして、仮に今のままでは突然襲撃がきた時、効果が発動できないという場面がないかと心配だった。


今回がそのいい例である。


突然飛び出したクイナには『ステータス上昇バフ』である、『身体能力向上フィジカルアビリティ・インプルーブメント』と『防御力向上ディフェンス・インプルーブメント』がしっかりと施されていた。


僕が時間短縮を可能にしたのは、今まで範囲で効果を発動させていたのを個別で行なうようにしたからだ。


今回の場合、先にクイナだけに『付与』を指定して発動させた。


範囲によって効果が広がる時間が必要ない分、早く済むのだ。


「ど、どうやって止めた!?」


女性であるクイナに力任せの大振りだった攻撃が防がれ、レンは困惑している。


「後衛のライドさんのおかげですよ」


クイナの言う通り、僕の『付与』の効果がなければ女性であるクイナが男性であるレンの攻撃を防ぐのは無理だったかもしれない。


それは攻略中にもいえることで、モンスターの攻撃を上手く防げているのは強化しているからである。

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