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恋愛疲れの女子大生1
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まー君は、繁華街の隅で若い女の子に囲まれていた。
可愛い、人懐っこい、大人しい。など黄色い声に囲まれながら気持ち良く撫でられていた。
どうやら、女の子の集団は飲み会帰りのようだ。女子会と言うものだろう。
「そろそろ帰ろっかー」
そう言って、女の子達はまー君から離れて、駅の方向へ歩いていく。
まー君は、まるで自分が人間のように堂々と繁華街を歩き、同じく駅の方向へ進む。
駅の改札で、女の子達は解散している様子だった。
「おつかれ様ー」
「私はバスだから…またね!」
そう言って、皆と違う方向から帰ろうとする女の子が一人いた。
駅から少し離れたバス停で、女の子はバスを待つ。そこにまー君は自分の存在を主張するようにベンチに座る。
「あれ?さっきの猫ちゃん!どうしたのかなー」
並んで座る女の子はまー君に気付き、話しかける。バス停には女の子とまー君しかいない。
まー君は膝元にあったバッグに顔を埋める。そして、中にあったスマホを咥えて繁華街へ走り出す。
「ちょっ!?待ってよ!なにしてるの!?」
女の子は必死で追いかける。まー君は、女の子が自分を見失わないように時々、振り返り加減しながら走る。
いつもの路地に入り、まー君専用の出入り口付近で女の子を待つ。
「やっと追いついたよ!スマホ返して!」
怒りながら、まー君に近づく女の子。まー君は小さな出入り口からバーへ入る。
「ちょっ!?嘘でしょ!?」
女の子は仕方なく、人間が入れる出入り口を探す。ドアはすぐそこにあった。
「すみませーん…」
バーのドアは開かれた。
「あの…猫が入ってきませんでしたか?スマホを咥えた猫なんですけどぉ…」
「あー、猫はいるけど、スマホはどうだろうねえ」
マスターは視線をまー君に向けた。
スマホのストラップで遊ぶまー君を見つけて安堵する女の子。
「やっと見つけたよー。スマホ返してね!」
自分のスマホをバッグに入れて、女の子の用事も済んだ。
「失礼しました。スマホも見つかったので…」
「こちらこそ、うちのまー君が失礼したようで…良ければ一杯サービスしますよ。ソフトドリンクもありますので、お詫びにどうぞ」
マスターは申し訳なさそうに、メニュー表を差し出す。
「え、あの…」
時計を見つめる女の子。もう最終バスも終わり諦めたのか、カウンターに座る。
「烏龍茶を下さい」
「承知しました。少々お待ちを」
マスターはグラスに氷を入れて、烏龍茶を注ぐ。
「お待たせしました。お客様、スマホに傷はなかったでしょうか?」
「あ、大丈夫ですよ。お客様って呼ばれるのは慣れないなあ。ハナって呼んでもらっても良いですか?」
「はい。ハナさんですね。分かりました」
まー君は横になりながら、ドヤ顔をマスターに向ける。
サービスの一杯で帰ってしまうかもしれないが、マスターのトーク術次第では、次のドリンクにも期待ができる。
まー君の強引な客引きは成功したのだった。
可愛い、人懐っこい、大人しい。など黄色い声に囲まれながら気持ち良く撫でられていた。
どうやら、女の子の集団は飲み会帰りのようだ。女子会と言うものだろう。
「そろそろ帰ろっかー」
そう言って、女の子達はまー君から離れて、駅の方向へ歩いていく。
まー君は、まるで自分が人間のように堂々と繁華街を歩き、同じく駅の方向へ進む。
駅の改札で、女の子達は解散している様子だった。
「おつかれ様ー」
「私はバスだから…またね!」
そう言って、皆と違う方向から帰ろうとする女の子が一人いた。
駅から少し離れたバス停で、女の子はバスを待つ。そこにまー君は自分の存在を主張するようにベンチに座る。
「あれ?さっきの猫ちゃん!どうしたのかなー」
並んで座る女の子はまー君に気付き、話しかける。バス停には女の子とまー君しかいない。
まー君は膝元にあったバッグに顔を埋める。そして、中にあったスマホを咥えて繁華街へ走り出す。
「ちょっ!?待ってよ!なにしてるの!?」
女の子は必死で追いかける。まー君は、女の子が自分を見失わないように時々、振り返り加減しながら走る。
いつもの路地に入り、まー君専用の出入り口付近で女の子を待つ。
「やっと追いついたよ!スマホ返して!」
怒りながら、まー君に近づく女の子。まー君は小さな出入り口からバーへ入る。
「ちょっ!?嘘でしょ!?」
女の子は仕方なく、人間が入れる出入り口を探す。ドアはすぐそこにあった。
「すみませーん…」
バーのドアは開かれた。
「あの…猫が入ってきませんでしたか?スマホを咥えた猫なんですけどぉ…」
「あー、猫はいるけど、スマホはどうだろうねえ」
マスターは視線をまー君に向けた。
スマホのストラップで遊ぶまー君を見つけて安堵する女の子。
「やっと見つけたよー。スマホ返してね!」
自分のスマホをバッグに入れて、女の子の用事も済んだ。
「失礼しました。スマホも見つかったので…」
「こちらこそ、うちのまー君が失礼したようで…良ければ一杯サービスしますよ。ソフトドリンクもありますので、お詫びにどうぞ」
マスターは申し訳なさそうに、メニュー表を差し出す。
「え、あの…」
時計を見つめる女の子。もう最終バスも終わり諦めたのか、カウンターに座る。
「烏龍茶を下さい」
「承知しました。少々お待ちを」
マスターはグラスに氷を入れて、烏龍茶を注ぐ。
「お待たせしました。お客様、スマホに傷はなかったでしょうか?」
「あ、大丈夫ですよ。お客様って呼ばれるのは慣れないなあ。ハナって呼んでもらっても良いですか?」
「はい。ハナさんですね。分かりました」
まー君は横になりながら、ドヤ顔をマスターに向ける。
サービスの一杯で帰ってしまうかもしれないが、マスターのトーク術次第では、次のドリンクにも期待ができる。
まー君の強引な客引きは成功したのだった。
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素敵な物語ですね。
キャラ文芸大賞頑張ってくださいね。
既に使いきってしまったので投票はできませんが、応援しています。
無理しない程度に更新してください。
楽しみにお待ちします。
ありがとうございます!
無理のないペースで書いていきますね!
いつもありがとうございます!