私の恋が実るまで

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榊原という男

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あれから数日が経ち、私と榊原くんは会話をする事がなくなった。
目が合っても私はすぐに目を逸らし会話をするスキすら見せなかった。
そんなある日私が教室の机の引き出しに手を入れると手紙が入っていた。

『なにかしてしまったのなら謝りたい。
今日の放課後屋上に来て欲しい。
                                                      榊原慎也』

と書いてあり私は行くか悩んだけどずっと待ち続ける榊原くんの姿を想像すると申し訳なくなって放課後足を運んだ。
「来てくれたんだ…」
そう言う彼の目はどこか不安そうで、寂しそうな目をしていた。
「さすがに来るよ。あんな事書いてあったら…」
屋上のドアを締めながら言う。
「なにかしてしまったとか書いてたけど、特に理由なんてないよ。
私は男子が苦手なだけ。特にみんなと仲良くしようとか、女を道具の1部としか、欲求のために使う事しか考えてないような人は特に、だからあなたがなにかしたとかじゃなくて単に私が」
「うん、聞いたよ。
柊さんが街を案内してくれてる時にあったあの人達から色々」
「ッ!じゃあなんで?
本当かどうか私の口から確かめるため?
冷やかしにでも来たの!!」
あぁ、まずい、こうなったら私は私を止められない。
女の子扱いされるのも、こうやって冷やかされるのももう嫌だ。
私は1人の人間として見て欲しい。女の子だからとかそう言うのは嫌。
「俺は人を冷やかしたりバカにする人は嫌いなんだ。
例え柊さんが男子が苦手だったとしても、俺を避けてたとしても、俺は柊さんと仲良くしたいと思ってる。
あの人達に何を言われたのか知らないけど、俺はそう思ってる。
これは欲望の捌け口じゃないし欲求を発散するためでもない。
俺に初めて優しくしてくれた人だから、俺はその恩を返したい。
これも欲求かもしれないけど、悪い意味じゃない。
もしもダメって言うのなら手を引くけどどう?」
榊原くんは優しい声色で語りかけてくる。
私は初対面であんなきつい言い方してさっきだって八つ当たりしたのに。
本当は私が悪いのに…
「変なこと、というか私を利用したりしなかったらいいよ。
あくまで友達として接してくれるのなら」
私がそう言うと榊原くんは嬉しそうに近ずいてきて、でも近すぎず遠すぎない距離を保ちながら
「ありがとう、柊さん」
と、言うのだった。
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