能力が基本となった世界4

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世界で1番愛してる

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私は蹴りを食らうとよくショッピングモールで見る下の階と上の階が見られる通路の所まで飛ばされ、私は手すりの下にある子供が落ちないようにしてあるカバーみたいな所にもたれかかっていた。
「まだ、生きてたのか」
雷の能力者が私の近くまで歩きながら言う。
「まぁね、でもそろそろダメみたい」
貫かれた所を抑えながら言う。
「そうか、なら最後は能力ではなく銃で仕留めてやろう」
そして銃を構えて引き金に指をかけた瞬間
「未来様っ!」
アイリと姫野が能力を使い私の所までやってきた。
「アイリ、あんたは未来さんの手当を!」
そして姫野雷の能力者の腹部を殴ることで吹っ飛ばし、追撃に行った。
しかし、吹っ飛ばされる瞬間、やつは銃を放っていた。それは私に当たることはなく、背後の手すりの下、もといカバーみたいな所を破壊するためで、そこにもたれかかって居た私は落ちることになる。
「未来様!」
私が落ちた瞬間、アイリが私の手を掴んだ。
「アイリ…」
「死なないでください!未来様、あなたが死んだら勝様の家族が居なくなってしまいます!またあの人は自分を追い込んでしまいます!勝様には未来様が必要なんです!」
とアイリも急に現れた能力者との戦闘で疲労しているのか手を掴んでるだけでやっとの感じだ。
そして貫かれた傷から血が溢れ出し力が入らなくなってきた。
だから私は1度深呼吸をして昔、勝が子供の頃に言い聞かせてたような優しい声でアイリに言う。
「アイリ、勝をお願いね。あの子は能力者の中で1番優しい子なの。
無能力者の気持ちを理解できてこうやって誰かのために命をはれる。そんな人はそうそう居ないわ」
「何言ってんのですか!?今引き上げますからそんな事を言わないでください!」
その言葉に私はゆっくり首を横に振る。
「ううん、もうダメなのよ。力も入らないし能力ももう使えない。
致命傷って言うのかな、勝を守ってあげて?あの子は私の、いや違うわ。私や、カイリ、そして貴方もよ、アイリ。
あの子は私達が育てたの。力も何もかもね。
そして私の弟でもある。
あの子は死んではならない」
そしてゆっくりと言葉を繋ぐ
「アイリ、勝に伝えて欲しい。
何があっても自分のやりたいようになりなさい。私はその選択を応援してる。
世界で1番、愛してる」
そして私はアイリの手を離した。
上ではアイリが涙を流し叫んでいる。
「勝…」
そして私は地面に叩きつけられて、その目を閉じるのだった…
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