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23 お参り
しおりを挟む季節は秋に移り変わり、彩香は綺麗な着物を着せられている。
父親は、一番上等なスーツを着て、綺麗に首元までしっかりとネクタイを締めている。
母親といえば清楚なワンピースに身を包み、薄手のジャケットを羽織っている。
彩香と彩香の母に是非にと言われて同行しているリンはといえば、細いスラックスに白の開襟シャツ、地味なジャケットを着ているが、どうやっても人目を引いてしまう。
そんな七五三参りである。
彩香はリンと母親に挟まれて、大はしゃぎである。
大好きな母親と美しいリンに挟まれ、とりわけリンの美しさに周りの人達が凝視してくるのが自慢の様である(わたしのせんせいだからね!)。
実際にそうなのだ。
リンは願いを叶える星から派遣された彩香専任の教師なのだから。
歴史で例えるなら幼い皇太子を教育するために天から舞い降りた市杵島姫大神か。
違いと言えば彩香が女の子である、というくらいだろう。
その後ろから父親の民生がニヤニヤしながら着いて来る。
こちらも例えるなら、公家に使える下僕か。
神社という神聖な場所でアホを炸裂させなければ良いのだが。
彩香が、はしゃぎながらリンに訊ねる。
「せんせい、しちごさん、ってなに?」
「それはね、むかーしの事なんだけどね、天皇さん達やお侍さん達がね、子供達が無事に楽しく生きていけますように!ってお願いしたの。でね、今はみん
なでお願いする様になったの」
「ふーん?」
子供なりの理解だと思えるが、それに釣られて圭子もリンに質問する。
「でも、どうして、7、5、3、なのかしら?」
「そうですねぇ、私も詳しい理由は知らないのですけど。3歳、5歳、7歳、を節目と考えていたようなんです。正直、どうしてその年齢を節目と考えたのかは私にも分からないんですよ。ただ、3歳で男女共に髪置の儀、5歳で男の子は袴着の儀、7歳で女の子の帯解の儀、として子供達の健やかな成長を公家方々が祝い、未来を願ったとされてますね。当時は病気などで、子供達の成長が今ほどに簡単ではなかったからだと言われてますけど」
「さすが、先生ですわ。父が紹介してくれただけのことはあります。いえ、それ以上です」
「いえ、そんなことはありません。短いお付き合いになると思いますが、よろしくお願いします」
ぺペンギンは全てをリンに委ねて、リンの中の操縦席でうつらうつらと船を漕ぎ始めている。
そこへ神主らしき正装をした初老の男性がやって来て
「ようお参りです。祈祷は済みましたか?」
「いえ、まだ順番までには少し時間がある様です」
と圭子が答える。
「そうですか、ではお昼からの方ですね。それにしても可愛らしいお嬢様です。隣におられる方はお母さんの妹さんですか? いやいやお二人とも美しいですね」
それに応えて圭子があらぬ事を口走る。
「あらぁ、そう見えますかしら?」
どう見ても、そう見える? 訳が無い。似ても似つかない姉妹である。
どう見ても腹違いの姉妹どころか、父親も違う姉妹である。
所謂、赤の他人である。
「おほほほほほー」
圭子の高笑いが境内を揺るがす。
どうも民生のアホが炸裂する前に、圭子の脳細胞が自然発火した様である。
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