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16 限られた時間
しおりを挟む処置室のベッドの上でジュリアが目覚めると、少し驚いたような顔をしていたが、涼太の姿を見かけると、にこりと笑い、
「ここは何処? 私、何をしてたの?」
と涼太に声を掛けながら上半身をゆっくりと起こした。
「うん、新しい薬ができてね、それを服用したら、寝ちゃったんだよ」
ジュリアは、まさか、と言う顔をして頭を振って、試しにと思いベッドから立ち上がろうとしたが、長い間寝ていたせいか、足がぐらつき倒れそうになった。
その瞬間、あろうことか倒れまいと足が早い速度で何歩も出た。
そして、ジュリアは胸に手を当てて呟いた。
「まさか」
入院していた頃のジュリアは、早い動きをしたなら間違いなく発作を起こしていた。
「言ったろ、治ったんだよ。行くよ」
「え、何処へ」
「一日でも長く生きて、ハーレーの後ろに乗ってドライブしたかったんだろ」
「いやだわぁ、どうしてそれを知ってるの?」
「そんな気がしてたんだ。ドライブに誘ったあの日からね。さぁ、準備して」
ジュリアがハーレーの後ろにまたがると、エンジン音と共にハーレーはチャイナタウンを後にして出て行った。
それを診療所の窓から見ていたマルセリーノは、
「涼太、24時間やぞ。この限られた24時間を一生分使うつもりで、二人だけのために作られた短すぎる時間、この時間を楽しんでくるんやで」
そう呟いた後、
「星への強制送還か、まぁ、しゃーないわな。地球、ワイ、この星、好きやったで」
希望、それは生きるために絶対に忘れてはいけない言葉、例え、それが、ほんの僅かな限られた時間であっても。
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