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第十一章 あとがき
しおりを挟む以上が私とペンギンの物語です。
あの日のアホ呼ばわりされた楽しい日々は今も忘れる事ができません。
ぺペンギンさんがいなくなった翌日も、私は仕事を休みました。
一人でボーと、今となっては動かない、金色のお椀が乗っている目覚まし時計を眺めていました。
シラスは無いけれど、冷凍庫にあった氷を置いてみました。
「お前なぁ、氷だけで働かせようって、太い奴っちゃなぁ」
って声が聞こえて来そうです。
さっきから私の部屋の玄関でチャイムが鳴っています。
誰か来ているのかもしれません。
暫くはそのままにしておいたのですが、もしかしたら彼女が心配して来てくれたのかもしれない。
そう思うと急いで気分を変えてドアーを開けに行きました。
・・・・・・・・。
誰もいませんでした。
気の所為だったのでしょうか?
其れとも昔流行ったピンポンダッシュだったのでしょうか。
私はゆっくりと力なく扉を閉めようとしました。
「お前なぁ、上ばっかり見とったら、落とし物も見つかれへんで」
「・・・・・・・・。」
「せやから、こっち見ろ、言うてるやろが」
私は部屋の玄関で足元を見ました。
「どうして?」
「アホかお前、お前が落としてんやろが。お前が急に手ぇ離すから、自動階段から足滑らして落っこちてもうてんやろが!このカス!」
「マルセリーノさん」
「お前なぁ、2階から落ちたら痛いでぇ、そらめっちゃ痛いでぇ、痛いどころかさっきまで気ぃ失っとたがな! 気ぃ着いたら宇宙船おらへんし、反対の空見たらお前の部屋の窓やし、どないして責任取ってくれるつもりなん?」
「マルセリーノさん!どうか一緒に住んでください!」
「まぁ次の定期便来るまではしゃーないしな、それに何処ぞのアホに責任取ってもらわなあかんしな」
「次の定期便っていつ来るんですか?」
「まぁ、予想外の事故に遭って帰星を延期します、ゆうて始末書送るわ。せやし、まぁ、せっかくやし、お前らの結婚式でも見てから帰ろか」
「其の姿でですか」
「アホ! 立派なタキシードやないかい!」
ということで、私達はまた、共同生活を始めています。
でも、もう書きません。
ぺペンギン、いや、マルセリーノさんがこう言ってくれ始めたんです。
「最近、私のこと。アホ!ってあまり言わなくなりましたよね」
「お前はもう、アホやない、立派な、人、やさかいな」
でも可笑しな話ですが、最近はドアホと呼ばれることが多くなりました。
やっぱり私はまだまだ半人前以下です。
これからは、ドアホ、ボケ、カス、の三つの単語を言わさせないように頑張ります。
では、今から私は、世間とはちょっと変わった日常に戻ります。
「ほな、さいなら、です」
追伸
今日はぺペンギンさんと一緒に、彼女が待つ部屋へ引越しの日です。
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