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9.ナイショね。怒られちゃうから…。
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アリリセとルークを先程の部屋で待機させ、ルマと私で妹の寝室に行く。
部屋の扉を開けると妹はベッドで寝ていた。
ルマと一緒にベッドに近づき、妹の布団と服を脱がせる。
予見はしていたが、やはりかなりの広範囲に瘴気跡が広がっていた。
呼吸も苦しそうで、体全体が薄白い。
紫色の瘴気跡がくっきりと毒々しく体を蝕んでいて、一番酷かったのは右手で右腕の肘まで全て染まっていた。
上半身から太もも近くまで這う様に伸びている。
私が指示し、ルマさんと一緒にエルダーの花から作った薬を塗り伸ばしていった。
塗ったところからゆっくりと瘴気跡が消えていく。
右手は特によく塗り込んで、丁寧に、全ての跡を消してゆく。
最初見た苦しそうな顔は徐々になくなっていき、全て塗り終えると少し頬は痩けているものの、呼吸は安定し表情が和らいだようだ。
もう大丈夫だろう。
「ぐずっ。シラーはここ2.3日ほんの少ししか起きれなかったんです。食事もまともにとれなくて…。
畑作業用の魔導具を購入してしまったので、お恥ずかしい話お金がなくなってしまって…。
貴女が依頼を受けてくださって、心から感謝しています…。」
ルマの目からは大量の涙が溢れていた。
持っていた自分のハンカチで目を押さえるルマに安堵の表情が見えて私も嬉しくなり、微笑みながらルマに声を掛けた。
「無事に薬が効いた様で良かったです。
後は食べれるようになれば以前と変わらず過ごせますからね。もう安心して大丈夫です。あ。」
シラーの瞼がぴくり動いた。
軽く眉間に皺を寄せた後、ゆっくりと目が開いていく。
「…ん、おかあ…さん。」
「シラー!」
寝ていたシラーが起きるとルマが愛おしそうにシラーの頭を撫でた。
シラーは母親に撫でられ少し照れている様子だ。
シラーとルマを見ているとシラーが私の視線に気づいてぽっと顔を赤くしてみせた。
「シラー、どう?体の調子は…?この人が治してくれたのよ…。」
ルマは私を手で示しながら言う。
私は手を軽く振ると赤い顔がさらに赤みが増した気がした。
シラーは顔を赤くさせながらも布団の中で体をもそもそと動かし、布団から手を取り出して自身の手を見た。
手を握ったり、開いたり。
更には足を布団の中で動かしたりするとパッと表情を明るくさせて嬉しそうに話した。
「…!凄く…体楽になってる…!跡もない!ありがとう、綺麗なお姉ちゃん!」
シラーは可愛らしい笑顔で礼を言う。
その顔にルマも嬉しそうに笑っていた。
◇◇◇
「……お母さん、治ったからか、凄くお腹減っちゃったの。何か貰ってもいい?」
「あら、それは大変。すぐ何か持ってくるわ。ロティさん、申し訳ないのだけど私が来るまでシラーの側にいてもらえないかしら…?」
「ええ、いいですよ。」
よろしくお願いします、と言い残しルマは急いで部屋を出て行った。
シラーが掛けていた布団を避け起きあがろうとしていた為手を貸した。
この状態になってから数日経っているから体に力が入らないだろう。
シラーは私の手伝いに拒否する事なく手を取り、ベッドに座る形になった。
「ありがとう、お姉ちゃん。体に力が入りにくいけど、凄く楽になってるの。」
「どういたしまして、シラーちゃん。数日とはいえ、瘴気に蝕まれてしまったからね。きちんと食べて運動すれば元に戻るよ。」
「お姉ちゃん、シラーでいいよ。
シラーって呼ばれたたいな。食事と運動ね!
どっちも得意だよ!あ…瘴気…。」
にこにことしていたシラーからすっと笑顔が消えて、戸惑う表情をした。
少し悩んでいる様子だったが、私を見ながら言いにくそうに話し始めた。
「あのね…。もう、しないから家族には言わないで欲しいの…。
嘘ついたままは嫌だからお姉ちゃんにだけ…。
実は、瘴気を浴びちゃったのは近くを通っただけじゃなく、あの狼さんに触っちゃったの…。
凄く苦しそうに丸まってて…。
かわいそうだからなでてあげようと思って近づいてなでたら、狼さんびっくりしてぶわって瘴気出されちゃって逃げられちゃった…。
ナイショにしてたけど、苦しくなってきちゃって…辛かった…。
助けてくれてありがとう。お姉ちゃん。」
「…そ、うだった、の。
魔物は今後、不用意に触れてはダメよ。
強力な毒を持つものもいるからね。
話してくれてありがとう。」
私が驚いてしまったのがシラーにバレていないことを祈る。
アリリセが聞いたら卒倒するか、激怒しそうだ。
もうしないと言うシラーを信じるしかないが、しばらくはアリリセと共に行動する必要がありそうだ。
魔物を触るだなんて魔物使いテイマーか召喚士サモナー、A級冒険者以上の力のあるものでもないと、ただの危険行為だ。
それにしても魔狼が苦しんでいたとはどう言う事なのだろう。苦しむどころかあの恍惚な表情は今思い出してもぞっとする。
それにギルドの情報では交戦しても直ぐに逃げていたはず。私達は目が合っただけで襲われたのに。
色々辻褄が合わないし、魔狼の件はギルドに報告しよう。
ノックもなくガチャっと扉が開く音がした。
ルマがなにかしらの食べるものを持ってきたようだ。
ルマが持っているトレーから、湯気が見える。
「ありがとうございます。ロティさん。」
「いいえ、大丈夫ですよ。そうだ。大丈夫だとは思うけどもしまだ瘴気跡があったらこれを付けてね。」
と伝え、クリーム色の薬をシラーに手渡す。
「ありがとう、ロティお姉ちゃん。」
手を握られ、可愛らしい笑顔でお礼するシラーの顔はほんのりとアリリセに似ていて兄妹を思わせたのだった。
❇︎エルダーの花の加工。
花を毒消しポーションで洗う。花、茎、根に切り分け、花を綺麗な水に入れておく。入れておくと水を花が吸う。吸っている間に茎と根をすり潰す。その時に魔力を流しながら行う。完全にすり潰したら水を吸った花も入れる。また魔力を流しながら潰す。クリーム色になったら完成。加工してからは2週間ほど使える。
部屋の扉を開けると妹はベッドで寝ていた。
ルマと一緒にベッドに近づき、妹の布団と服を脱がせる。
予見はしていたが、やはりかなりの広範囲に瘴気跡が広がっていた。
呼吸も苦しそうで、体全体が薄白い。
紫色の瘴気跡がくっきりと毒々しく体を蝕んでいて、一番酷かったのは右手で右腕の肘まで全て染まっていた。
上半身から太もも近くまで這う様に伸びている。
私が指示し、ルマさんと一緒にエルダーの花から作った薬を塗り伸ばしていった。
塗ったところからゆっくりと瘴気跡が消えていく。
右手は特によく塗り込んで、丁寧に、全ての跡を消してゆく。
最初見た苦しそうな顔は徐々になくなっていき、全て塗り終えると少し頬は痩けているものの、呼吸は安定し表情が和らいだようだ。
もう大丈夫だろう。
「ぐずっ。シラーはここ2.3日ほんの少ししか起きれなかったんです。食事もまともにとれなくて…。
畑作業用の魔導具を購入してしまったので、お恥ずかしい話お金がなくなってしまって…。
貴女が依頼を受けてくださって、心から感謝しています…。」
ルマの目からは大量の涙が溢れていた。
持っていた自分のハンカチで目を押さえるルマに安堵の表情が見えて私も嬉しくなり、微笑みながらルマに声を掛けた。
「無事に薬が効いた様で良かったです。
後は食べれるようになれば以前と変わらず過ごせますからね。もう安心して大丈夫です。あ。」
シラーの瞼がぴくり動いた。
軽く眉間に皺を寄せた後、ゆっくりと目が開いていく。
「…ん、おかあ…さん。」
「シラー!」
寝ていたシラーが起きるとルマが愛おしそうにシラーの頭を撫でた。
シラーは母親に撫でられ少し照れている様子だ。
シラーとルマを見ているとシラーが私の視線に気づいてぽっと顔を赤くしてみせた。
「シラー、どう?体の調子は…?この人が治してくれたのよ…。」
ルマは私を手で示しながら言う。
私は手を軽く振ると赤い顔がさらに赤みが増した気がした。
シラーは顔を赤くさせながらも布団の中で体をもそもそと動かし、布団から手を取り出して自身の手を見た。
手を握ったり、開いたり。
更には足を布団の中で動かしたりするとパッと表情を明るくさせて嬉しそうに話した。
「…!凄く…体楽になってる…!跡もない!ありがとう、綺麗なお姉ちゃん!」
シラーは可愛らしい笑顔で礼を言う。
その顔にルマも嬉しそうに笑っていた。
◇◇◇
「……お母さん、治ったからか、凄くお腹減っちゃったの。何か貰ってもいい?」
「あら、それは大変。すぐ何か持ってくるわ。ロティさん、申し訳ないのだけど私が来るまでシラーの側にいてもらえないかしら…?」
「ええ、いいですよ。」
よろしくお願いします、と言い残しルマは急いで部屋を出て行った。
シラーが掛けていた布団を避け起きあがろうとしていた為手を貸した。
この状態になってから数日経っているから体に力が入らないだろう。
シラーは私の手伝いに拒否する事なく手を取り、ベッドに座る形になった。
「ありがとう、お姉ちゃん。体に力が入りにくいけど、凄く楽になってるの。」
「どういたしまして、シラーちゃん。数日とはいえ、瘴気に蝕まれてしまったからね。きちんと食べて運動すれば元に戻るよ。」
「お姉ちゃん、シラーでいいよ。
シラーって呼ばれたたいな。食事と運動ね!
どっちも得意だよ!あ…瘴気…。」
にこにことしていたシラーからすっと笑顔が消えて、戸惑う表情をした。
少し悩んでいる様子だったが、私を見ながら言いにくそうに話し始めた。
「あのね…。もう、しないから家族には言わないで欲しいの…。
嘘ついたままは嫌だからお姉ちゃんにだけ…。
実は、瘴気を浴びちゃったのは近くを通っただけじゃなく、あの狼さんに触っちゃったの…。
凄く苦しそうに丸まってて…。
かわいそうだからなでてあげようと思って近づいてなでたら、狼さんびっくりしてぶわって瘴気出されちゃって逃げられちゃった…。
ナイショにしてたけど、苦しくなってきちゃって…辛かった…。
助けてくれてありがとう。お姉ちゃん。」
「…そ、うだった、の。
魔物は今後、不用意に触れてはダメよ。
強力な毒を持つものもいるからね。
話してくれてありがとう。」
私が驚いてしまったのがシラーにバレていないことを祈る。
アリリセが聞いたら卒倒するか、激怒しそうだ。
もうしないと言うシラーを信じるしかないが、しばらくはアリリセと共に行動する必要がありそうだ。
魔物を触るだなんて魔物使いテイマーか召喚士サモナー、A級冒険者以上の力のあるものでもないと、ただの危険行為だ。
それにしても魔狼が苦しんでいたとはどう言う事なのだろう。苦しむどころかあの恍惚な表情は今思い出してもぞっとする。
それにギルドの情報では交戦しても直ぐに逃げていたはず。私達は目が合っただけで襲われたのに。
色々辻褄が合わないし、魔狼の件はギルドに報告しよう。
ノックもなくガチャっと扉が開く音がした。
ルマがなにかしらの食べるものを持ってきたようだ。
ルマが持っているトレーから、湯気が見える。
「ありがとうございます。ロティさん。」
「いいえ、大丈夫ですよ。そうだ。大丈夫だとは思うけどもしまだ瘴気跡があったらこれを付けてね。」
と伝え、クリーム色の薬をシラーに手渡す。
「ありがとう、ロティお姉ちゃん。」
手を握られ、可愛らしい笑顔でお礼するシラーの顔はほんのりとアリリセに似ていて兄妹を思わせたのだった。
❇︎エルダーの花の加工。
花を毒消しポーションで洗う。花、茎、根に切り分け、花を綺麗な水に入れておく。入れておくと水を花が吸う。吸っている間に茎と根をすり潰す。その時に魔力を流しながら行う。完全にすり潰したら水を吸った花も入れる。また魔力を流しながら潰す。クリーム色になったら完成。加工してからは2週間ほど使える。
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※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
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