70 / 159
69.予想内?予想外?
しおりを挟む
着替えが終わって部屋に戻るとルークの姿がなかった。
代わりにあったのはキッチンに大量の野菜や肉や魚。それにお酒まである。
(もしかして今日飲みたいのかな…?)
明日は予定が空いた為動けなくなっても問題はない。
だとすると今日少しくらい飲んでしまってもいいということだろうか。
「よし!なら料理を作ろ!ついでに明日食べれるものとか作り置きとか作ろうかな。」
大きめの独り言を言いながら手を動かしていく。
この時は予想もしていなかった。
予想位は出来たはずなのに。
◇◇◇
「ごめんなさい。鞄に入れて下さい。」
ルークが戻ってきたのはあれから1時間以上経ってからだ。正確な時間はわからないがそれくらいかそれ以上。
それで私のこの第一声はまた料理を作りすぎてしまったが故の事だった。
シャワーを浴びたのかルークは肩にタオルを掛けてまだ乾かない水滴が垂れそうな長い髪のまま私を見つめている。
その視線がキッチンの方へ伸びると柔らかく顔を綻ばせた。
「ああ、わかった。謝る事はない。ロティの料理は好きなんだ。沢山あると嬉しい。」
「良かった…さすがに作りすぎて怒られるかと思った…。」
「それはない。それより何も言わずに離れてすまなかった。」
「ううん、キッチンに物があったから平気だよ。お風呂に入ってたの?」
「…ああ、そうだな。」
何処か気不味そうなルークはぎこちない笑顔で私から目を逸らした。
私は首を傾げたがあまり問われたくなさそうなので追及はしなかった。
「ルーク、お酒も用意してくれたの?いつの間に?」
「ああ、それは鞄の中に入れてあったやつだな。エール、葡萄酒、蜂蜜酒、果実酒、蒸留酒。軽く見ただけだが同じ様なのならまだあった。2人で飲む分なら足りるに思うが、足りなかったらまた出すが。」
「とりあえずこれでいいと思うよ!飲み比べてもいいの?開けても腐らな…いか、また鞄に入れるなら?」
「そうだな。色々作ってくれたみたいだから食べつつゆっくり飲もうか。」
「うん。楽しみ!」
「…本当にな。」
笑顔の私に対し、ルークは少し困り顔で顔を赤くさせていた。何か困る事をしたかと思いルークに尋ねた。
「ルーク。大丈夫?のぼせた?」
「のぼせてない…。少し考え事をしただけだ。さ、席に行こうか。料理と酒は運ぶから。」
ルークはそう言うと素早く魔法でソファとその近くのテーブルに料理とお酒を運んだ。
「今日はそっちなの?テーブルと椅子のほうじゃないんだ。」
「飲みながらはゆっくりの方がいいと思ったんだが、椅子の方がいいか?」
「ううん、どっちでもいいよ。ソファの方がゆっくりは出来るもんね。」
「…ああ。」
先程からルークの表情がおかしい。
にやけていないのに顔が緩んでいるようにも見えるし、何か企んでいるようにも見える。
「ルーク…、本当に大丈」
「さ、冷める前に食べようか。」
私の手を引きルークはさっさと移動する。
気になったが、後でゆっくり聞くかと私も素直に移動した。
◇◇◇
「の…飲みにくい…。」
「んー…何故…。」
「ルークが私を掴んでいるからだと思うんだけど。」
「んー…ふふっ。」
今現在ルークに肩を抱かれ、ルークの方に寄り掛かるようにソファに座っている為なんとも飲みにくい。
ルークは酔っているのかいつもの雰囲気が崩れまくって緩やかな顔で笑ってる。
食事をしながらお酒を飲み比べているうちに先にルークが酔い始めた。
凄く優しい笑顔から段々とぽーとした顔になり、今じゃ何もしなくとも色気が溢れ出している。目を閉じている様だが、口元は緩んで私を掴む腕は離れない。
私はと言うとルークよりかは少し量が飲めないだけでほぼ同じ位は飲んだが全く酔ってないクリアな状態だ。
空になったカップを持ち、中身を見つめて思う。
(どうしてこうも酔わないものか…。これ普通のジュースだったり?いやいや、ルーク飲んで、現にこうして酔ってるもん、お酒だよね。こっちは水?)
透明な液体のお酒をなんとか注ぎ飲み込む。
味からして水ではないのをすぐに悟る。
「あ!これだ、私が最初に飲まされたの。そういえばこの味好きじゃなくて鼻つまんで飲んだんだっけ…。」
「ん…?蒸留酒…?」
「強いお酒かな?」
「んー。」
ルークが唸りながら目を開け、私のコップをひょいと取りそのまま飲んでしまった。まだ中身はある様だが、眉を顰める顔が赤いルークは私をじっと見つめてきた。
「これ、飲まされたの?酔わす気満々だったんだな、そいつ…腹立つ…。」
「そうなの?飲まされたのは全く同じかわからないけどこういう味だったね。甘い方が好きかな私。」
「俺も…。」
「ルんっ。」
唐突に口を塞がれ目を閉じる暇もなかった。ルークとのキスは同じお酒の味がして、好きじゃない味なのに熱いルークの舌のせいで感覚がおかしくなる。
熱くない私まで熱を貰ってしまいそう。
酔っているからなのか、顔や頭を掴まれていないからなのかわからないが、私から離れるとすんなりと距離がとれる。
「ルーク!甘い方が好きって言うのはお酒の話だからね!」
ルークが持っていたカップを落とさないで済んで良かったと思いつつ、そのカップを取り戻す。注いだ分は飲もうと一気に飲む。
やはりこの味は苦手だ。
ルークは少し呆けた様子で顔を赤くさせながら首を傾げて言う。
「ん、雰囲気の話かと思った…?ロティ。」
名前を呼ばれると共に頬と頭をホールドされた。そのまま近づいてくるルークは怖いくらいに艶やかだ。
「ん!?っっごくっ!っちょ、待って!」
「やだ。」
頭を捕まえる手は容赦なかった。そのまままた深いキスを繰り返される。ルークの手も唇も舌も吐息も火傷しそうな位熱い。
角度を変えて、深さを変えられ、苦しさが増すのに体はルークを拒否しない。
それどころかもっとと求めている様で怖い。
だが余りに長すぎるキスは酸素不足に陥ってしまう。
(このままじゃ…気絶するっ!)
少しだけ力を込めてルークに唇を押し返す。
驚いたルークが引くと頭と頬にあった手が緩まった為素早く後ろに仰け反った。
「はあー!」
慌てて酸素を体内に取り込む。
脳まで精一杯行き渡らせるようとすると呼吸が乱れた。
その様子をご満悦そうにルークは満面の笑みで見ている。
「可愛い…。息が乱れて…。そんなに誘わなくとも俺なら余裕で乗るのに…。」
「はぁっ、ルーク…。はぁ…。本当に苦しいから…。そのままずっとキスしてたら私気絶するからね!気をつけてね!死んじゃうよ!」
私は軽くルークを睨んだ。気を付けてもらわないと本当に酸素不足になる。
気絶して心配するのはきっとルークだろう。
なのにルークは不服そうな顔で頬を膨らませている。
最強魔術師と呼ばれているルークが実はこんな感じの人なんです、と言っても誰にも信じてはもらえないだろう。きっとスザンヌ位だ。
さっき仰け反った時に離れた手をまた私に伸ばしながら機嫌を損ねた声を出す。
「…それはダメ。ロティは俺と結婚するんだから…。キス位慣れて…。ずっとしてたいくらいなのに…。」
「ちょ!本当にストップ!」
「んぐっ。」
またルークの手に力が入っている。このままじゃキスされっぱなしになると急いでテーブルからサンドウィッチを取りルークの口を目掛けて突っ込んだ。
大きめの一口サイズをぺろりと食べたルーク。もぐもぐと口を動かす姿は可愛いが可愛いだけではこの酔っ払った猛禽類は済まないだろう。
詰まったら大変だと思い飲み物も渡す。
飲み物と言ってもお酒なのにそれをルークはすぐに飲み干した。
「ルーク、おしまいにしようか。もう顔が赤いし、ぽわぽわしてるよ?」
「…ロティ、お酒飲んだっけ。」
1番最初の一杯では乾杯までしたのに。
酔ってる人に言っても仕方がないので見せる事にした。
「最初から飲んでるよ。ほら、よいしょ。
…ね?飲んでるでしょ?」
私はコップに果実酒を入れて飲み干した。
果実酒は美味しくて好きだが、食べながら飲んでいる為お腹はそろそろいっぱいだ。
ルークは微妙にふらつきながら、眉間に皺を寄せて考えている様だ。
「酔ったら、少し位いい?」
「何が??」
ルークの手が首筋に伸びた。
またもキスされるのかと身構えたが違う様で、手が当たっていない首筋に頭を近づけてきた。
(首にキス…?ん!!?)
首に違和感を感じた。微妙に痛みがあるので気付く。
「ルーク!キスマークつけたでしょ!?あっ!!」
首筋から下に下がりつつ私に小さな痛みを与えていく。胸元まで近づき止める気がないルークに焦りを感じた。
「もう!そんなに酔ってるなら強制終了でも文句言わないんだよ!《回復》!あ!!しまっ、ぐぇっ。」
咄嗟にルークに回復魔法を掛けるとルークはそのまま眠ってしまった。
酔いのせいか疲れか眠気も十分ありまた眠らせる事に成功はしたのだが、問題が発生した。
ルークが覆い被さったまま回復魔法をかけてしまった為下敷きになってしまった。
体半分以上というより首から下はルークに埋もれている。
「…ぐうぅ。今度は酔いにくいやつか制限して飲んでもらおう…。」
この後脱出するのに20分程掛かり、幸せそうに眠るルークに風邪をひかないように布団を掛け、テーブルを軽く片付けたりしてから私は疲れた体を引き摺って1人ベッドに潜り込んだ。
今日も心臓を使い過ぎて寿命が縮まったのではないか、とベッドの中で蹲りながら顔に熱を篭らせて私はただ1人眠りにくい夜を過ごした。
❇︎ルークは食前に髪の毛を魔法で乾かした。
代わりにあったのはキッチンに大量の野菜や肉や魚。それにお酒まである。
(もしかして今日飲みたいのかな…?)
明日は予定が空いた為動けなくなっても問題はない。
だとすると今日少しくらい飲んでしまってもいいということだろうか。
「よし!なら料理を作ろ!ついでに明日食べれるものとか作り置きとか作ろうかな。」
大きめの独り言を言いながら手を動かしていく。
この時は予想もしていなかった。
予想位は出来たはずなのに。
◇◇◇
「ごめんなさい。鞄に入れて下さい。」
ルークが戻ってきたのはあれから1時間以上経ってからだ。正確な時間はわからないがそれくらいかそれ以上。
それで私のこの第一声はまた料理を作りすぎてしまったが故の事だった。
シャワーを浴びたのかルークは肩にタオルを掛けてまだ乾かない水滴が垂れそうな長い髪のまま私を見つめている。
その視線がキッチンの方へ伸びると柔らかく顔を綻ばせた。
「ああ、わかった。謝る事はない。ロティの料理は好きなんだ。沢山あると嬉しい。」
「良かった…さすがに作りすぎて怒られるかと思った…。」
「それはない。それより何も言わずに離れてすまなかった。」
「ううん、キッチンに物があったから平気だよ。お風呂に入ってたの?」
「…ああ、そうだな。」
何処か気不味そうなルークはぎこちない笑顔で私から目を逸らした。
私は首を傾げたがあまり問われたくなさそうなので追及はしなかった。
「ルーク、お酒も用意してくれたの?いつの間に?」
「ああ、それは鞄の中に入れてあったやつだな。エール、葡萄酒、蜂蜜酒、果実酒、蒸留酒。軽く見ただけだが同じ様なのならまだあった。2人で飲む分なら足りるに思うが、足りなかったらまた出すが。」
「とりあえずこれでいいと思うよ!飲み比べてもいいの?開けても腐らな…いか、また鞄に入れるなら?」
「そうだな。色々作ってくれたみたいだから食べつつゆっくり飲もうか。」
「うん。楽しみ!」
「…本当にな。」
笑顔の私に対し、ルークは少し困り顔で顔を赤くさせていた。何か困る事をしたかと思いルークに尋ねた。
「ルーク。大丈夫?のぼせた?」
「のぼせてない…。少し考え事をしただけだ。さ、席に行こうか。料理と酒は運ぶから。」
ルークはそう言うと素早く魔法でソファとその近くのテーブルに料理とお酒を運んだ。
「今日はそっちなの?テーブルと椅子のほうじゃないんだ。」
「飲みながらはゆっくりの方がいいと思ったんだが、椅子の方がいいか?」
「ううん、どっちでもいいよ。ソファの方がゆっくりは出来るもんね。」
「…ああ。」
先程からルークの表情がおかしい。
にやけていないのに顔が緩んでいるようにも見えるし、何か企んでいるようにも見える。
「ルーク…、本当に大丈」
「さ、冷める前に食べようか。」
私の手を引きルークはさっさと移動する。
気になったが、後でゆっくり聞くかと私も素直に移動した。
◇◇◇
「の…飲みにくい…。」
「んー…何故…。」
「ルークが私を掴んでいるからだと思うんだけど。」
「んー…ふふっ。」
今現在ルークに肩を抱かれ、ルークの方に寄り掛かるようにソファに座っている為なんとも飲みにくい。
ルークは酔っているのかいつもの雰囲気が崩れまくって緩やかな顔で笑ってる。
食事をしながらお酒を飲み比べているうちに先にルークが酔い始めた。
凄く優しい笑顔から段々とぽーとした顔になり、今じゃ何もしなくとも色気が溢れ出している。目を閉じている様だが、口元は緩んで私を掴む腕は離れない。
私はと言うとルークよりかは少し量が飲めないだけでほぼ同じ位は飲んだが全く酔ってないクリアな状態だ。
空になったカップを持ち、中身を見つめて思う。
(どうしてこうも酔わないものか…。これ普通のジュースだったり?いやいや、ルーク飲んで、現にこうして酔ってるもん、お酒だよね。こっちは水?)
透明な液体のお酒をなんとか注ぎ飲み込む。
味からして水ではないのをすぐに悟る。
「あ!これだ、私が最初に飲まされたの。そういえばこの味好きじゃなくて鼻つまんで飲んだんだっけ…。」
「ん…?蒸留酒…?」
「強いお酒かな?」
「んー。」
ルークが唸りながら目を開け、私のコップをひょいと取りそのまま飲んでしまった。まだ中身はある様だが、眉を顰める顔が赤いルークは私をじっと見つめてきた。
「これ、飲まされたの?酔わす気満々だったんだな、そいつ…腹立つ…。」
「そうなの?飲まされたのは全く同じかわからないけどこういう味だったね。甘い方が好きかな私。」
「俺も…。」
「ルんっ。」
唐突に口を塞がれ目を閉じる暇もなかった。ルークとのキスは同じお酒の味がして、好きじゃない味なのに熱いルークの舌のせいで感覚がおかしくなる。
熱くない私まで熱を貰ってしまいそう。
酔っているからなのか、顔や頭を掴まれていないからなのかわからないが、私から離れるとすんなりと距離がとれる。
「ルーク!甘い方が好きって言うのはお酒の話だからね!」
ルークが持っていたカップを落とさないで済んで良かったと思いつつ、そのカップを取り戻す。注いだ分は飲もうと一気に飲む。
やはりこの味は苦手だ。
ルークは少し呆けた様子で顔を赤くさせながら首を傾げて言う。
「ん、雰囲気の話かと思った…?ロティ。」
名前を呼ばれると共に頬と頭をホールドされた。そのまま近づいてくるルークは怖いくらいに艶やかだ。
「ん!?っっごくっ!っちょ、待って!」
「やだ。」
頭を捕まえる手は容赦なかった。そのまままた深いキスを繰り返される。ルークの手も唇も舌も吐息も火傷しそうな位熱い。
角度を変えて、深さを変えられ、苦しさが増すのに体はルークを拒否しない。
それどころかもっとと求めている様で怖い。
だが余りに長すぎるキスは酸素不足に陥ってしまう。
(このままじゃ…気絶するっ!)
少しだけ力を込めてルークに唇を押し返す。
驚いたルークが引くと頭と頬にあった手が緩まった為素早く後ろに仰け反った。
「はあー!」
慌てて酸素を体内に取り込む。
脳まで精一杯行き渡らせるようとすると呼吸が乱れた。
その様子をご満悦そうにルークは満面の笑みで見ている。
「可愛い…。息が乱れて…。そんなに誘わなくとも俺なら余裕で乗るのに…。」
「はぁっ、ルーク…。はぁ…。本当に苦しいから…。そのままずっとキスしてたら私気絶するからね!気をつけてね!死んじゃうよ!」
私は軽くルークを睨んだ。気を付けてもらわないと本当に酸素不足になる。
気絶して心配するのはきっとルークだろう。
なのにルークは不服そうな顔で頬を膨らませている。
最強魔術師と呼ばれているルークが実はこんな感じの人なんです、と言っても誰にも信じてはもらえないだろう。きっとスザンヌ位だ。
さっき仰け反った時に離れた手をまた私に伸ばしながら機嫌を損ねた声を出す。
「…それはダメ。ロティは俺と結婚するんだから…。キス位慣れて…。ずっとしてたいくらいなのに…。」
「ちょ!本当にストップ!」
「んぐっ。」
またルークの手に力が入っている。このままじゃキスされっぱなしになると急いでテーブルからサンドウィッチを取りルークの口を目掛けて突っ込んだ。
大きめの一口サイズをぺろりと食べたルーク。もぐもぐと口を動かす姿は可愛いが可愛いだけではこの酔っ払った猛禽類は済まないだろう。
詰まったら大変だと思い飲み物も渡す。
飲み物と言ってもお酒なのにそれをルークはすぐに飲み干した。
「ルーク、おしまいにしようか。もう顔が赤いし、ぽわぽわしてるよ?」
「…ロティ、お酒飲んだっけ。」
1番最初の一杯では乾杯までしたのに。
酔ってる人に言っても仕方がないので見せる事にした。
「最初から飲んでるよ。ほら、よいしょ。
…ね?飲んでるでしょ?」
私はコップに果実酒を入れて飲み干した。
果実酒は美味しくて好きだが、食べながら飲んでいる為お腹はそろそろいっぱいだ。
ルークは微妙にふらつきながら、眉間に皺を寄せて考えている様だ。
「酔ったら、少し位いい?」
「何が??」
ルークの手が首筋に伸びた。
またもキスされるのかと身構えたが違う様で、手が当たっていない首筋に頭を近づけてきた。
(首にキス…?ん!!?)
首に違和感を感じた。微妙に痛みがあるので気付く。
「ルーク!キスマークつけたでしょ!?あっ!!」
首筋から下に下がりつつ私に小さな痛みを与えていく。胸元まで近づき止める気がないルークに焦りを感じた。
「もう!そんなに酔ってるなら強制終了でも文句言わないんだよ!《回復》!あ!!しまっ、ぐぇっ。」
咄嗟にルークに回復魔法を掛けるとルークはそのまま眠ってしまった。
酔いのせいか疲れか眠気も十分ありまた眠らせる事に成功はしたのだが、問題が発生した。
ルークが覆い被さったまま回復魔法をかけてしまった為下敷きになってしまった。
体半分以上というより首から下はルークに埋もれている。
「…ぐうぅ。今度は酔いにくいやつか制限して飲んでもらおう…。」
この後脱出するのに20分程掛かり、幸せそうに眠るルークに風邪をひかないように布団を掛け、テーブルを軽く片付けたりしてから私は疲れた体を引き摺って1人ベッドに潜り込んだ。
今日も心臓を使い過ぎて寿命が縮まったのではないか、とベッドの中で蹲りながら顔に熱を篭らせて私はただ1人眠りにくい夜を過ごした。
❇︎ルークは食前に髪の毛を魔法で乾かした。
0
あなたにおすすめの小説
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
公爵様のバッドエンドを回避したいだけだったのに、なぜか溺愛されています
六花心碧
恋愛
お気に入り小説の世界で名前すら出てこないモブキャラに転生してしまった!
『推しのバッドエンドを阻止したい』
そう思っただけなのに、悪女からは脅されるし、小説の展開はどんどん変わっていっちゃうし……。
推しキャラである公爵様の反逆を防いで、見事バッドエンドを回避できるのか……?!
ゆるくて、甘くて、ふわっとした溺愛ストーリーです➴⡱
◇2025.3 日間・週間1位いただきました!HOTランキングは最高3位いただきました!
皆様のおかげです、本当にありがとうございました(ˊᗜˋ*)
(外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。
雨宮羽那
恋愛
聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。
というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。
そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。
残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?
レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。
相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。
しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?
これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。
◇◇◇◇
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます!
モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪
※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
※アルファポリス先行投稿(他投稿サイトにも掲載予定です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる