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115.暗い部屋で1人は怖いよね。◆
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◆◆◆
私の部屋の扉がノックも無しにガチャリと開けられた。
そこかは顔を覗かせたのは神父だった。
ふくよか過ぎる神父がこの部屋に入ると狭くなり過ぎるためか、部屋に入って来ずに私とルーカスを見た。
ルーカスが私の部屋にいると思っていなかったのか嫌そうな顔をしている。
「うっ、昨日の…。」
「名前はルーカスだよ!いじわるしないでね。」
先に言っておかないとまた手を出されるかも知れない。見かけによらず手や足の軽い事、神父は言うことを聞かない子や生意気な子には容赦がないのだ。
ルーカスは何もしてないと思うが、蹴られていたし私が守らないと、と正義心が芽生える。
嫌そうな顔をする神父はルーカスから目を逸らし私に向かって手招きをした。
「…まぁいい。ロティだけこちらに来い。」
「僕も行く。」
「ロティは仕事の話があるんだ。
邪魔するなら容赦しないぞ。」
手招きをしていた手が拳を握りしめた手に変わる。慌てて私は神父からルーカスを守る様に前に立つ。
ルーカスに向き直り座っているルーカスの目線に合わせて話をする。
「ルーカス、ちょっと行ってくるから待ってて?もうすぐ他の子も帰ってくるから。
挨拶出来たらしていて?」
「………わかった。」
ルーカスは渋々ながらも頷きを見せてくれたため一安心する。
他の子達にも挨拶を自分からしてくれれば馴染みやすいだろう、うまくいくことを祈ろう。
孤児院から出て隣の教会の執務室まで神父と共に来た。教会ですらあまり入らないのに執務室は初めて足を踏み入れた為か緊張してしまう。
沢山の本に書類の山。
積み上がってるおやつみたいなのが見えて羨ましい。後は影の方に瓶がちらりと見える。
まさかお酒ではないだろうなと考えていると、執務室の1人用の椅子に神父がどかっと座りながら私に話し掛けてきた。
「ロティ、明日から朝の祈りに毎日参加しろ。午前は自由時間はないと思う事だ。
ああ、それとあいつは連れてくるなよ。面倒になる。
それと、祈りの後は執務室で望む者の治療を行う。それに関していくつか注意点がある。
きっちり頭に入れておけ。」
「ねぇ、どうしてルーカスは連れてきちゃだめなの?」
「アイツは亜人だと言っただろう。
この地域では亜人は良いものとされていない。本来なら関わらない方がよかったのに。
あんなとこで倒れていたせいで…。」
「ルーカスは亜人じゃないって言ってたよ?
半分人間だって。」
「亜人の血が流れているのには変わりないだろう。とりあえず、アイツをあまり表立って行動させないほうがいい。特にうろこなぞ見られたら殺されてしまうかもしれないからな。肝に銘じておけ。
それと明日からはこの服を着て過ごすんだ。」
執務室の机の上に置かれた白い服を3枚ほどポイっと私に投げた神父。
落とさない様に受け取ると、白いワンピースのようだった。
「わぁ…綺麗な服だね。他の子のもないの?」
「お前の頑張り次第だろうよ。」
「じゃあ頑張らなきゃだね。」
「それと回復魔法に関してだが、あれからは使ってないな?」
「使い方知らないもん。」
「なら魔法の手立てを多少教えてやる。」
そう言うと神父は座りながら私は立ちながら神父が魔力と魔法について私に教えてくれた。
◇◆◇
私の魔法を見ながら満足そうな顔をしている神父。
神父に教わった回復魔法をなんとなくこなしていっただけだが、怒られる事なく済んでいた。
「…ロティ、本当にお前はいい子になったものだ。神は見捨てなかったんだな、お前を。」
神には見捨てられなかったかもしれないけど両親には捨てられたよ、なんて冗談混じりに神父に言う事が出来ず、私は自分の魔法の光を見つめて尋ねた。
「この魔法で人が救えるの?」
緑の光が宙をふわりと浮いている。
しばらくするとふと消えてしまう光がなんだか切ない。
「ああ、そうさ。だが私の言う通りに魔法を使わなければ…」
「わかってるよ!だからルーカスはいじめないでね!」
「ならいい、今日は終わりだ。明日から遅刻するなよ。さっさと戻れ。」
魔法が使える事の確認を終えたからか今日は用済みらしい。しっ、しっ、と言わんばかりの手の動きをされながらも私も留まっていたくはないため早々と執務室を後にした。
孤児院に戻ると殆どの孤児が仕事や遊びから帰ってきているようでただいまとおかえりが行き交い合っていた。
私も数人に挨拶をして部屋に一度戻る。
この貰った服を汚したら怒られるだろう。
そうなる前に部屋に置いておくべきだ。
部屋に戻るとまたさっきの同じようにルーカスは椅子に座っていた。
だが、私が戻ると今度は椅子から降りて駆け寄ってきて心配そうな顔をしている。
「ロティ…!大丈夫…?それ何?」
「うん、大丈夫だよ。
これは私の服なんだって。明日から午前中は私いないと思うけど大丈夫かな?」
「…なんでいないの?」
「困ってる人を助けるから?」
「危ない事しない…?」
「うん、多分。」
「僕も付いてっちゃダメ?」
「私1人なんだって…ごめんね。
あ、そうだ。ケードに挨拶しようか。ここの1番年上の男の子なんだけどね。」
さっきチラッと姿を見たような気がする。
挨拶が遅れると面倒になる可能性もあるだろう、私はベッドにふわりと白いワンピースを置くと、ルーカスの手を取った。
ケードの部屋まで案内しようかと思ったらルーカスは動かず顔を顰めている。
「ケードって…あの変態か。」
「へんたい?」
「ロティの事俺のだとか言ってた奴がいた。
一応、15人位と話はしたんだ。
その中で1番身長が大きかった奴。13歳のケードって名乗っていた奴が変態っぽかった。」
まだそんな事を言っているのかと苦い顔をしてしまう。
見た目が良いケードだが、中身は私的にはとっても残念な人だ。
他の人への態度は普通なのに、私にはネチネチと言うか、しつこいというか、やめてと言っても触ってきたりと何かとちょっかいを出されたりする為頭突きをしたくなる程なのだ。
何度かお見舞いしたのは内緒の話だが。
「へんたい…かどうかわからないけど、よくからかってくるの。2番目に年上のミラがケードの事好きだからそっちにやればいいのにさ。
まあそれは置いておいて…。
ケードなら色々教えてくれるよ、ここの事。
お手伝いとか仕事とかも」
「その話もしたよ。
一応…明日の朝から清掃の仕事を教えてやるとか、言ってた…。」
ケードのこういう所は尊敬できる。
物事を卒なくこなすその姿は神父もケードの事を一目置き、お気に入りになるだけはあるのだろう。
「話がはやいね。
午前はお手伝いやお仕事で、午後は自由時間が多いから、午後から私と一緒に何かしようか。分からないこととか教えてあげるね。
それと、昨日は一緒に寝たけど、ルーカスの部屋の用意を」
「ここでいい。ロティと寝る。」
ルーカスは私をじっと見つめて口を尖らせていた。
「ベッド狭くないの?」
「狭くない。かあさんと一緒に寝る事が多くて…なれてる。」
実は昨日も一緒には寝ているのだ。
なぜならルーカスが昨日は疲れていたのか話をした後食事もせずに私のベッドで再び寝てしまったからだ。
私も他の部屋に勝手に移動するわけにはいかず、そっと横に寝ていたのだ。
今日も一緒に寝ると言ったのは予想外だったが、もしかしたらおかあさんがいなくなって寂しい思いをしているのかも知れないと思うと、胸がちくりと痛んだ。
私だってほんの2.3年前は年長者の女の子と一緒に寝てもらっていたのだ。
誰かと寝るのは心地がいいし、寂しくない。
その年長者がいなくなって1人で寝る時には怖くて仕方がなかった事を思い出す。
まだ寂しい気持ちが消えないならルーカスと一緒に寝てもいいかと思ってしまう。
「…そっか。なら安心できるまで一緒に寝ようね。でもバレたら怒られちゃうから一応隣に部屋だけは作っておこうね。」
「わかった。」
そう伝えたルーカスの表情は安心したような顔をしていて、私の出した答えが間違いではなかったみたいで私もほっとしてしまったのだった。
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私の部屋の扉がノックも無しにガチャリと開けられた。
そこかは顔を覗かせたのは神父だった。
ふくよか過ぎる神父がこの部屋に入ると狭くなり過ぎるためか、部屋に入って来ずに私とルーカスを見た。
ルーカスが私の部屋にいると思っていなかったのか嫌そうな顔をしている。
「うっ、昨日の…。」
「名前はルーカスだよ!いじわるしないでね。」
先に言っておかないとまた手を出されるかも知れない。見かけによらず手や足の軽い事、神父は言うことを聞かない子や生意気な子には容赦がないのだ。
ルーカスは何もしてないと思うが、蹴られていたし私が守らないと、と正義心が芽生える。
嫌そうな顔をする神父はルーカスから目を逸らし私に向かって手招きをした。
「…まぁいい。ロティだけこちらに来い。」
「僕も行く。」
「ロティは仕事の話があるんだ。
邪魔するなら容赦しないぞ。」
手招きをしていた手が拳を握りしめた手に変わる。慌てて私は神父からルーカスを守る様に前に立つ。
ルーカスに向き直り座っているルーカスの目線に合わせて話をする。
「ルーカス、ちょっと行ってくるから待ってて?もうすぐ他の子も帰ってくるから。
挨拶出来たらしていて?」
「………わかった。」
ルーカスは渋々ながらも頷きを見せてくれたため一安心する。
他の子達にも挨拶を自分からしてくれれば馴染みやすいだろう、うまくいくことを祈ろう。
孤児院から出て隣の教会の執務室まで神父と共に来た。教会ですらあまり入らないのに執務室は初めて足を踏み入れた為か緊張してしまう。
沢山の本に書類の山。
積み上がってるおやつみたいなのが見えて羨ましい。後は影の方に瓶がちらりと見える。
まさかお酒ではないだろうなと考えていると、執務室の1人用の椅子に神父がどかっと座りながら私に話し掛けてきた。
「ロティ、明日から朝の祈りに毎日参加しろ。午前は自由時間はないと思う事だ。
ああ、それとあいつは連れてくるなよ。面倒になる。
それと、祈りの後は執務室で望む者の治療を行う。それに関していくつか注意点がある。
きっちり頭に入れておけ。」
「ねぇ、どうしてルーカスは連れてきちゃだめなの?」
「アイツは亜人だと言っただろう。
この地域では亜人は良いものとされていない。本来なら関わらない方がよかったのに。
あんなとこで倒れていたせいで…。」
「ルーカスは亜人じゃないって言ってたよ?
半分人間だって。」
「亜人の血が流れているのには変わりないだろう。とりあえず、アイツをあまり表立って行動させないほうがいい。特にうろこなぞ見られたら殺されてしまうかもしれないからな。肝に銘じておけ。
それと明日からはこの服を着て過ごすんだ。」
執務室の机の上に置かれた白い服を3枚ほどポイっと私に投げた神父。
落とさない様に受け取ると、白いワンピースのようだった。
「わぁ…綺麗な服だね。他の子のもないの?」
「お前の頑張り次第だろうよ。」
「じゃあ頑張らなきゃだね。」
「それと回復魔法に関してだが、あれからは使ってないな?」
「使い方知らないもん。」
「なら魔法の手立てを多少教えてやる。」
そう言うと神父は座りながら私は立ちながら神父が魔力と魔法について私に教えてくれた。
◇◆◇
私の魔法を見ながら満足そうな顔をしている神父。
神父に教わった回復魔法をなんとなくこなしていっただけだが、怒られる事なく済んでいた。
「…ロティ、本当にお前はいい子になったものだ。神は見捨てなかったんだな、お前を。」
神には見捨てられなかったかもしれないけど両親には捨てられたよ、なんて冗談混じりに神父に言う事が出来ず、私は自分の魔法の光を見つめて尋ねた。
「この魔法で人が救えるの?」
緑の光が宙をふわりと浮いている。
しばらくするとふと消えてしまう光がなんだか切ない。
「ああ、そうさ。だが私の言う通りに魔法を使わなければ…」
「わかってるよ!だからルーカスはいじめないでね!」
「ならいい、今日は終わりだ。明日から遅刻するなよ。さっさと戻れ。」
魔法が使える事の確認を終えたからか今日は用済みらしい。しっ、しっ、と言わんばかりの手の動きをされながらも私も留まっていたくはないため早々と執務室を後にした。
孤児院に戻ると殆どの孤児が仕事や遊びから帰ってきているようでただいまとおかえりが行き交い合っていた。
私も数人に挨拶をして部屋に一度戻る。
この貰った服を汚したら怒られるだろう。
そうなる前に部屋に置いておくべきだ。
部屋に戻るとまたさっきの同じようにルーカスは椅子に座っていた。
だが、私が戻ると今度は椅子から降りて駆け寄ってきて心配そうな顔をしている。
「ロティ…!大丈夫…?それ何?」
「うん、大丈夫だよ。
これは私の服なんだって。明日から午前中は私いないと思うけど大丈夫かな?」
「…なんでいないの?」
「困ってる人を助けるから?」
「危ない事しない…?」
「うん、多分。」
「僕も付いてっちゃダメ?」
「私1人なんだって…ごめんね。
あ、そうだ。ケードに挨拶しようか。ここの1番年上の男の子なんだけどね。」
さっきチラッと姿を見たような気がする。
挨拶が遅れると面倒になる可能性もあるだろう、私はベッドにふわりと白いワンピースを置くと、ルーカスの手を取った。
ケードの部屋まで案内しようかと思ったらルーカスは動かず顔を顰めている。
「ケードって…あの変態か。」
「へんたい?」
「ロティの事俺のだとか言ってた奴がいた。
一応、15人位と話はしたんだ。
その中で1番身長が大きかった奴。13歳のケードって名乗っていた奴が変態っぽかった。」
まだそんな事を言っているのかと苦い顔をしてしまう。
見た目が良いケードだが、中身は私的にはとっても残念な人だ。
他の人への態度は普通なのに、私にはネチネチと言うか、しつこいというか、やめてと言っても触ってきたりと何かとちょっかいを出されたりする為頭突きをしたくなる程なのだ。
何度かお見舞いしたのは内緒の話だが。
「へんたい…かどうかわからないけど、よくからかってくるの。2番目に年上のミラがケードの事好きだからそっちにやればいいのにさ。
まあそれは置いておいて…。
ケードなら色々教えてくれるよ、ここの事。
お手伝いとか仕事とかも」
「その話もしたよ。
一応…明日の朝から清掃の仕事を教えてやるとか、言ってた…。」
ケードのこういう所は尊敬できる。
物事を卒なくこなすその姿は神父もケードの事を一目置き、お気に入りになるだけはあるのだろう。
「話がはやいね。
午前はお手伝いやお仕事で、午後は自由時間が多いから、午後から私と一緒に何かしようか。分からないこととか教えてあげるね。
それと、昨日は一緒に寝たけど、ルーカスの部屋の用意を」
「ここでいい。ロティと寝る。」
ルーカスは私をじっと見つめて口を尖らせていた。
「ベッド狭くないの?」
「狭くない。かあさんと一緒に寝る事が多くて…なれてる。」
実は昨日も一緒には寝ているのだ。
なぜならルーカスが昨日は疲れていたのか話をした後食事もせずに私のベッドで再び寝てしまったからだ。
私も他の部屋に勝手に移動するわけにはいかず、そっと横に寝ていたのだ。
今日も一緒に寝ると言ったのは予想外だったが、もしかしたらおかあさんがいなくなって寂しい思いをしているのかも知れないと思うと、胸がちくりと痛んだ。
私だってほんの2.3年前は年長者の女の子と一緒に寝てもらっていたのだ。
誰かと寝るのは心地がいいし、寂しくない。
その年長者がいなくなって1人で寝る時には怖くて仕方がなかった事を思い出す。
まだ寂しい気持ちが消えないならルーカスと一緒に寝てもいいかと思ってしまう。
「…そっか。なら安心できるまで一緒に寝ようね。でもバレたら怒られちゃうから一応隣に部屋だけは作っておこうね。」
「わかった。」
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※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
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