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141.体は素直。
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ルークside
112話からのお話。
「そんなに罠いるのかってくらいしかけたなぁ…。」
アレックスが辺りを見回しながら呆れたようなぼやきを吐いたが、聞かなかった事にしよう。
ロティをスザンヌに預けて急いであの女を迎え撃つ場所決めと下見をしつつ、ついでにこれでもかと罠を張り巡らせておいた。無駄になるかもしれないがないよりはましだろう。
かなり急いで準備をしたが、迎えに行くと言った1時間半までにはまだ猶予がある。
今から行けばスザンヌの相手が来る前には帰れるだろう。スザンヌの相手だろうが、鉢合わせはさせたくない。
下見も準備も終わったのだ。
後はロティを迎えに行こう。
「サイラス、悪いが俺はロティを迎えに行きたいのだが…。」
「あ、そうですね。私達も帰りは転移魔法で帰りますから心配なさらないでください。
迎え撃ちはいつにします?」
「これだけ準備したんだもの!明日でいいんじゃないの?ルークもロティも早くケリをつけちゃいたいんでしょ?」
サイラスの横からひょこっと顔を出したノニアが言った事に俺はこくんと頷きながら答えた。
「そうだな…。とりあえずロティにも伝えないとならないから明日ということにしておいて不都合があれば連絡する。
協力してくれてありがとう。」
「私達はルークさんとロティさんの味方ですから。たとえ勇者パーティを抜けたとしてもそれは変わりません。」
「エドの言う通りだな。
頼ってくれた方が自分達は嬉しい。
アレグリアを捕まえた暁にはまたロティとまた食事でもしたいな。」
「お、それはいいなぁ…!リニもいいこと言うね!んじゃそのためにも明日、アレグリアを捕まえようぜ!」
「「「おーーー!!」」」
数日前までこのメンバーでパーティを組んでいた分意気投合が早くて助かる。
心強いメンバーだ。
あの女を捕らえるには十分すぎる戦力だろう。
次こそは息の根を止める。
もうロティに不安を与えたくない。
ロティに掛けられた呪いもあの女を始末してしまえば跡は残ろうが効力は消えるだろう。
そうなればロティが全てを思い出した時、解術がまた使えるようになっていればその跡さえ跡形もなくなくなるのだ。
早くロティの口から俺につけた名前を呼んで欲しい。
そんな事を考えてしまうと早くロティに会いたくてたまらなくなる。
1時間程度しか離れていないのに参った事だ。
早く迎えに行こう。
「では、すまないがまた明日。」
手早く挨拶をするとアレックス達は俺に笑顔を向けて手を振ってくれていた。転移魔法を発動させながら手を挙げるとすぐに光に包まれて辺りが見えなくなる。
トンッと足が地面につくとスザンヌの家の前に着いたのがわかった。まだ20分程度の余裕がある為、スザンヌの相手は来ていないだろう。最もそいつが早く来る奴じゃないと願ってのことだが。
コンコンコンッ。
先程と同じように玄関の扉をノックする。
スザンヌが出るか、ロティが出るか。
ロティだったらそのまま抱きしめてしまいたい。
そんな事を考えると顔が綻びそうになり焦って顔に力を込めた。スザンヌが出た時にこの顔を見られたら何が言われそうだ。
だが足音も返事も聞こえない為俺は不可解に思いまた扉をノックする。
もしかしたらスザンヌの相手がもう来ていて話に夢中でノックに気付かないのだろうか。
けれど賑やかな話し声も聞こえない事からそれはないと思うのだが様子がおかしい。
ドアノブに手を掛けるとどうやら回るようだ。鍵がかかっていないのなら入ってしまうか。
「すまない、ノックをしたんだが。」
そう言って中に入ろうとした時、俺の心臓が握り潰される程苦しくなった。
中で見たものは床に倒れているロティとスザンヌの姿で、2人ともくたりとしていて動いていない。
「ロティッ!!」
慌てて床に伏せるロティを抱き抱えて顔を見ようとしたその時。
ぞわっ。
ロティに触れた瞬間体に寒気が走った。
今までこんな事なかったのに何故か嫌な予感がする。
腕の中にいるロティはどうやら眠っているようで顔色も良く、軽く寝息をたてている。
痛いほど打ちつけていた心臓がホッとしたのも束の間。どうしてだろうか、抱き抱えているロティに違和感を抱いてしまった。
(ロティ…のはずなのに、何故こんなに落ち着かないんだ…?)
1時間も離れた影響なのだろうか。それともこんな状況を見てしまったからか心臓がまだやけに煩い。どうしてこうなったのか知りたくてロティを優しくゆすって起こそうとした。
「ロティッ、ロティッ!大丈夫かっ!?
スザンヌ!!何があったんだ!!」
「ふぐがっ!?…ぁあん?なんだい…煩いね…人が折角昼寝してる時に…。」
声を掛けると案外あっさり起きたスザンヌは完全に寝ぼけているようだ。
緊急事態に俺の苛立ちが上昇してしまう。
「床でそのまま寝る奴があるかっ!
どうしてこうなっているんだ!?」
「…あ?どうしてこう…?ん?なんでここに寝ているんだ…?」
「記憶の魔女だろう!思い出せ!!」
「ああー煩いね!っ!ロティも寝ているのかいっ!?え、えっと…。」
自分だけが昼寝をしていたと思ったのだろう。ロティが俺に抱き抱えられて眠っている姿を見て急にしゅんとし慌て出したスザンヌ。
記憶を辿ろうとしているのかスザンヌから青や赤の魔法の光が出て宙を舞い、それがスザンヌの頭に入ったり出たりと忙しない。
まさかスザンヌの相手に何かされたのだろうか。そうだとしてもそいつはこの場にいないし2人も寝ていただけとはおかし過ぎる。
苛立ちと焦った脳で考えている中、腕の中にいるロティの体がごそっと動いた。
「ん…………、ルーク………?」
「ロティッ…!目が覚めたのか…何があったんだ…。」
「……わからない。でも……体が重くて…休みたいな…。」
ロティは目を開けたがすぐに閉じてしまった。どこか辛そうな様子で怠そうだ。
古代竜の加護と自己治癒が高くなった今なら怠さも回復できそうだが、それをしないと言う事は何か薬でも盛られたのだろうか。
ロティを床から抱き抱えて立つとまたぞくりと悪寒を感じた。ただならぬ空気に俺まで当てられてしまっているのかと冷や汗が出る。
だが辛そうなロティをこのままにはしておけない。屋敷に戻って休ませよう。
「スザンヌ、申し訳ないがまた後で事情を聞きに来るっ!今はロティを休ませたい。」
「え、あ、ああ。次来た時までには意地でも思い出すからとりあえず休ませるといい。なんだか…すまないね…。」
「いや、面倒を掛けた。すまなかったな…ありがとう。今日は帰るっ。」
「……。」
スザンヌにも挨拶出来ないほど憔悴しきったロティを見ると手が震えそうになってしまった。転移魔法を発動させロティと共にその魔法の光に包まれるとすぐに景色は一変し、見慣れた玄関に着いた。
階段に向け歩き出そうとした時。
甲冑達が瞬時に動き俺に武器の矛先を向けてきたのに、俺の足の動きは止まってしまう。
「…なんの真似だ?」
甲冑達も何故かお互いの顔を見合わせて首を傾げている。自分達が起こした行動なのにわからないのか。
横目で壁を見ると蔦達も狼狽えながら蔦を伸ばしていいものなのかとぐにぐにと動いているのが見えた。
「……後で事情を聞こう。今はロティを休ませたいんだ。」
そう言って甲冑達の間を通り抜けて階段を登っていく。ガチャガチャガンガンと聞こえるのは甲冑達が叩き合いでもしているのだろうか。襲い掛けた事は何かしらの事情があるかもしれない。ロティを休ませたあとにでも問いただそう。
ぐったりとしたロティを寝室に連れて行きベッドに降ろす。
くたりとしていたロティだが俺に手を伸ばし腕の部分をツンッと引っ張っている。
「ロティ…大丈夫か…?」
「…わからない…なんだか体が変な感じするの…。ぞわぞわして…。
ルーク…もう少し近くに……。」
両手を広げたロティに誘われるままロティに覆い被さるとロティは瞳を潤わせ、俺の肩へと手を当てていた。
いつもならこんな状況になったらキスをしていただろう。なのにそう出来ないのは心臓が締め付けられ頭で警報が鳴り響くようにガンガンと煩いからだ。
冷や汗もかいて気持ちが悪い。
あり得ない事が重なり募らせたくない不信感が俺の中で溢れていく。
「…ルーク?」
「…………どうした?」
「…なんかね……体が熱いの。
どうしちゃったのかな…。倒れてる時に何かあったのかも……。ルーク……キスして……?」
そう言って俺に伸びたロティの手が頬に触れると俺は顔を顰めてしまった。
「熱いと言う割には手が冷たいな……。」
「体がおかしいみたい……。
ね……いつもみたいに抱いて………?」
「……いつもみたいに。」
「…うん、ルークであっためてほしいの。
ね………抱いて?」
ああ……俺は馬鹿か。
ヒントなら転がっていたのにはずだ。
なのに気付かずにこうなってしまっている事に身の毛がよだつ。
「………これ以上喋るな。」
どうしてかロティの顔と声なのに欲情しないものだ。この状況を本当のロティで味わいたかった。
グンっと体を起こし馬乗り状態になってロティの顔をしたそいつを冷たく睨むとキョトンとした顔で俺を見ていた。
「ルー」
「聞こえなかったか?喋るな。事情を知らないまま息の根を止めたくはない。
グニー・アレグリア。」
112話からのお話。
「そんなに罠いるのかってくらいしかけたなぁ…。」
アレックスが辺りを見回しながら呆れたようなぼやきを吐いたが、聞かなかった事にしよう。
ロティをスザンヌに預けて急いであの女を迎え撃つ場所決めと下見をしつつ、ついでにこれでもかと罠を張り巡らせておいた。無駄になるかもしれないがないよりはましだろう。
かなり急いで準備をしたが、迎えに行くと言った1時間半までにはまだ猶予がある。
今から行けばスザンヌの相手が来る前には帰れるだろう。スザンヌの相手だろうが、鉢合わせはさせたくない。
下見も準備も終わったのだ。
後はロティを迎えに行こう。
「サイラス、悪いが俺はロティを迎えに行きたいのだが…。」
「あ、そうですね。私達も帰りは転移魔法で帰りますから心配なさらないでください。
迎え撃ちはいつにします?」
「これだけ準備したんだもの!明日でいいんじゃないの?ルークもロティも早くケリをつけちゃいたいんでしょ?」
サイラスの横からひょこっと顔を出したノニアが言った事に俺はこくんと頷きながら答えた。
「そうだな…。とりあえずロティにも伝えないとならないから明日ということにしておいて不都合があれば連絡する。
協力してくれてありがとう。」
「私達はルークさんとロティさんの味方ですから。たとえ勇者パーティを抜けたとしてもそれは変わりません。」
「エドの言う通りだな。
頼ってくれた方が自分達は嬉しい。
アレグリアを捕まえた暁にはまたロティとまた食事でもしたいな。」
「お、それはいいなぁ…!リニもいいこと言うね!んじゃそのためにも明日、アレグリアを捕まえようぜ!」
「「「おーーー!!」」」
数日前までこのメンバーでパーティを組んでいた分意気投合が早くて助かる。
心強いメンバーだ。
あの女を捕らえるには十分すぎる戦力だろう。
次こそは息の根を止める。
もうロティに不安を与えたくない。
ロティに掛けられた呪いもあの女を始末してしまえば跡は残ろうが効力は消えるだろう。
そうなればロティが全てを思い出した時、解術がまた使えるようになっていればその跡さえ跡形もなくなくなるのだ。
早くロティの口から俺につけた名前を呼んで欲しい。
そんな事を考えてしまうと早くロティに会いたくてたまらなくなる。
1時間程度しか離れていないのに参った事だ。
早く迎えに行こう。
「では、すまないがまた明日。」
手早く挨拶をするとアレックス達は俺に笑顔を向けて手を振ってくれていた。転移魔法を発動させながら手を挙げるとすぐに光に包まれて辺りが見えなくなる。
トンッと足が地面につくとスザンヌの家の前に着いたのがわかった。まだ20分程度の余裕がある為、スザンヌの相手は来ていないだろう。最もそいつが早く来る奴じゃないと願ってのことだが。
コンコンコンッ。
先程と同じように玄関の扉をノックする。
スザンヌが出るか、ロティが出るか。
ロティだったらそのまま抱きしめてしまいたい。
そんな事を考えると顔が綻びそうになり焦って顔に力を込めた。スザンヌが出た時にこの顔を見られたら何が言われそうだ。
だが足音も返事も聞こえない為俺は不可解に思いまた扉をノックする。
もしかしたらスザンヌの相手がもう来ていて話に夢中でノックに気付かないのだろうか。
けれど賑やかな話し声も聞こえない事からそれはないと思うのだが様子がおかしい。
ドアノブに手を掛けるとどうやら回るようだ。鍵がかかっていないのなら入ってしまうか。
「すまない、ノックをしたんだが。」
そう言って中に入ろうとした時、俺の心臓が握り潰される程苦しくなった。
中で見たものは床に倒れているロティとスザンヌの姿で、2人ともくたりとしていて動いていない。
「ロティッ!!」
慌てて床に伏せるロティを抱き抱えて顔を見ようとしたその時。
ぞわっ。
ロティに触れた瞬間体に寒気が走った。
今までこんな事なかったのに何故か嫌な予感がする。
腕の中にいるロティはどうやら眠っているようで顔色も良く、軽く寝息をたてている。
痛いほど打ちつけていた心臓がホッとしたのも束の間。どうしてだろうか、抱き抱えているロティに違和感を抱いてしまった。
(ロティ…のはずなのに、何故こんなに落ち着かないんだ…?)
1時間も離れた影響なのだろうか。それともこんな状況を見てしまったからか心臓がまだやけに煩い。どうしてこうなったのか知りたくてロティを優しくゆすって起こそうとした。
「ロティッ、ロティッ!大丈夫かっ!?
スザンヌ!!何があったんだ!!」
「ふぐがっ!?…ぁあん?なんだい…煩いね…人が折角昼寝してる時に…。」
声を掛けると案外あっさり起きたスザンヌは完全に寝ぼけているようだ。
緊急事態に俺の苛立ちが上昇してしまう。
「床でそのまま寝る奴があるかっ!
どうしてこうなっているんだ!?」
「…あ?どうしてこう…?ん?なんでここに寝ているんだ…?」
「記憶の魔女だろう!思い出せ!!」
「ああー煩いね!っ!ロティも寝ているのかいっ!?え、えっと…。」
自分だけが昼寝をしていたと思ったのだろう。ロティが俺に抱き抱えられて眠っている姿を見て急にしゅんとし慌て出したスザンヌ。
記憶を辿ろうとしているのかスザンヌから青や赤の魔法の光が出て宙を舞い、それがスザンヌの頭に入ったり出たりと忙しない。
まさかスザンヌの相手に何かされたのだろうか。そうだとしてもそいつはこの場にいないし2人も寝ていただけとはおかし過ぎる。
苛立ちと焦った脳で考えている中、腕の中にいるロティの体がごそっと動いた。
「ん…………、ルーク………?」
「ロティッ…!目が覚めたのか…何があったんだ…。」
「……わからない。でも……体が重くて…休みたいな…。」
ロティは目を開けたがすぐに閉じてしまった。どこか辛そうな様子で怠そうだ。
古代竜の加護と自己治癒が高くなった今なら怠さも回復できそうだが、それをしないと言う事は何か薬でも盛られたのだろうか。
ロティを床から抱き抱えて立つとまたぞくりと悪寒を感じた。ただならぬ空気に俺まで当てられてしまっているのかと冷や汗が出る。
だが辛そうなロティをこのままにはしておけない。屋敷に戻って休ませよう。
「スザンヌ、申し訳ないがまた後で事情を聞きに来るっ!今はロティを休ませたい。」
「え、あ、ああ。次来た時までには意地でも思い出すからとりあえず休ませるといい。なんだか…すまないね…。」
「いや、面倒を掛けた。すまなかったな…ありがとう。今日は帰るっ。」
「……。」
スザンヌにも挨拶出来ないほど憔悴しきったロティを見ると手が震えそうになってしまった。転移魔法を発動させロティと共にその魔法の光に包まれるとすぐに景色は一変し、見慣れた玄関に着いた。
階段に向け歩き出そうとした時。
甲冑達が瞬時に動き俺に武器の矛先を向けてきたのに、俺の足の動きは止まってしまう。
「…なんの真似だ?」
甲冑達も何故かお互いの顔を見合わせて首を傾げている。自分達が起こした行動なのにわからないのか。
横目で壁を見ると蔦達も狼狽えながら蔦を伸ばしていいものなのかとぐにぐにと動いているのが見えた。
「……後で事情を聞こう。今はロティを休ませたいんだ。」
そう言って甲冑達の間を通り抜けて階段を登っていく。ガチャガチャガンガンと聞こえるのは甲冑達が叩き合いでもしているのだろうか。襲い掛けた事は何かしらの事情があるかもしれない。ロティを休ませたあとにでも問いただそう。
ぐったりとしたロティを寝室に連れて行きベッドに降ろす。
くたりとしていたロティだが俺に手を伸ばし腕の部分をツンッと引っ張っている。
「ロティ…大丈夫か…?」
「…わからない…なんだか体が変な感じするの…。ぞわぞわして…。
ルーク…もう少し近くに……。」
両手を広げたロティに誘われるままロティに覆い被さるとロティは瞳を潤わせ、俺の肩へと手を当てていた。
いつもならこんな状況になったらキスをしていただろう。なのにそう出来ないのは心臓が締め付けられ頭で警報が鳴り響くようにガンガンと煩いからだ。
冷や汗もかいて気持ちが悪い。
あり得ない事が重なり募らせたくない不信感が俺の中で溢れていく。
「…ルーク?」
「…………どうした?」
「…なんかね……体が熱いの。
どうしちゃったのかな…。倒れてる時に何かあったのかも……。ルーク……キスして……?」
そう言って俺に伸びたロティの手が頬に触れると俺は顔を顰めてしまった。
「熱いと言う割には手が冷たいな……。」
「体がおかしいみたい……。
ね……いつもみたいに抱いて………?」
「……いつもみたいに。」
「…うん、ルークであっためてほしいの。
ね………抱いて?」
ああ……俺は馬鹿か。
ヒントなら転がっていたのにはずだ。
なのに気付かずにこうなってしまっている事に身の毛がよだつ。
「………これ以上喋るな。」
どうしてかロティの顔と声なのに欲情しないものだ。この状況を本当のロティで味わいたかった。
グンっと体を起こし馬乗り状態になってロティの顔をしたそいつを冷たく睨むとキョトンとした顔で俺を見ていた。
「ルー」
「聞こえなかったか?喋るな。事情を知らないまま息の根を止めたくはない。
グニー・アレグリア。」
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