童貞の僕が性感マッサージに行ったら施術者が僕の同級生でした

gina

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童貞の僕が性感マッサージに行ったら男専用で施術師が同級生でした

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 僕は今日21歳になった。祝ってくれたのは同じ学科の女の子たち。

 凝った盛付の、味も感じも良いイタリアンレストランで、プレゼントをたくさんもらった。優ちゃんからは化粧水、三原さんからは美味しい焼き菓子のセットとリーフティ。陽子ちゃんからは僕が集めているはしっこぐらしの三毛さんぬいぐるみ。さやちゃんからはカッコいいスマホショルダー。どれも嬉しかったし、楽しい会だった。

 だけど、ひとつだけ、ついていけない話題があった。

「彼ピくんと最近レス気味でえ……」
「うちもだよ。二年経つとそうなっちゃうのかな~」
「私は浮気疑ってる」
「てゆうかシた朝に朝ごはんとかマジだるいんだけど作らされるのなんで?」

 恋バナだ。それも、性的なことを含む。

「碧くんはどう思う? あんまりそういうこと話すの好きじゃないって言ってたけどコッソリ教えてよ。今までの彼女とどうだった? 飽きちゃうもの?」

 僕は全力で口ごもった。

「うーん……相手による……かな……もしかして、僕も、不満持たれてるかもしれないし、今までそういうこと、言われたことなくて……」

 だよねえ、と女の子たちは口を揃えた。

「碧ちゃんがカレシだったら、一緒に寝るだけでも満足できるし~」
「そうそう、起きてこの可愛い顔が横ですうすう寝てたら朝ごはんでも晩御飯ででも作っちゃう」
「ていうか朝からちゅっちゅしたくなっちゃう」

 あはは、とまた声が揃い、僕は頬を染めて曖昧に笑う。

──皆、ごめん……!

 実は……実は僕は、21年間誰とも付き合ったことがない。エッチどころか女の子と手をつないだこともなくて、一応精通はしたけど、性欲があまりないせいか、ひとりエッチもしない。
 そういうことについての経験が皆無なのだ。

 時たま女の子に告白されてもピンと来なくて断ってしまうか友達になってしまう。そうしてできたのが、学科内で「ハーレム」と呼ばれてる女の子と僕のグループだ。

「ね、ね、碧くんがシたいなあって思うときってどんな時?」
「恥ずかしいよ」
「前カノと別れて半年だっけ? もう時効だよ、教えてよ」

 僕のほうが教えてほしい。一体、どういうときにシたいと思うんだろうか。

「内緒。そういうのは何年経っても内緒だよ」

 とっておきの顔で見つめて、女の子たちに「誠実」と言わしめた僕は、大ウソつきだ。

+++

 帰り道、ワインで結構酔ってしまった僕は、ふわふわした頭で考えた。やっぱり、一度くらいは経験しておくべきじゃないかって。
 僕みたいな童顔でいまだに女の子と間違われることがあるような男に、大人の女の子は性的な興味を持ってくれない……わけじゃないのは分かってる。僕だ。僕の問題だ。

 そういうエッチなものから皆が僕をとことん遠ざけてきた生い立ちのせいで、きっとそうなったのだと思う。キスシーンが映りそうになったらすぐさまチャンネルをプロ野球かニュースに変えてしまったお父さんとお母さん。
 エッチな雑誌を僕にだけ回さなかった中高の友達。

「碧ちゃんには見せたくない」
「碧には純粋でいてほしい」

 彼らはずっとそう言っていた。

 そしてエッチなことを考える素材が無かった僕は、見事にエッチなことに興味がないまま成人してしまった……違う、嘘だ、これも嘘。

 興味が無いわけじゃない。
 ただ、どうしたらいいか分からないだけ……。

「お姉さん、お仕事探してない?」

 そんなとき、ふいに声をかけられた。僕はふらふら、帰り道を間違えてネオンがぎらぎら光る歓楽街に入ってしまっていたのだ。

「僕、男です」

 何度も言った台詞をうつろに呟き、スカウトマンの「嘘だろ」の声を背中に聞いた。
 あんな、女の人に詳しい人にさえ間違われる僕。やっぱり「雄」じゃないからだ。エッチなことをしてないから、女の子と間違われてしまうんだ。

──経験……してみたい……最後まではいかなくても、女の子に触られたり、触ったり……その……キス……とか……。

 足を止めて、ぐるりと辺りを見回した。

 【美女しかいないソープ!気持ちよくお風呂に入りませんか?】
 【下着カフェ! おっぱいがいっぱいランド】
 【暗闇デート喫茶! 美女があなたを天国へ】
 【デリヘル案内所。12月OPEN仕立てのホテルでゆっくりエッチ】

 看板を読むだけでくらくらしてきた。
 プロに経験させてもらうならこういう所なんだろうけど、どう選んだらいいかさっぱり分からない。
 店に吸い込まれて行く人たちは慣れたもののようで、ひとりの人もいれば、男性グループで入っていく人たちもいる。

──無理だ……。

 もう帰ろう。僕には無理だ。
 踵を返して駅に向かおうとした時だった。

「なんか不満そうだね、お兄ちゃん。来るとこ間違えちゃったかな? お兄ちゃんが探してるのはオッパイじゃなくて、さっぱり気持ちよくなるマッサージ、なんじゃない?」
 
 黒いスーツのお兄さんに声を掛けられた。

「マッサージ……」
「そ、身も心も満たされる、性感マッサージ。お兄ちゃん、ウチは施術師いい子揃ってるよ。カタログだけでも見てみない?」
「あの、性感って……やっぱり……その……」
「どっちかっていうとエロよりマッサージだよ。肩凝ってない? 気持ちいいよ~。ウチは皆上手だからね、こういうところは初めて?」

 促されるように細い道へと連れていかれる。

「は、はじめて、です……」
「分かる分かる。お兄ちゃんみたいな見た目だと、来にくいよね。大丈夫だから、安心して」

 僕は迷いながらも足を止めることが出来なかった。性感マッサージ……女の人に身体をマッサージしてもらうだけなら、僕でも大丈夫なんじゃないだろうか。今日は実際疲れてたし、入門編として、受けてみるのも悪くない……と思う。

 その3分後、僕は大きなファイルを手に、大いなる勘違いをしていたことに気づく。
 僕が連れていかれたマッサージ店は……施術師が……、

──全員男……!!

 確かに、イケメンばっかりだ……この星野っていう白に近い金髪の人、僕の大学内でも一番カッコいい宝井君(憧れてる)に似てるし……でも、そういうことじゃない!

「あ、あの……僕、」
「ああ、星野君? 気に入った? 人気の子だよ。その前にシステムの説明をしておきますね」
「違います、えっと、その、」
「ノーマルコースは射精一回。お兄ちゃんは紙パンツ履いてもらって、施術師は服着てマッサージして気持ちよくなるコースね。アドバンスコースはお兄ちゃんは全裸で、直接触って気持ちよくなってもらうコース。オプションで施術者も全裸で肌を合わせることでより気持ち良くなってもらうことが出来るよ。ただ、星野くんはアドバンスコースまで。オプションつけられないんだ。ごめんね」

──ひええ……。

「星野くん以外ならエクストラコースも……」
「いいです! 大丈夫です!」
「了解です! 星野君が気に入ったんですね、ちょっと空きを見てくるから……」
「待って、待ってください、」

 言え、僕。勘違いしてたって、言えよ……!

「あ、コースは施術師に伝えてくれたらいいから、途中で変更もOKだし。値段の説明もその時ちゃんとするから安心してね」

 そういうことでは! なくって!

 叫ぼうとしたとき、奥からスラリとした男の人が現れた。長めの金髪の……。

「あ! 星野君。休憩終わった所? 今この可愛いお客様がちょうど星野君が良いって。入れるかな」
「はい!……いらっしゃいませ!」

 最悪だ、「星野君」が現れてしまった。僕はカバンをひっつかんで逃げようと思った。思ったんだけど、身体が硬直してしまった。

「わ、嘘、やった! 西野君じゃん」

 こう、言われてしまったから……そう、僕の名前は西野碧。ということは、宝井君にそっくりの星野君は……」

「え、俺のバイト先知ってた? そんで来てくれたとか? うれしー! ラッキーすぎる」
「ち、ちが……」
「え、知り合い? これはこれは! 素敵な運命だね。このお客様は僕がキャッチしたんだよ」
「偶然? マジ? それで俺のこと指名してくれたの? うわーなんか感無量!」
「あ……う……」
「こちらへどうぞ!」

──違う違う、違うんだ……!! 

 僕は宝井君……じゃなくて星野君……ああもう分からない……に腕を取られて、店の奥に連れて行かれてしまった。

「はい、じゃ、一旦ソファ座ってもらって、コースどうしよか? 大体聞いてる? これ価格表」

 あああ……始まってしまった。

「あの……普通の、ない、ですか……」
「普通? どゆこと?」
「その、えっちなこと、しない……」
「え?」

 僕はもそもそと、勘違いして来てしまったことを宝井君に伝えた。

「マジで? 嘘じゃん、西野君来てマジ神様いる! って俺喜んだのに!」
「え……」
「前から可愛いな~と思っててさ。でも女子ばっかといるじゃん? 話す機会無くて」
「僕、男だけど……」

 関係ない関係ない、と宝井君は大きな手をひらひら振った。

「俺ドッチもいけんの。だからこの仕事してる。最初は女の人相手にしてたんだけどさ、マジ恋されて修羅場っちゃうこと多くて、男専門になったワケ」
「そう、なんだ……」

 マジで無理? 俺、上手いよ。

 宝井君が料金表をひらり、と僕の手から取った。

「内緒ね。ノーマルの値段で一番いいエクストラコース、西野君にしたげる」
「え……でも、それって、しないんじゃ……」
「西野君だから特別! そもそも西野君は人肌に触れたことないのが悩みなんでしょ? だったらいきなり女の子より同性のが入口としてはいんじゃない?」
「そう……かな……」

 でも知り合いとは、と渋る僕に、宝井君は名刺を差し出した。

「俺は星野ユヅル。西野君の知らない人。プロのマッサージ師。絶対誰にも言わないし、このことがバレることは絶対ない」

 呼んでみて、と言われて、僕は小さな小さな声で「星野君」と言った。

「じゃあ、次は名前で」

 星野君は言いながら、紺色のカットソーを脱いだ。現れた身体に、僕はくらくらしてしまった。広い肩幅、適度に発達した胸筋、うっすら六つに割れたお腹。
 肌はなめらかで、とても綺麗だった。

「ゆ……ユヅル君」
「OK、じゃ、ベッド上がってくれる?」

 僕は催眠術に掛けられたように、ベッドに座った。ユヅル君が、僕のシャツのボタンをはずしていく。

「よいしょ……と、万歳して」

 言われるままに万歳したら、中に着ていたTシャツも脱がされた。
 背中に手が優しく添えられて、固めの、タオルで覆われたベッドに寝かしつけられる。

「綺麗だな、西野君……名前で呼んでもい?」
「あ……どうぞ……」

 流れるようなしぐさで、僕のデニムのベルトを外し、するする、はぎ取っていく。
 
「ローション使うから、全部脱ごうね」
「え、あ……」

 大丈夫。

 耳元でささやかれ、パンツのゴムをユヅル君の指が掴んだ。

 どき、どき、と僕の心臓は跳ねるように鼓動をうち始める。なんだろう、恥ずかしい、すごく恥ずかしいのに、僕は、

「あ、ちょっと勃ってる……可愛い」

 ぎく、として首だけ起こして見てみれば、確かに僕のそこは少し兆していた。

「は、恥ずかし……」
「碧君だけ恥ずかしくないように俺も脱ぐね。俺のデカくてビックリするかもしれないからパンツは履いとく。OK?」

 うんうん、と僕は頷いて、ユヅル君の長い足がズボンから引き抜かれるのを見ていた。アスリートみたいな、カッコイイ脚だ。

「じゃ、はじめようか……よろしくお願いいたします。本日、西野さんの担当を、星野ユヅルが務めさせて頂きます」
「は、はい……よろしくお願いします……」

 ユヅル君がにこっと笑った。ずん、と心に矢が刺さったような感じがした。キレイな顔だとはいえ、男の人に微笑まれて、こんな気持ちになるなんて。

「香りが三つあるから……好きなの選んでください」

 一つ目はこれ、二つ目はこれ……アロマの混ざった三つのローションの中から、僕が選んだのはオレンジスイート。
 ユヅル君は手にたくさんそのローションをつけて、僕の首元から鎖骨の方に塗り広げた。

 大きな手が、圧を掛けながら首筋を通って肩に滑り、背中に回って肩甲骨をほぐしながらまた鎖骨に戻ってくる。

「痛くないですか?」
「……気持ち、いい……です」
「良かった……続けるね」

──これなら、大丈夫そう、かな……。

「肩、力抜いて……」
「はい……」

 人生初のマッサージを受けながら、その心地よさに少しうとうとしかけた頃だった。ユヅル君の大きな手がするする、と腹の上を滑り、胸の所に戻る、という動作に変わった。
 胸の所を手の平でくるくるして、乳首がこねくり回されている。

「あ」

 思わず声が出てしまった。はっとして口を押えると、すぐそこにユヅル君の綺麗な顔があった。

「手、どけられる?」
「手……」

 どけられないでいると、ユヅル君が僕の手首をつかんで、ベッドの上に下ろした。
 そして、そして──。

「ん!」

 柔らかい、滑らかなものが僕の唇に触れた。ユヅル君だ。ユヅル君の唇だ。
 ちゅ、ちゅ、と軽いキスを繰り返しながら、ユヅル君が僕の乳首を弄りまわす。
 じくじく、少し痛むようなじれったいような感覚が、下半身に伝わって、僕のソコは完全に勃ち上がってしまっていた。

──恥ずかしい……!

「ユヅル君、あの、あの……」

 もう終わりでいい、と言おうと思った……のだけど。

「気持ちいい? ここ、触っていいかな」

 ふわりとおちんちんに触れられて、きゅ、と力を込められた。とろとろ、ローションが上から落ちてきて、オレンジの香りが一層強くなる。

「は、あ」
「ゆっくり動かすよ……好きに声出していいからね」

 きゅ、ぎゅ、と上下にこすられ、あまりの快感に目の前がちかちかした。こんなの、こんなのなのか。

「い、……いい、きもちいい」
「碧君、気持ちい? 嬉しいな」
「う……なんか、あ、変、ちかちか、して」
「一回出そうか」
「え」

 ユヅル君のてのうごきがはやくなった。力を緩めたり強めたり、擦る速度を変えたり──ああ、ああ、もう……。

「だめぇ……!」

 びゅっとおちんちんから何かが出て行くのが分かった。びゅ、びゅ、と何度かその後もそこが震え、僕はしびれたようにうごけなくなっていた。

「はあ……あ、あ」
「気持ち良かったね、碧君」
「きもち、よかった……」

 ニコ、とまたあの殺人的な微笑みを浮かべて、ユヅル君が温かいタオルで、ローションと僕が出したどろどろを優しくふき取ってくれる。 

「ありがとう、ございました……」

 何を言っていいか分からず言えば、ユヅル君は「まだまだ」と言った。

「エクストラコースだからね。もっといっぱい気持ち良くするよ」
「え……まだ、あるの」
「脚のマッサージがまだだから」

 ユヅル君は、僕の棒っきれみたいな脚にまたローションを塗って、程よい力を入れてマッサージを始めた。ふくらはぎから足先をほぐされて、射精したけだるさと、身体的な気持ち良さでまたうとうとしそうになる。
 するとユヅル君はぎゅっと足の、たぶんツボの所を押して僕を叩き起こした。

「いた……」
「ここはストレスのツボ。疲れてるんだね。ゆっくり休んでいこうね」

 右足の付け根が両手で包まれ、圧を掛けながらもまれる。気持ちいい……。
 でも、足の付け根に手が行くと、ひやりとする。袋の所に、手が少し触れるから。

「碧君、うつ伏せになれる? ゆっくりでいいから」

 言われた通りうつ伏せになる。ずっとおちんちん丸出しだったから丁度良かった……と思ったら、お尻を両手で柔らかく包まれた。

「あ、お尻、お尻は」
「ほぐすと気持ちいいよ」

 確かに、ユヅル君の大きな手に包まれてもまれると気持ちいい。お尻から太ももを解されて、また、じくじくがやって来た。

「あ、あの、なんか、また……」
「とっておきのツボを押してあげる」
「え……」

 言うと、ユヅル君はお尻の穴の少し下のあたりをこりこりと指の関節で刺激した。

「あ!」
「いいでしょ、ここ」

 素直に「いい」と言ってしまった僕は、1人赤面しつつも、その快楽にまた下半身を固くした。

「ん、ん、ん」
 
 足先がぴんとなって、悶えている僕に、ユヅル君は「可愛い」と言った。

「本当、俺が金払わないと……碧君、可愛すぎるよ」

 どきん、と心臓が跳ねた。これはユヅル君のお仕事だ。だから営業で言ってるんだ……。言い聞かせても、僕の口元は緩んでしまう。

「ちゃんとおかね……払います……」
「今回はね」

──……今回は?

「どういう……」
「まって、集中」
「あ! え……!」

 ユヅル君が、僕の腰を引いて、お尻を突き出すような恰好にさせた。こんなの、恥ずかしすぎる。

「ダメ、もう、もう、終わりで……」
「そんなこと言わないでよ。まだまだ気持ちいい所があるんだよ」
「まだ……あるの」
「そう、いっぱいある」

 ぬるりとローションがお尻の穴に掛けられた。とろとろ、太ももを伝い落ちていくくらいたっぷりと。
 そして、指が……コンドームを付けたユヅル君の指が、そこに入ってきた。

「あ、そんなところ」
「ここに、きもちいいところがあるからね」

 中を優しくなでられ、いじられ、足がぷるぷる震えだした。きもちいい。お尻、気持ちい。

「僕……こんなところ触られて気持ちよくなって……変態?」
「じゃあ世の中は変態だらけだ。安心して。みんな気持ちいい所だから」

 ユヅル君はぐ、と指を少し奥に押し込んできた。そして、とんとん、と柔らかく中のある一点を刺激した。
 僕はその気持ち良さにびっくりして……大きな声を出してしまった。

「んああ!」
「ここね、前立腺」
「ぜん、りつ……」
「声、いっぱい聞かせてね」

 ユヅル君はその「ぜんりつ……」なんだっけ……をとんとんして、同時に僕の袋を優しく揉んだり、竿に触れたり、さっきの「特別なツボ」に触ったりした。
 下半身がどろどろに溶けていくようで……僕は、僕は……。

「あんっあん! あ、あん!」

 恥ずかしい声を、たくさん上げて……。

「いきそ?」
「いく、いく……!」

 お尻を突き出した格好のまま、バスタオルにまた射精した。

+++

「お疲れさまでした。身体、拭いていくね」
「……」

 足の指の一本一本まで、丁寧にユヅル君は拭いてくれた。身体がぽかぽかして、頭にじんわり汗をかいている。

「嫌なことや苦手なことはなかった?」
「なかった……です、恥ずかしかったけど」

 しどろもどろで言うと、ユヅル君はニコっとして、それからじっと僕の顔を見詰めてきた。

「碧君」
「は、はい」
「ぎゅってしていい?」
「ぎゅ……?」
「ハグ。していい? こんなのメニューにないんだけど」

 どうぞ、と言えばユヅル君はまだ裸の僕をぎゅっとした。肌と肌が密着して、僕は気軽に「どうぞ」と言ったことを後悔した。
 こんなの好きになっちゃうよ。

「あ……あの」

 抱きしめられたまま、僕は尋ねた。

「また……ユヅル君を指名しても……いいですか? 今度はちゃんと、料金表通りのお金、払うから……」

 かなり勇気を出して言ったのだけど、ユヅル君の答えは「だめ」だった。

「星野ユヅルとしてはもう会わないよ」
「それって、どういう……」
「宝井遥翔」
「え」
「宝井遥翔としてなら、会うよ。ていうか、俺が頼みたい……俺と付き合って、碧君。それでもっとエッチなことさせて」
「ええ?」

 前からいいと思ってたって言っただろ、とユヅル君……宝井君は言った。

「だから、店抜きで会おう。ね」
「……」
「バイト変えるから。もう碧君以外触りたくないし」
「本当……に?」
「本当に!」

 僕は宝井君の胸筋に頬をつぶされて、呆気に取られていた。
 付き合ったことない歴21年が終わった。
 まさか初めて付き合う相手が男の人だなんて、思わなかったけど。

+++

「で、俺の家いつ来てくれるの。ファミレスデートも映画もいいけどさ」
「え……えと……」
「俺にエッチなことされるの怖い?」
「ううん……」

 怖いのは、僕。
 ハマってすごくエッチになっちゃうのが怖いだけ。

 小声でそう言ったら、遥翔君は人目もはばからず大笑いした。

「いいじゃん! 最高!」

 だってさ。
 
 今度の友達との食事会が心配だ。
 いらないことを言わないように、しなくっちゃ。
 
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みんなの感想(1件)

リリーブルー

ginaさんの新作だ〜!とワクワクして読みました!
導入から、お店に入って説明を受けてというところまでが、特にとても楽しかったです。
隠してるとか間違えてるとかが可愛くてどうなるのかなあ〜とドキドキ。ハッピーエンドでよかったです。

2024.07.13 gina

ただただえっちなお話が書きたくて書きました~(笑)楽しんでいただけて良かったです!お久しぶりです!

解除

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