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妻が居眠りをしておりまして①
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途端、勢いよく勃ち上がるそれを右手で握り、上下に扱く。
少し刺激を与えれば、ソレはさらに血流をみなぎらせて硬く力強くそそり立った。
「ふっ……ぁっ、は……く」
脳裏に思い描くのは、初夜に目にした妻の身体だ。シミ一つない美しい肌、柔らかそうな曲線を描く腰、そして豊かな胸の膨らみ。少し触れただけで彼女は敏感な反応を返し、あの夜エミリオは理性を焼ききりそうなほどの興奮を抑えるのにとてつもない努力を要した。
もしあのとき行為を中断せず、続行していたなら――という妄想は、ここ最近すっかりエミリオの中で定番化したおかずである。
今夜もまた少々の罪悪感を覚えつつ、清楚な妻を欲望のままに脳内で乱し、穢し、最後には――
「――くっ」
己の手の中に吐き出された白濁を見下ろすと、途端に虚しい気持ちが襲ってくる。それをため息に逃がしつつエミリオは手を拭った。
「……寝るか」
気づけば夜もだいぶ更けていて、宮の中は静まり返っている。
エミリオは立ち上がり、夫婦の寝室に足を向けた。眠るためではない。今夜も睡眠は仮眠室でとるつもりだった。ただ、もしセレナが起きていたら、夫婦として初めて参加した夜会の疲れをねぎらっておこうと思ったのだ。
しかし、エミリオが夫婦の寝室で見つけたのは、長椅子の上で寝入ってしまっている妻の姿だった。
見事だった夜会のドレスはすでに着替えられていて、今の彼女は普段から寝間着として使用している綿のワンピースを着用している。
眠る支度は整っているようなのに、寝台に入らず、長椅子にいたということは……
「私を待っていたのか……?」
独り言のような問いかけに答える声はもちろんない。
もしかしたら、彼女も自分と似たようなことを考えていたのかもしれない。そう思ったら、胸が温かくなるような心地がして、エミリオはふっと吐息だけで笑った。
「こんなところで眠っていては、風邪をひいてしまうだろう?」
起こすつもりはないのでそっと囁くだけにして、妻の背中と膝裏に腕を差し込み、その身体をそっと抱き上げる。
すると、「エミリオさま…」という寝言が耳に届いて、エミリオはセレナの顔に視線を向けた。
先ほどと変わらずその目蓋は閉じられているが、桃色の柔らかそうな唇がわずかに開いて、合間から赤い舌が覗いていた。
――触れたい。
強烈な渇望が突如湧き出て、エミリオは思わず唾液を飲み下した。
そこで、ようやくセレナの目がゆっくりと開く。
目覚めと同時に夫と至近距離で顔を合わせた彼女は当然のことながら目を丸くした。そして、なにを思ったか顎をわずかに上げ、ギュッと目蓋を閉じる。
「……どうかしたのか?」
エミリオが戸惑い気味に声をかけると、彼女はぱちりと目を開けて、次の瞬間真っ赤になり、両手で顔を覆ってしまう。くぐもった声が、その手の内側から漏れ聞こえた。
「……キス、されるのかと……」
勘違いが恥ずかしくてたまらないのか、顔どころか全身を熱くしているのが衣服越しに伝わってくる。
「キス、したい……?」
触れたいという衝動がよりいっそう強まって、エミリオは掠れた声で尋ねた。
結婚しているというのに、自分たちはキスのタイミングすら図りかねている。そのことを、もしもセレナも焦れったく思っているのだとしたら……エミリオは前のめりになってしまう気持ちを抑えられなかった。
問われたセレナはぱっと顔を上げて、すぐにまた俯いた。思いのほか間近で絡み合った視線に狼狽えているようだ。髪の間から覗く彼女の耳が赤く染まっていて、それに舌を這わせたい、などという不埒な欲望が頭をもたげてくる。
エミリオはもう一度、囁くように尋ねた。
「……キス、したいのか?」
すると、小さな頭がかすかに上下して、ゆっくりと再び上がり、真っ赤になった可愛い顔を見せてくれる。その愛らしく潤んだ瞳を目にして、エミリオは性急にかぶりつきたいような心持ちに駆られた。
「……目を閉じて」
少し刺激を与えれば、ソレはさらに血流をみなぎらせて硬く力強くそそり立った。
「ふっ……ぁっ、は……く」
脳裏に思い描くのは、初夜に目にした妻の身体だ。シミ一つない美しい肌、柔らかそうな曲線を描く腰、そして豊かな胸の膨らみ。少し触れただけで彼女は敏感な反応を返し、あの夜エミリオは理性を焼ききりそうなほどの興奮を抑えるのにとてつもない努力を要した。
もしあのとき行為を中断せず、続行していたなら――という妄想は、ここ最近すっかりエミリオの中で定番化したおかずである。
今夜もまた少々の罪悪感を覚えつつ、清楚な妻を欲望のままに脳内で乱し、穢し、最後には――
「――くっ」
己の手の中に吐き出された白濁を見下ろすと、途端に虚しい気持ちが襲ってくる。それをため息に逃がしつつエミリオは手を拭った。
「……寝るか」
気づけば夜もだいぶ更けていて、宮の中は静まり返っている。
エミリオは立ち上がり、夫婦の寝室に足を向けた。眠るためではない。今夜も睡眠は仮眠室でとるつもりだった。ただ、もしセレナが起きていたら、夫婦として初めて参加した夜会の疲れをねぎらっておこうと思ったのだ。
しかし、エミリオが夫婦の寝室で見つけたのは、長椅子の上で寝入ってしまっている妻の姿だった。
見事だった夜会のドレスはすでに着替えられていて、今の彼女は普段から寝間着として使用している綿のワンピースを着用している。
眠る支度は整っているようなのに、寝台に入らず、長椅子にいたということは……
「私を待っていたのか……?」
独り言のような問いかけに答える声はもちろんない。
もしかしたら、彼女も自分と似たようなことを考えていたのかもしれない。そう思ったら、胸が温かくなるような心地がして、エミリオはふっと吐息だけで笑った。
「こんなところで眠っていては、風邪をひいてしまうだろう?」
起こすつもりはないのでそっと囁くだけにして、妻の背中と膝裏に腕を差し込み、その身体をそっと抱き上げる。
すると、「エミリオさま…」という寝言が耳に届いて、エミリオはセレナの顔に視線を向けた。
先ほどと変わらずその目蓋は閉じられているが、桃色の柔らかそうな唇がわずかに開いて、合間から赤い舌が覗いていた。
――触れたい。
強烈な渇望が突如湧き出て、エミリオは思わず唾液を飲み下した。
そこで、ようやくセレナの目がゆっくりと開く。
目覚めと同時に夫と至近距離で顔を合わせた彼女は当然のことながら目を丸くした。そして、なにを思ったか顎をわずかに上げ、ギュッと目蓋を閉じる。
「……どうかしたのか?」
エミリオが戸惑い気味に声をかけると、彼女はぱちりと目を開けて、次の瞬間真っ赤になり、両手で顔を覆ってしまう。くぐもった声が、その手の内側から漏れ聞こえた。
「……キス、されるのかと……」
勘違いが恥ずかしくてたまらないのか、顔どころか全身を熱くしているのが衣服越しに伝わってくる。
「キス、したい……?」
触れたいという衝動がよりいっそう強まって、エミリオは掠れた声で尋ねた。
結婚しているというのに、自分たちはキスのタイミングすら図りかねている。そのことを、もしもセレナも焦れったく思っているのだとしたら……エミリオは前のめりになってしまう気持ちを抑えられなかった。
問われたセレナはぱっと顔を上げて、すぐにまた俯いた。思いのほか間近で絡み合った視線に狼狽えているようだ。髪の間から覗く彼女の耳が赤く染まっていて、それに舌を這わせたい、などという不埒な欲望が頭をもたげてくる。
エミリオはもう一度、囁くように尋ねた。
「……キス、したいのか?」
すると、小さな頭がかすかに上下して、ゆっくりと再び上がり、真っ赤になった可愛い顔を見せてくれる。その愛らしく潤んだ瞳を目にして、エミリオは性急にかぶりつきたいような心持ちに駆られた。
「……目を閉じて」
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