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告白
しおりを挟む帝国と第二王子の同盟…密約は滞りなく交わされた。私達は今後、帝国に協力するし、王国とは敵対する。
今王国に残っている私達の仲間…ダルボット公爵、ティーザー侯爵、アランダ達には第二王子の魔獣を使いにやり、その旨を知らせた。
彼らからは快諾の返事が来た。
現在、王国軍は混乱している。総司令だったグロイスター公の死、そしてその後を継いだ第一王子の経験不足による指揮系統の混濁。
第二王子の不在はまだ隠せているが、明るみになるのも時間の問題だ。
混乱は更に極まるだろう。
私は、村へ…ネストラ婆様へ手紙を送る。暫く帝国と手を組むこととなったが心配しなくて良いということ、村の皆には危害は与えられるようなことはないということ、皆を頼みます、と。
大きな溜め息が自分から落ちた。
王国を…国王陛下や貴族たちを許せないというドロドロとした黒い感情が私を支配しそうになる。けれど、今の私は、復讐だけに囚われて自分を見失うことの出来るほど、何も無い訳では無い。
沢山の出会いと、沢山の大切なものが出来た。
守るべきものはそれだけ多い。
「踊り子ぴょん。」
振り返るとそこにいたのは、マスターだった。ロア君もいた。
「色々さ、説明してくれるかな?嫌だったら良いんだけどさ。でも、これからちゃんと貴女のことを私は知りたいと思ってる…仲間として。勿論、ラフィちんの事もね。」
その言葉に、私は頷いた。
こんな所まで来てくれたマスターとロア君には感謝しかない。彼らは元々、戦になんて巻き込まれるべきではなかったというのに。それでも、私を信じて、私と親しい第二王子を信じて、国を裏切る選択をさせてしまった。
私は…二人と、ラダには全てを話すことを決めた。
「ラフィを、呼んできてください。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
第二王子も呼び、すっかり顔馴染みになった面々を見渡す。天幕の中で話すことになり部外者もいないので花しぐれもいた。
彼女は、皇帝にこっそり挨拶に行ったらしく清々しい顔をしている。
「良いんだな?」
全てを話すと言えば、第二王子にそう問いかけられた。この中で、私のことを一番知っているのは彼だ。今まで長い間、秘密を共有してきた彼だからこそ、このタイミングでというのは分かってくれるのだろう。私が頷くと、反対はされなかった。
大きく息を吸い込み…そして話し始める。
「私の名前はリル…ではありません。」
じっと私を見つめる瞳が、私の鼓動を早くした。ずっと、言わなかったこと、秘密にしていたことをこれから言うのだ。
緊張で震える。
「私の本当の名前はーーーーー。」
言いながら仮面を取った。
はっと、誰かが息を呑む音が、矢鱈と大きく響いた。
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