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「もしやそなた、耳だけでなく声にも弱いか」
これ以上、この達することができるほどではない快楽に絶え間なく晒されていたら、気が変になりそうだった。さらなる弱点を晒すわけにはいかないという防衛本能が芽生えて、答えまい、と口を強く結ぶ。
すると、王子は耳元で笑いを漏らして、「そうか」と言った。声に弱いことは簡単にばれてしまったらしい。
「では、俺の声が良いのか、それともどんな声でもいいのか、答えるまで耳をなぶってやろう」
「やぁぁ! あっ、やっ、むり、ああっ」
動かないよう私の腰を押さえながら、耳だけでなく、逃げようとした拍子に王子の身体からはみ出た胸の頂きも刺激してくる。
私の中は勝手に王子のものを何度も締め付け、もっと奥へと引き込むように動き、その動きのせいでさらに快感が溜まって、苦しくて、解放されたくて、私は呆気なく答えを与えてしまうことになった。
「王子の、声、んあっ、す、好き、です……」
「そうか。そなたは愛いの」
飛び切り愛おしそうな声音で、そんな言葉を耳に直接吹き込まれ、優しく耳殻を噛まれたら、もう駄目だった。
「も、もう、ああっ、動いて……、おねがい……っ!」
「いいだろう」
そう言うと、王子は私の腰を持って打ち付けるような動きをはじめた。
「ああああっ」
王子にきつくしがみついて、快感が爆発する衝撃に耐える。
「またイキ続けているのか? 好きなだけイッて構わんが、壊れるなよ」
「あっ、ああっ、あっ」
王子が何か言っているけれど、もうよくわからなかった。
気づくと王子に身体を拭われていた。王子はツヤツヤして元気そうだったけれど、少しだけご機嫌斜めのようだった。
「まったく。せっかく遠慮なく交わりを楽しめるようになったのだから、ゆっくり時間をかけて、と思っておったのに、そなたが急かすからすぐに終わってしまったではないか」
「え? すぐ……ではなかったですよね?」
声を発してみて、喉が枯れているのに気づく。そうだ、途中から気持ちよすぎてひどく乱れてしまった。
「あんなもの、すぐだすぐ。王家に伝わる性技に関する秘伝を読んだが、内容も最初の章かその次くらいのものだ」
性技に関する本って、それどこの『カーマ・スートラ』!? と思うが、口にはしない。
「それに、精を吐かずに数時間は楽しめなければハレムの主失格だと書いてあった」
「それ、フィクションじゃないですか!?」
そんなものにトライされたら身が持たない。変な理想は追い求めないでいただきたい。
そう思って、つい大きめの声を出してしまう。
それに対し、王子はそっと目を伏せた。
「まあ、俺は魔力のせいでそういうわけにもいかなかったからな。いかに早く終わらせるかばかり考えていた。そういう意味では今までで一番長かったか。……無理をさせたか?」
心なし心細そうにそんなことを言われれば、文句も萎んで消えてしまう。イケメンずるい。
「いえ。まあ、その……、大丈夫です。……気持ちよすぎただけですし」
もごもごと口の中で呟くと、それを聞き取って王子は頷いた。
「そうか」
すぐに弱々しい面影は消えて、不敵な笑みが口元に浮かぶ。ちょっと騙された気分だ。
思わず浮かんだであろう憮然とした表情を取り繕おうとしていたら、そっと抱き締められて、耳元で囁かれた。
「ありがとう」
たったそれだけで、私の心はまた強く揺さぶられてしまったのだった。
これ以上、この達することができるほどではない快楽に絶え間なく晒されていたら、気が変になりそうだった。さらなる弱点を晒すわけにはいかないという防衛本能が芽生えて、答えまい、と口を強く結ぶ。
すると、王子は耳元で笑いを漏らして、「そうか」と言った。声に弱いことは簡単にばれてしまったらしい。
「では、俺の声が良いのか、それともどんな声でもいいのか、答えるまで耳をなぶってやろう」
「やぁぁ! あっ、やっ、むり、ああっ」
動かないよう私の腰を押さえながら、耳だけでなく、逃げようとした拍子に王子の身体からはみ出た胸の頂きも刺激してくる。
私の中は勝手に王子のものを何度も締め付け、もっと奥へと引き込むように動き、その動きのせいでさらに快感が溜まって、苦しくて、解放されたくて、私は呆気なく答えを与えてしまうことになった。
「王子の、声、んあっ、す、好き、です……」
「そうか。そなたは愛いの」
飛び切り愛おしそうな声音で、そんな言葉を耳に直接吹き込まれ、優しく耳殻を噛まれたら、もう駄目だった。
「も、もう、ああっ、動いて……、おねがい……っ!」
「いいだろう」
そう言うと、王子は私の腰を持って打ち付けるような動きをはじめた。
「ああああっ」
王子にきつくしがみついて、快感が爆発する衝撃に耐える。
「またイキ続けているのか? 好きなだけイッて構わんが、壊れるなよ」
「あっ、ああっ、あっ」
王子が何か言っているけれど、もうよくわからなかった。
気づくと王子に身体を拭われていた。王子はツヤツヤして元気そうだったけれど、少しだけご機嫌斜めのようだった。
「まったく。せっかく遠慮なく交わりを楽しめるようになったのだから、ゆっくり時間をかけて、と思っておったのに、そなたが急かすからすぐに終わってしまったではないか」
「え? すぐ……ではなかったですよね?」
声を発してみて、喉が枯れているのに気づく。そうだ、途中から気持ちよすぎてひどく乱れてしまった。
「あんなもの、すぐだすぐ。王家に伝わる性技に関する秘伝を読んだが、内容も最初の章かその次くらいのものだ」
性技に関する本って、それどこの『カーマ・スートラ』!? と思うが、口にはしない。
「それに、精を吐かずに数時間は楽しめなければハレムの主失格だと書いてあった」
「それ、フィクションじゃないですか!?」
そんなものにトライされたら身が持たない。変な理想は追い求めないでいただきたい。
そう思って、つい大きめの声を出してしまう。
それに対し、王子はそっと目を伏せた。
「まあ、俺は魔力のせいでそういうわけにもいかなかったからな。いかに早く終わらせるかばかり考えていた。そういう意味では今までで一番長かったか。……無理をさせたか?」
心なし心細そうにそんなことを言われれば、文句も萎んで消えてしまう。イケメンずるい。
「いえ。まあ、その……、大丈夫です。……気持ちよすぎただけですし」
もごもごと口の中で呟くと、それを聞き取って王子は頷いた。
「そうか」
すぐに弱々しい面影は消えて、不敵な笑みが口元に浮かぶ。ちょっと騙された気分だ。
思わず浮かんだであろう憮然とした表情を取り繕おうとしていたら、そっと抱き締められて、耳元で囁かれた。
「ありがとう」
たったそれだけで、私の心はまた強く揺さぶられてしまったのだった。
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