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第二十九章
潮風の帰り道
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三日目の朝。
宿の一室には、静かな時間が流れていた。
案の定、霧弥と龍臣はまだ布団の中だった。昨夜の酒が残っているのか、二人とも頭が重そうで、身じろぎする気配すらない。
先に起きていた龍二は、窓から差し込む朝の光を浴びながら、簡単に朝食を済ませていた。カップを置き、小さく息をつく。
「……そろそろ動けそう?」
その声に、布団の中から霧弥がうめくように返事をする。
「……う、んん……」
龍臣もまた、布団の上で頭を押さえながら、ぼんやりと天井を見つめていた。
やがて二人がようやく起き上がると、部屋では荷造りが始まった。
服を畳む音、土産物を箱に戻す音、キャリーケースのファスナーが閉まる音。静かな部屋に、それだけが淡々と響く。
龍二はその様子を横目で見ながら、自分の準備を進めていった。
すべてをまとめ終え、三人は宿を後にする。
「今日は俺が運転するから、二人は後ろに座ってて」
龍二が運転席に乗り込むと、霧弥と龍臣は言われた通り後部座席へ座った。
車は海沿いの道を走り出す。
窓から入り込む潮風が、重かった頭を少しずつ軽くしていった。二日酔いの不快感も、走るうちに和らいでいく。
道中、会話は多くなかった。
けれど、その沈黙は気まずいものではなく、ただ穏やかな時間として流れていた。
昼前、三人は評判の店に到着する。
店へ向かって歩きながら、霧弥と龍臣はまだ少し重い頭を抱えつつも、周囲の景色を楽しんでいた。
「……この店、やっぱりいいな」
「うむ。来てよかった」
昼食は評判通りだった。一口ごとに自然と表情が緩む。
運転の緊張から解放された龍二も、久しぶりに肩の力を抜いて、その時間を味わっていた。
1
食事を終え、少しだけ海を眺めたあと、龍二は車を龍臣の家へと向ける。
到着すると、霧弥はそっと封筒を取り出し、龍臣に差し出した。中には、一枚の写真が入っている。
「これは……?」
「この前のコスプレ大会のときのやつ」
龍臣は一瞬驚いた表情を見せ、それから小さく笑った。
封筒を大切そうに受け取り、軽くうなずく。
旅の終わりは、派手な別れではなく、そんな静かなやり取りで締めくくられていた。
宿の一室には、静かな時間が流れていた。
案の定、霧弥と龍臣はまだ布団の中だった。昨夜の酒が残っているのか、二人とも頭が重そうで、身じろぎする気配すらない。
先に起きていた龍二は、窓から差し込む朝の光を浴びながら、簡単に朝食を済ませていた。カップを置き、小さく息をつく。
「……そろそろ動けそう?」
その声に、布団の中から霧弥がうめくように返事をする。
「……う、んん……」
龍臣もまた、布団の上で頭を押さえながら、ぼんやりと天井を見つめていた。
やがて二人がようやく起き上がると、部屋では荷造りが始まった。
服を畳む音、土産物を箱に戻す音、キャリーケースのファスナーが閉まる音。静かな部屋に、それだけが淡々と響く。
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「今日は俺が運転するから、二人は後ろに座ってて」
龍二が運転席に乗り込むと、霧弥と龍臣は言われた通り後部座席へ座った。
車は海沿いの道を走り出す。
窓から入り込む潮風が、重かった頭を少しずつ軽くしていった。二日酔いの不快感も、走るうちに和らいでいく。
道中、会話は多くなかった。
けれど、その沈黙は気まずいものではなく、ただ穏やかな時間として流れていた。
昼前、三人は評判の店に到着する。
店へ向かって歩きながら、霧弥と龍臣はまだ少し重い頭を抱えつつも、周囲の景色を楽しんでいた。
「……この店、やっぱりいいな」
「うむ。来てよかった」
昼食は評判通りだった。一口ごとに自然と表情が緩む。
運転の緊張から解放された龍二も、久しぶりに肩の力を抜いて、その時間を味わっていた。
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食事を終え、少しだけ海を眺めたあと、龍二は車を龍臣の家へと向ける。
到着すると、霧弥はそっと封筒を取り出し、龍臣に差し出した。中には、一枚の写真が入っている。
「これは……?」
「この前のコスプレ大会のときのやつ」
龍臣は一瞬驚いた表情を見せ、それから小さく笑った。
封筒を大切そうに受け取り、軽くうなずく。
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