校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?

明石龍之介

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第5話 好きだったらいいの?

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「非常事態じゃ、快斗くん。」

いつものように校長室の奥に座る武帝が部屋に入ってすぐの俺にそう言った。

「非常事態…?なんかあったんですか?」

「うむ、体育祭が明日に決まったのじゃ」

体育祭

高校生にとっては年間行事の中でも一大イベントの一つだ。
普通の高校なら男女でソフトボールやバスケに興じ友情や恋を深めていくイベントなのだが…

「うちの学校の体育祭については言うまでもないな。」
鋭い目つきで校長がそう話すのにはわけがある。

そう、この学校の体育祭は通称ヤリモク祭と呼ばれ、学校の至る所で情事が重ねられている。

特に保健室や各更衣室は完全先着順でどちらかと言えばその場所取りのために命をかける連中がほとんどなのだ…

更に言えばこの行事、日程が決まっていないのだ。
誰が決めているのかもわからないまま、ゲリラ的に開催される。
去年なんて登校した途端にグローブとバットを持たされた。
その間に皆は別のスポーツに励んでいたが…

「あのですね、健全な行事なんですから校長がみんなの前でビシッと言ったらいいでしょうが!」

「それがの、ほれここを見てみるがいい。」

そう言って校長が体育祭規約なるものを出してきて、俺の前に広げた。

『青春の汗、それは健康な男女の交わりにて流すべし』

「だから学校が背中押してどうすんですか!」
「規約は生徒会が決めてるんじゃもん!私に言うな!」

それを承認しなければいいのでは…
ていうかこの学校生徒会なんてあったのか?
俺生徒会長誰か知らないよ…

「とにかく、明日ここは戦場になる。決してカレンから目を離すでないぞ!」

「はいはい、わかりましたよ…」

俺が承諾すると、体育祭のパンフレットなるものを俺に見せてきた。

キャッチフレーズは
『お前の全てを注ぎ込め!』

もう下ネタですよねこれ…

「というか、去年も思ったんですけどブルマって今時いいんですか?」

パンフレットのブルマ姿の女子生徒を見てふと思った。
これが体育祭を無茶苦茶にしてる温床なのでは…

俺がそう言うと校長が怒り出した。

「な!?貴様それでもこの学校の生徒か!?高校生はブルマと相場が決まっておろうが!」

この校長の代表作のひとつ『ブルマ彼女と童貞な僕』はアニメ化もされた超名作ラブコメだ。
この校長がそこに拘るのは必然か…

「それじゃカレンにもこの格好させるんですか?」

「うむむ…本当はさせたくないがの、それだけは規律が乱れるからできん!」

いや、規律乱してんのどっちだよ!
でもカレンの体操服かぁ…

妄想すると少し下半身が元気になってしまった。

「とにかく、頼んだぞ。」

校長から改めてお願いされて我に返った。
全校朝礼が終わったあと、カオスになる学校でカレンを守りきれるのか?
考えると途端に自信を無くしてしまった。
去年なんて多分運動場にいたの俺一人だった気がする…

気が付くと校長室で一時間以上雑談していた。
しまった!カレンは?無事帰ったのだろうか…。

「こ、これで失礼します。」

校長室を飛び出すと、なんと目の前にカレンが立っていた。

「お、お前いたのか…」
「うん、快斗にしかついていくなって言われたから。」

そこは覚えてたんだ。ていうかいつからいたんだろう…
二人で学校を出て帰るころには少し辺りが暗くなっていた。

「無事でよかったよ。そういえば校長に会わなくてよかったのか?」
「うん、パパは昨日も部屋に来てたから。」

…!?

「あ、あいつ隣の部屋から盗み聞きしてただけなのか!くそおやじめ…」

昨日カレンが部屋に来たのもこいつが原因なのでは?
それに俺とカレンがイチャイチャしてる間もずっと隣にいたのかと思うと急に恥ずかしくなった…

「いつ?どっからきたの?」
「夜。窓から入ってきた。」

ちゃっかり自分はセンサーにかからないようにしてるのか…

寮について夕飯の支度を始めるカレンに、明日の体育祭のことについて話をした。

「…というわけでヤバい行事だから、明日はずっと俺と一緒にいるんだぞ!それにブルマなんて恰好は男の性欲を増幅させる悪魔のユニフォームだからな、気を付けるんだぞ!」

「明日は体育祭…ずっと快斗と一緒。ブルマ…わかった!」

ほんとにわかってるのかと言うツッコミはもうしない。
多分、いや絶対何か勘違いしてると思う…。

夕食はカレンお手製のハンバーグだった。

「これ美味すぎるだろ!?ソースとかどうやってんのこれ?」
「うちの秘伝なの。ママが教えてくれた。」

こんなうまいものを作れる人に悪い人がいるはずがない。
しかし俺のイメージの中のカレンママはただのくそビッチだった…

「そ、そうか。お母さんってどんな人なんだ?外国の人なんだろ?」

「うん、フランス人。でもビッチなの」
「だからそれ聞きたくないって!」

娘公認のビッチってなんだよ…
はぁ…もし会うことがあったら俺はなんて顔すればいいんだ…

「ご馳走様、今日もおいしかったよ。」

俺が洗い物をしていると、廊下の奥に干してある洗濯物をカレンが取りに行っていた。

洗濯機は一台だが、もちろん別で回すしカレンの分は見えないように家の裏に干してある。もちろん俺の指示だ。
そうでもしないと道路にパンツ晒すようなマネをしかねないからな…

「ねえ快斗」

「なんだよ」

俺が振り向くとそこには金髪美少女がブルマという男の夢の詰まった恰好で立っていた。

「な、なにしてんだよ!?それ着るのは明日だって!」

「快斗、セックスしたくなった?」

「なるなる、なっちゃうから早く着替えてきて!」

こんな狭いところにあんな目の毒みたいな恰好の美女と二人きりなんて、俺の理性がもたない。俺は思わず目を逸らした。

「じゃあすればいいのに。」

「だからそんなに簡単にしたらダメなの!」

カレンが黙ったので目を向けると、少し落ち込んでいるように見えた。

「カレン?」

「私可愛くない?」

瞳をウルウルさせながら人ひとりの理性を吹き飛ばしてもお釣りがきそうな恰好でおれに迫ってくる。

「いやいや可愛い、ていうかカレンは可愛すぎるくらい可愛いよ!でもダメなもんはダメ!好きな人としかそういうことはしたらダメなの!」

「好きな人としか、ダメなの?」

首をかしげるカレンにはそういった情報が入っていなかったようだ。
よし、洗脳するチャンスだ。

「いいか、セックスってのはな、好きな人としかしちゃいけないんだ。だから好きでもない男を誘うのもダメ!好きじゃない男の誘いも受けちゃダメ!わかった?」

「好きだったらいいの?」
「んー、まぁ好きだったら仕方ない」

「わかった。」

ほんとかなと少し不安だったが全然わかっていなかった。

「じゃあパパとすればいいのね。」
「それだけはやめてください!!」

好きの意味が違うんだよなぁ…
でもあんな親父でも好きなんだなと少しだけ意外だった。

「あのね、好きっていうのはな…」
「あ、でもそれなら快斗も好きよ」

…ん?

俺今とんでもないことを言われたような…

「いやいや、あのね、その…」

「パパもママも好き。だからみんなでする。」
「そんな親子丼の4Pが初めてとか絶対にやだね!!」

なんだ、びっくりさせるなよ。
でも、それなら俺のことも家族と同じくらいに見てくれてるってことか。

少しは信用してもらえてるんだな…
そう思うとちょっと嬉しくなった。

「まぁとにかく、今はしたくてもできない事情があるの!だから着替えてこい。」

そう言うとカレンはつまらなさそうな顔をして、無言でテクテクと部屋に帰っていった。

しかしあの恰好は殺人的なエロさだな…
今日見ておいてよかったかもしれない。
明日初めて見ることになれば俺は多分冷静でいられなかっただろう…

今日の夜は夜這い班は来なかった。
それになぜか二人で寝ることが常態化してしまい、俺のベッドで二人一緒に寝たので忍び込まれる心配も幾分か和らいだ。
心配なのはむしろ俺の理性だよ…

そして夜が明け、恐怖の体育祭当日を迎えた。








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