校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?

明石龍之介

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第49話 教頭先生

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激闘の夏休みは終わった。

宿題は終わっていない…

ん?野球部との対決はどうなったかって?
それについてはあまりにもあっさりと決着がついたので少しだけ振り返るとしよう。


野球部の4番サード 沖本要《おきもとかなめ》は両目視力2.5あるのだが、なぜか打席では目を閉じて心眼で打球をとらえる。

甲子園では実に九割もの打率を残し、世間が心眼ブームに沸いているとかなんとか…

しかしそんな彼にも弱点はあった。

俺の球が遅すぎて音も気配も察知できなかったらしく見事に三振を喫した…

それがあまりにショックだったようで修行に出ると言ってどこかに消えていった…

そんな勝負だった…


二学期初日、いつものようにカレンと登校していると純也が話しかけてきた。

「お、夏休みは散々イチャイチャしたのか?」

「ああ、まぁ色々あったよ…なぁカレン」

「純也くん、おはようございます。快斗のご両親は良い人でしたよ。」

ん?こいつこんなに喋ってたっけ…

「もう挨拶までしたのか!?こりゃめでたいなー。昼休みパンでもおごってやるよ」

「ああ、ありがとう…」

なんかカレンの様子が最近変だ。
妙に大人っぽくなったというか…うちの実家に帰ったあたりでおかしくなったか?

「カレン、新学期はみんな血気盛んだから気をつけろよ。」

「うん、ありがと…」

な、なんだ今の照れは…
ヘンテコ美少女がただの可愛い子になっている…

俺は教室でもずっとカレンのことを考えていた。

「なぁ、新学期だっていうのになんか静かじゃないか?去年とかなら朝礼前からみんな大騒ぎしてたぞ?」

「それがだな快斗、教頭先生が今日から復職するらしいんだ。俺もまだみたことないけど相当やり手だって噂でな、校長も全権委譲してもいいとか言ってるらしいぞ。」

「教頭か…なんか嫌な予感しかしないけどな…」

全校朝礼でグランドに集められた後、校長のくだらない話を聞かされてすんなりと終わるのかと思ったその時だった。

「えー、では今学期より復職します、この学校の教頭も務めるアラン先生に挨拶をいただきます。」

アラン?外国の人か。
壇上に登ったその人は、俺たちの少し上くらいにしか見えないほど若い…
しかも超絶イケメンだ…

え、教頭先生だよね!?

「皆さん、僕はこの学校長の義弟でありますアランです。皆さまがこの学校らしい楽しく愉快な日々を送れるようサポートしていきますので、どうかよろしくお願いいたします。」

もう女子生徒がキャーキャー騒いでいる。
そしておそらく、いやほぼ確実にあの教頭はヤリチンである。

何故なら…メラニーさんの弟だからだ!

いや死ぬほどイケメンだな!薬師寺さんとか目じゃないわ!
それに20歳そこそこで教頭とかなっていいの?
一族経営だから社長の子供は入社した瞬間部長とかそんな奴??

なんか不安しかないんだが…

朝礼後すぐに俺は校長室に呼ばれた。
なんかちょっと久しぶりだから緊張するな…


「失礼します。」

「おお、快斗君だね。初めまして。」

なぜか校長の他に教頭のアランさんがいた…

「は、はじめまして。あの…今日は?」

「ほほ、今日はアランがどうしてもカレンの彼氏である君に会いたい言い出してじゃな」

…何の用だ?

「君の噂は聞いてるよ。この学園でカレンのことを半年近くも守り抜いている逸材なんだってね。そこでだ、君に預けたい人がいるんだけど…聞いてくれるかい?」

「預けたい人…?」

「ああ、僕の妹のサリーについてなんだけどね。姉のメラニーは知っているだろう?校長の前で言うのもなんだけどあんな人にならないようにきちんと良い人を見つけてほしいんだ。ここまではいいかい?」

「うーん、全然よくないですね!妹?まだ妹まで出てくるの!?それにサリーさん?がどんな人なのかも知らないからまだすごくふわふわしてますけど!?」

「単刀直入にいえばサリーに男を紹介してくれないか?」

「男…ですか?」

「ああ、サリーが夢中になるようなそんな男の子を紹介してやってくれ」

「はぁ…」

「事情はそのうち話すよ。とにかく頼んだよ?」

「まぁ…わかりました…」

「さすがだね。サリーは君の一つ年上でね、明日からこの学校に編入する。いい男を頼むよ!」

ん?編入ないっていってなかったかこの学校?
やっぱりやりたい放題だなこいつら…
それに男の紹介なら俺じゃないやつに頼むべきだと思うんだけど…

「そういえばアランさんは今までどこにいたんですか?」

「ああ、全国を飛び回っていたのさ」

「はぁ…先生なのにそんな全国飛び回ることって…」

「簡単にいえば…そうだな、火消しだ!」

「あんたのおかげでこの学校が守られてたんですね…」

一体なんの案件をどう火消ししてたのかは気になるところだけど…

「ほほ、アランは優秀じゃからの。あと快斗くんよ、サリーの件もじゃが二年生は修学旅行があるのじゃが、どうするつもりじゃ?」

修学旅行

学校行事の中でも3年間に一度だけ訪れるスーパーイベントだ。
この学校では沖縄と北海道以外にも、勉学や部活動で成績が優秀な人はハワイに行けるということなのだが俺はまだ希望地を出してはいなかった…

「え、普通に行こうと思うんですけど…」

「うむ、その間カレンは一人になるがそれでも良いのか?」

「あ…」

「今は童貞を拗らせたキチガイ野郎のチェリーがカレンと付き合って離さないという一種の恐怖から少し鎮静化を図れておるが、お主がいなくなればファンクラブも黙ってはおらぬぞ?」

「いや待て、なんか知らんうちに俺が錯乱したやばい奴みたいになってないか!?なんでそんな噂流すんだよ!!」

俺に近づいてくるのが最近変な先輩方しかいないと思ったら…そういうことか?

「じゃあ辞退しろってことですか?」

「ううむ、しかしそれは申し訳ないからのう…間をとってカレンと二人で修学旅行に参加というのはどうじゃ?」

「なにとなにの間をとったんだよ!?それに一年生が参加するのは無理あるでしょ!?」

「ほほ、それがの。各学年の成績トップのものは特別に参加を許しておる。今回カレンは学年トップじゃから問題はない。」

「いやその制度ありなようでなしだよ!なんで一人だけなの!?気まずいわ!先輩や後輩達に囲まれていく修学旅行って楽しいか?」

なんか知らんけど俺の修学旅行はカレンと同伴することになった…

いやでもそれはそれで気まずいな…
一人だけ下級生の彼女を連れて行くなんて周りはなんて思うんだ?

二学期早々に変な課題が増えた…

アランさんはまともそうだけど、果たして本当にそうなのかも気になるところだし…

放課後にカレンを迎えに行って二人でラーメンを食べていると、アランさんが入ってきた。

「やぁ、さっきは。あとカレン、久しぶりだね。」

「あ、おじさん。お久しぶりです。」

え、アランさんは仇名じゃないの?それに何このよくしつけられた子は?
やっぱカレン最近変だな…

「はは、カレンも大人になったね。快斗くんのおかげだ。」

「は、はぁ…」

そこに女子生徒がアランさん目当てで押し寄せてきた。
しかし女子たちに、店の迷惑にならぬよう指導していた。
そして俺たちの分も含めて生徒の分を全て奢ってくれた…

あれ、あれれ?この人完璧すぎないか?
い、いやこんなはずは…

「明日の朝サリーを連れて挨拶に行くからよろしく頼むよ。」

颯爽と帰って行く爽やかイケメンがそこにはいた…
う、嘘だ…ついにまともな人間がこの学校に…

俺はお化けでもみたかのようなテンションで寮に帰った。

「カレン、アランさんはずっとあんな人なの?」

「んー、つまんない人」

「いやまぁそうですよね…まともな人きたらそうなるよね…」

あれ、そういえばカレンはいつもの感じに戻ったな?

「カレン、学校で背伸びしてないか?」

「してない」

「なんかムキになってるぞ…大人っぽさに目覚めたとか?」

「目覚めてないもん」

そう言っているカレンの膝に何か本があるのを発見した。

そ、それは…

校長の作品の中で最近特に世間の反響が大きかった去年の新作『大人の階段登って降りて』がそこにはあった…

ふざけたタイトルに見えるのだが、JKヒロインが恋をしたおじさんに振り向いてもらおうと、背伸びをしたり子供っぽいところでアピールしたりと奮闘する様が可愛いと話題になり、本屋大賞を受賞したのだ。

「なるほど、その本の影響だな?」

「バレた…でも、ちゃんと大人できてた?」

「びっくりするくらいできてたよ。いい子だなカレンは。」

「えへへ、明日はサリーもくるから楽しみ!」

「サリーさんとは仲良いんだ?ちなみに…どんな子?」

「んー、ママそっくりでエロが好き?」

「え、大問題なんですけど!?」


しかも若い…だと?

いやまず俺がピンチな予感しかしない…


翌日の朝にアランさんが来た。
隣には、たしかにJK版メラニーがいた…

「朝からごめんよー、妹のサリーだ。学校ではよろしく頼むよ。」

「サリーです。よろしくね。」

もう可愛かった…
いやまじでこの一族どうなってんだ…

「あ、サリーだ」

「カレン!今日からしばらく同じ学校だからよろしくね!」

奥から出てきたカレンと親しげに話しているところを見ると姉妹のようで微笑ましかった。

「サリーはこの近くに住んでる。今日から早速一緒に登校してあげてくれ。じゃサリー、いってくるよ」

「ええ、お兄様!はい、チュッ」

…!?

なにが起きた?
いや海外の人はそういう文化があるのかもしれないが、兄妹でキスしたぞ?
しかもマウストゥーマウスで…

「はは、早くお兄ちゃんから卒業しないといけないんだぞ、サリー。でももっかいだけ、チュッ」

……

「あ、あのー…お二人は仲良いんですね…」

「仲が良い?いや兄妹でなければサリーは僕のお嫁さんのはずなんだ。でも兄妹ではキスくらいしかできないだろ?だからせめてサリーが姉さんみたいな修羅の道に堕ちてしまう前にいい人に貰われて欲しいってだけだよ。苦渋の決断だが、大人だからね。」

「まぁお兄様ったら…私はお兄様が抱いてくださるのならそれでもいいのに…」

「こらこら、いつまでもそんなこと言ってたらダメだぞ。帰ったらいい子いい子してあげるから」

「お兄様…大好き!」


「大好き!じゃねえよ!…嘘だろ!?まさかここに来てブラコンシスコン出てきた!?いやしかもスーパー美男美女だな!?いやでも…ああ、なんかもう頭が混乱してきた…」

朝から変なものを見せつけられて吐きそうだった…


とりあえずサリーさんと三人で登校していると、やはり生徒の魔の手が忍び寄る。

「君転校生?可愛いなぁ!俺とどう?」

「はぁ?ゴミみたいな顔ね、お兄様と同じ生き物とは思えないわ。死んで!いや死ね!」

男は泣きながら去っていった…

え、性格わるっ!?

「快斗くん、是非いい人を紹介してね。お兄様以上のいい人を、ね!」

いやこれ一番無理じゃね!?

「カレン、サリーさんのタイプってどんな人とか知らない?」

「サリーのタイプはアランおじさん」

「ですよね!無理だよこれ!」


しかし一応依頼されたことはなんとかしたいと思うのが俺だ…

学校中のイケメンをなんとかかき集めてサリーさんにぶつけてみようと試みるのだが…

次回 サリーの運命の人は見つかるのか!?

そして修学旅行のはずなのになぜかあのメンバーまで…

ちなみにアンの撮影は無事終わったそうです。


















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