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第56話 フッ
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秋の学校はすっかりもとの様相を取り戻していた。
不健全な生徒たちがそこら中でイチャイチャしていてろくに授業も出ていない。
というかしばらく授業がない…
なぜかと言えばアラン陣営についた先生を、校長が勢いで全員クビにしたもんだからほとんど先生がいないのだ…
この学校にきて俺が学んだことと言えば、持つべきものはアンであるということ。
この学校生活で俺が唯一関心したことといえば、アンの忠誠心くらいなものだ。
でもこの学校にきて俺はよかったと思う。
なぜなら可愛い彼女ができたからだ。
などと少し悦に浸っていたが、そうでもしていないと今の学校の乱れ具合に頭がどうにかなりそうなのだ…
教室でも先生がいないのをいいことに、みんなしてやりたい放題だ。
この学校においてのやりたい放題とは、つまりそう…言葉のままであるとだけ伝えておこう…
「あー、もう無茶苦茶だな!なんでそこら辺でみんな盛ってんだよ!」
俺は突然キレた。
そしてカレンを連れて早退した。
「本当に校長を勝たせてよかったのかって毎回思うよ…」
「快斗、バリカタ」
「あんな学校にいたらそうなるよ!」
しかししばらく学校が機能しないのならそれはそれでいいことかもしれない。
寮でカレンとゆっくりできる。
「せっかくだしまたボーリングでもいく?」
「いくー!わーいボーリングー!」
結局カレンとボーリングしたのってテニス部との意味不明な対決の時だけだもんな。
子供みたいにはしゃぐカレンは可愛いし、気晴らしもほしかったのでボーリングにいくことにした。
「そういえば、アランさんたちと一緒に高村さんも飛ばされたみたいだけどいいの?カレンの召使いだったんだろ?」
「うーん、新しい人雇う」
「結構サバサバしてんのね…」
「じいもそのうち戻ると思う」
「校長が許すってこと?」
「うん、パパ優しいから」
「ほんとかな…」
ボーリング場は静かだった。
平日の昼間なのだから当然ではあるが…
「学校サボってボーリングなんて、なんか不良みたいだな俺たち…」
「快斗不良?なめ猫みたいなの?」
「例え古いな!今の人絶対知らないぞ!?」
いつも思んだけど特攻服ってどこで買うんだろう…
レーンはガラガラだったが、一つの場所に少し人だかりができていた。
「快斗、あれなに?」
「もしかしたらプロが練習してるとか?行ってみよう。」
そして人混みの間から、注目を集める先を見たら…アンが投げていた…
「おい、お前ボーリングもやるのか?」
「あと二回でパーフェクト」
「まじで!?」
スコアを見るとあとストライク二回でパーフェクトだった。
「頑張れアン!」
「お前ならいけるぞ!」
なんかつい最近罵倒されまくるアンを見たから、このボーリング場の声援がとても暖かく感じた。
そしてアンも期待に応えてあと一投までのところにきた。
「快斗、パーフェクトって?」
「しっ、今いいところだから…」
全員が固唾を飲んだ…
「フン」
あ、これはいっただろ!
誰もがそう思った。
しかし一本残った…
アンは膝から崩れ落ちた…
「ああ…残念だなぁ、でもアンらしいけど…」
「もやし、へたくそ」
「いや死ぬほどうまいぞ!?」
ギャラリーからまた酷い言葉を浴びせられるのかと思ったら、何故か今日はみんな優しかった。
「いいもの見せてもらったぞ!」
「アン、次は頑張れよ!」
ボーリング場はアンを祝福した。
アンは蘇った。
「なんか報われたなあいつ…」
アンはなぜか胴上げされていた。
今まで見た中で一番幸せそうな顔をしていた。
プロボーラーアン誕生の瞬間に俺たちは立ち会った…
「快斗、早く投げよ」
「あ、ああ…忘れてた。」
しかしほんとなんでも出来るやつだなと思いながら俺はカレンとボーリングを始めた。
ストライクやスペアが出るたびにカレンとハイタッチをして喜んだ。
楽しい、ほんと楽しい平穏な時間だ。
そして1ゲームが終わったところでジュースを買いに行くとアンもジュースを買っていた。
「さっきすごかったなー、やっぱお前すごいな」
「スコアいくつ?」
「え、おれ?さっきは165だったけど」
「フッ」
「あ、バカにしただろ!?」
すぐ調子に乗るやつだな…
「教えてやろうか」
「え、お前が?いやそんな本格的にやらないし…」
「遊びでボーリングするな」
「いやだいたいのやつが遊びでしかボーリングしないんだよ!」
調子にさえ乗らなければなぁ…
「じゃ打ち上げあるから」
「あ、そう…ってなんのだよ!?」
アンは得意げに去っていった。
いい加減一つのことに専念した方がいいんじゃないかあいつ?
「カレン、ジュース買ってきたぞ」
「快斗、ハロウィンの人いる」
カレンが指差した先には、ゾンビメイクをしたりカボチャをかぶった大学生がその姿でボーリングをしていた。
「ああ、もうそんな時期だもんな。」
「やりたい!」
「言うとおもった…」
カレンがわがままを言うものだから、ドンキに行ってコスプレグッズを探した。
「快斗、これとこれ!」
「どれどれ?…これはちょっとダメ…」
もういかがわしいお店でしか着ている人がいないような、バニーガールと魔女のコスプレだった。
バニーガールはいうまでもなく、魔女コスプレは胸元はあいてるしスカートは超がつくくらい短いし、宣材写真がすでにパンツ見えちゃってるし…
「えー、これがいい!」
「いやそれ普通は男が彼女にねだるもんだろ!?」
押し切られてそのコスプレ二着を購入した。
レジのおばちゃんにニヤニヤされて死ぬほど恥ずかしかった…
「わーい、帰ったらこれ着るー」
「俺大丈夫かな…」
寮に戻ると、すぐにカレンは部屋にこもった。
そして程なくして出てきたカレンのバニーガールに俺は鼻血が出そうだった。
「快斗、見て見て!」
「あ、あんまりよるな!目のやり場に困るんだよ!」
俺は心に誓ったことがある。
解禁されたらまずこれを着てカレンとエッチしたい!
それくらい似合っていた…
そして魔女のコスプレに着替えたカレンなのだが、写真よりも実際の方がえぐい衣装だった。
「快斗、魔女だよー」
「まて、パンツ丸見えじゃないか!隠せ隠せ!」
もはやスカートなどは存在しないに等しい短さだった…
しかも胸元が破れてんのかというくらい空いていて、そういうことをする前提で作られたものとしか思えないガバガバさだった…
俺はまたしても誓ったことがある。
解禁されたらあの衣装をビリビリにしてやりたい!
もう頭の中がエロエロになってしまった…
もういやらしい妄想に頭を侵食されそうだったが、カレンが家着に着替えてきて少しだけ冷静になった。
もちろん普段のカレンも可愛いのだが、多分コスプレの時に髪の毛をあげたり、ポニーテールにするのが俺のツボなのだろう…
普段からその髪型で攻められたらひとたまりもない…
「快斗、なんか新しい出前探す!」
「ああ、ビラがたまってるな…」
色々探していると、なにを思ってか結婚式場から無料体験フェアの広告が入っていた。
「快斗、ドレス着たい!」
「はぁ?無理無理…18歳以上とか書いてるし」
「いく!」
「無駄だと思うけどな…」
夕方だったがまだ時間は間に合うとのことで結婚式場に急遽向かうことにした。
「はぁー、こんな感じかぁ…」
「快斗、ドレスある!」
展示用のドレスを見てカレンが目をキラキラさせている。
一応こういうのにも興味あったんだ…意外だな。
係の人が近づいてきた。
カレンが何か話している。
そして奥に案内されている!?
「待て待て、俺たち高校生だぞ!?」
「パパのお店だからいいの」
そうだ、ここはチャペル落葉。もちろん校長の経営している式場だ。
リピーター率52%という驚異の人気と破局率を誇り、逆にこの式場で結婚式を挙げたのに離婚しない夫婦は本当の愛を持っていると讃えられるとかなんとか…
いやリピーターいたらダメだろ!
こんな縁起の悪い場所ではあるが、カレンはドレスの試着のため奥に行ってしまった。
はぁ…なんか待ってるの恥ずかしいなあ。
「可愛い彼女様ですね、きっとドレスがお似合いになりますよ。」
別の係の女の人が気を遣って話しかけてくれた。
そして少し雑談をしていると準備ができたと言われて部屋に向かった。
「カレン、どうだ…あ…」
見事な花嫁姿のカレンがいた…
純白のドレスの彼女はもうこの世のものとは思えない美しさだった。
俺は言葉を失った。
「あ、快斗。似合う?」
「あ、ああ…」
綺麗だなぁ…
そんなことを思いながらぼんやりと彼女を眺めていた。
「快斗、こっちこっち」
「あ、ああ、どうした?」
「近いチュー」
「それをいうなら誓いのキスだよ…」
今日はハロウィンで、コスプレばっかしてて、最後のコスプレがこれとは…
キスをしながらとても良い一日だったとしみじみ振り返った。
ご丁寧に記念写真まで撮ってくれて、カレンは嬉しそうに写真を抱きしめていた。
「満足した!帰ったらご飯たべるー」
「ああ…そうだな…」
まだドレス姿のカレンが頭から離れない…
綺麗だったな、早くカレンと結婚してもう一度あの姿を…
「快斗、どうしたの?」
「え、いやカレンのドレス可愛かったなって」
「えへへ、次は指輪もいるね!」
俺のハートは見事に打ち抜かれた。
よし、絶対にカレンと結婚しよう!
帰ったら恒例の出前だ。
打ち上げとやらに行っていたのか、少しアンがくるのに時間がかかった。
「毎度」
アンが三角巾で右腕を吊るしている…
「お前それどうしたんだよ…ボーリングで痛めた?」
「打ち上げで階段から落ちた」
「はしゃぎすぎだろ!?学生の飲み方するなよ!」
「俺もう生きていけない」
「足があるだろ足が!元々の職業見失うなよ!」
プロボーラーアンはしばらくお預けになった…
「今日は大人しくしとけよ」
「アニメみる」
「結構オタクなとこあるんだな…」
「あ、アニメ化」
「アニメ化?なにがだ?」
「アニメ化されたら俺声誰だろ」
「急にメタな発言すんなよ!知らねえよそんなの!」
いや誰だ…?
「でもほんとついてない人生だよなお前って…」
「俺の人生は」
「な、なんだよ?」
「敢えて言おう、カスであると」
「その人はお前の声には絶対にならんわ!媚売るな!」
もうアンはこの世界の理《ことわり》すらぶち壊しにきていた…
ピザを食べていると毎度のように誰かからメールがくる。
校長からだ。
『明日17時でいい?』
いやだからツレかって!
ほんと人をなんだと思ってるんだ…
勝たせてやったのに礼の一つも…あ、もしかしてそれかな?
「明日はパパと会う?」
「ああ、もしかしたら選挙のお礼かもな」
そんな無駄な期待をしてしまっていたが、校長にとってはそれはそれは大変な事態でした…
次回 落葉家 崩壊の危機!?
校長とメラニーさんが離婚?
また校長の為に一肌脱がされるはめに…
いや、普通は離婚だろあんな夫婦…
不健全な生徒たちがそこら中でイチャイチャしていてろくに授業も出ていない。
というかしばらく授業がない…
なぜかと言えばアラン陣営についた先生を、校長が勢いで全員クビにしたもんだからほとんど先生がいないのだ…
この学校にきて俺が学んだことと言えば、持つべきものはアンであるということ。
この学校生活で俺が唯一関心したことといえば、アンの忠誠心くらいなものだ。
でもこの学校にきて俺はよかったと思う。
なぜなら可愛い彼女ができたからだ。
などと少し悦に浸っていたが、そうでもしていないと今の学校の乱れ具合に頭がどうにかなりそうなのだ…
教室でも先生がいないのをいいことに、みんなしてやりたい放題だ。
この学校においてのやりたい放題とは、つまりそう…言葉のままであるとだけ伝えておこう…
「あー、もう無茶苦茶だな!なんでそこら辺でみんな盛ってんだよ!」
俺は突然キレた。
そしてカレンを連れて早退した。
「本当に校長を勝たせてよかったのかって毎回思うよ…」
「快斗、バリカタ」
「あんな学校にいたらそうなるよ!」
しかししばらく学校が機能しないのならそれはそれでいいことかもしれない。
寮でカレンとゆっくりできる。
「せっかくだしまたボーリングでもいく?」
「いくー!わーいボーリングー!」
結局カレンとボーリングしたのってテニス部との意味不明な対決の時だけだもんな。
子供みたいにはしゃぐカレンは可愛いし、気晴らしもほしかったのでボーリングにいくことにした。
「そういえば、アランさんたちと一緒に高村さんも飛ばされたみたいだけどいいの?カレンの召使いだったんだろ?」
「うーん、新しい人雇う」
「結構サバサバしてんのね…」
「じいもそのうち戻ると思う」
「校長が許すってこと?」
「うん、パパ優しいから」
「ほんとかな…」
ボーリング場は静かだった。
平日の昼間なのだから当然ではあるが…
「学校サボってボーリングなんて、なんか不良みたいだな俺たち…」
「快斗不良?なめ猫みたいなの?」
「例え古いな!今の人絶対知らないぞ!?」
いつも思んだけど特攻服ってどこで買うんだろう…
レーンはガラガラだったが、一つの場所に少し人だかりができていた。
「快斗、あれなに?」
「もしかしたらプロが練習してるとか?行ってみよう。」
そして人混みの間から、注目を集める先を見たら…アンが投げていた…
「おい、お前ボーリングもやるのか?」
「あと二回でパーフェクト」
「まじで!?」
スコアを見るとあとストライク二回でパーフェクトだった。
「頑張れアン!」
「お前ならいけるぞ!」
なんかつい最近罵倒されまくるアンを見たから、このボーリング場の声援がとても暖かく感じた。
そしてアンも期待に応えてあと一投までのところにきた。
「快斗、パーフェクトって?」
「しっ、今いいところだから…」
全員が固唾を飲んだ…
「フン」
あ、これはいっただろ!
誰もがそう思った。
しかし一本残った…
アンは膝から崩れ落ちた…
「ああ…残念だなぁ、でもアンらしいけど…」
「もやし、へたくそ」
「いや死ぬほどうまいぞ!?」
ギャラリーからまた酷い言葉を浴びせられるのかと思ったら、何故か今日はみんな優しかった。
「いいもの見せてもらったぞ!」
「アン、次は頑張れよ!」
ボーリング場はアンを祝福した。
アンは蘇った。
「なんか報われたなあいつ…」
アンはなぜか胴上げされていた。
今まで見た中で一番幸せそうな顔をしていた。
プロボーラーアン誕生の瞬間に俺たちは立ち会った…
「快斗、早く投げよ」
「あ、ああ…忘れてた。」
しかしほんとなんでも出来るやつだなと思いながら俺はカレンとボーリングを始めた。
ストライクやスペアが出るたびにカレンとハイタッチをして喜んだ。
楽しい、ほんと楽しい平穏な時間だ。
そして1ゲームが終わったところでジュースを買いに行くとアンもジュースを買っていた。
「さっきすごかったなー、やっぱお前すごいな」
「スコアいくつ?」
「え、おれ?さっきは165だったけど」
「フッ」
「あ、バカにしただろ!?」
すぐ調子に乗るやつだな…
「教えてやろうか」
「え、お前が?いやそんな本格的にやらないし…」
「遊びでボーリングするな」
「いやだいたいのやつが遊びでしかボーリングしないんだよ!」
調子にさえ乗らなければなぁ…
「じゃ打ち上げあるから」
「あ、そう…ってなんのだよ!?」
アンは得意げに去っていった。
いい加減一つのことに専念した方がいいんじゃないかあいつ?
「カレン、ジュース買ってきたぞ」
「快斗、ハロウィンの人いる」
カレンが指差した先には、ゾンビメイクをしたりカボチャをかぶった大学生がその姿でボーリングをしていた。
「ああ、もうそんな時期だもんな。」
「やりたい!」
「言うとおもった…」
カレンがわがままを言うものだから、ドンキに行ってコスプレグッズを探した。
「快斗、これとこれ!」
「どれどれ?…これはちょっとダメ…」
もういかがわしいお店でしか着ている人がいないような、バニーガールと魔女のコスプレだった。
バニーガールはいうまでもなく、魔女コスプレは胸元はあいてるしスカートは超がつくくらい短いし、宣材写真がすでにパンツ見えちゃってるし…
「えー、これがいい!」
「いやそれ普通は男が彼女にねだるもんだろ!?」
押し切られてそのコスプレ二着を購入した。
レジのおばちゃんにニヤニヤされて死ぬほど恥ずかしかった…
「わーい、帰ったらこれ着るー」
「俺大丈夫かな…」
寮に戻ると、すぐにカレンは部屋にこもった。
そして程なくして出てきたカレンのバニーガールに俺は鼻血が出そうだった。
「快斗、見て見て!」
「あ、あんまりよるな!目のやり場に困るんだよ!」
俺は心に誓ったことがある。
解禁されたらまずこれを着てカレンとエッチしたい!
それくらい似合っていた…
そして魔女のコスプレに着替えたカレンなのだが、写真よりも実際の方がえぐい衣装だった。
「快斗、魔女だよー」
「まて、パンツ丸見えじゃないか!隠せ隠せ!」
もはやスカートなどは存在しないに等しい短さだった…
しかも胸元が破れてんのかというくらい空いていて、そういうことをする前提で作られたものとしか思えないガバガバさだった…
俺はまたしても誓ったことがある。
解禁されたらあの衣装をビリビリにしてやりたい!
もう頭の中がエロエロになってしまった…
もういやらしい妄想に頭を侵食されそうだったが、カレンが家着に着替えてきて少しだけ冷静になった。
もちろん普段のカレンも可愛いのだが、多分コスプレの時に髪の毛をあげたり、ポニーテールにするのが俺のツボなのだろう…
普段からその髪型で攻められたらひとたまりもない…
「快斗、なんか新しい出前探す!」
「ああ、ビラがたまってるな…」
色々探していると、なにを思ってか結婚式場から無料体験フェアの広告が入っていた。
「快斗、ドレス着たい!」
「はぁ?無理無理…18歳以上とか書いてるし」
「いく!」
「無駄だと思うけどな…」
夕方だったがまだ時間は間に合うとのことで結婚式場に急遽向かうことにした。
「はぁー、こんな感じかぁ…」
「快斗、ドレスある!」
展示用のドレスを見てカレンが目をキラキラさせている。
一応こういうのにも興味あったんだ…意外だな。
係の人が近づいてきた。
カレンが何か話している。
そして奥に案内されている!?
「待て待て、俺たち高校生だぞ!?」
「パパのお店だからいいの」
そうだ、ここはチャペル落葉。もちろん校長の経営している式場だ。
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いやリピーターいたらダメだろ!
こんな縁起の悪い場所ではあるが、カレンはドレスの試着のため奥に行ってしまった。
はぁ…なんか待ってるの恥ずかしいなあ。
「可愛い彼女様ですね、きっとドレスがお似合いになりますよ。」
別の係の女の人が気を遣って話しかけてくれた。
そして少し雑談をしていると準備ができたと言われて部屋に向かった。
「カレン、どうだ…あ…」
見事な花嫁姿のカレンがいた…
純白のドレスの彼女はもうこの世のものとは思えない美しさだった。
俺は言葉を失った。
「あ、快斗。似合う?」
「あ、ああ…」
綺麗だなぁ…
そんなことを思いながらぼんやりと彼女を眺めていた。
「快斗、こっちこっち」
「あ、ああ、どうした?」
「近いチュー」
「それをいうなら誓いのキスだよ…」
今日はハロウィンで、コスプレばっかしてて、最後のコスプレがこれとは…
キスをしながらとても良い一日だったとしみじみ振り返った。
ご丁寧に記念写真まで撮ってくれて、カレンは嬉しそうに写真を抱きしめていた。
「満足した!帰ったらご飯たべるー」
「ああ…そうだな…」
まだドレス姿のカレンが頭から離れない…
綺麗だったな、早くカレンと結婚してもう一度あの姿を…
「快斗、どうしたの?」
「え、いやカレンのドレス可愛かったなって」
「えへへ、次は指輪もいるね!」
俺のハートは見事に打ち抜かれた。
よし、絶対にカレンと結婚しよう!
帰ったら恒例の出前だ。
打ち上げとやらに行っていたのか、少しアンがくるのに時間がかかった。
「毎度」
アンが三角巾で右腕を吊るしている…
「お前それどうしたんだよ…ボーリングで痛めた?」
「打ち上げで階段から落ちた」
「はしゃぎすぎだろ!?学生の飲み方するなよ!」
「俺もう生きていけない」
「足があるだろ足が!元々の職業見失うなよ!」
プロボーラーアンはしばらくお預けになった…
「今日は大人しくしとけよ」
「アニメみる」
「結構オタクなとこあるんだな…」
「あ、アニメ化」
「アニメ化?なにがだ?」
「アニメ化されたら俺声誰だろ」
「急にメタな発言すんなよ!知らねえよそんなの!」
いや誰だ…?
「でもほんとついてない人生だよなお前って…」
「俺の人生は」
「な、なんだよ?」
「敢えて言おう、カスであると」
「その人はお前の声には絶対にならんわ!媚売るな!」
もうアンはこの世界の理《ことわり》すらぶち壊しにきていた…
ピザを食べていると毎度のように誰かからメールがくる。
校長からだ。
『明日17時でいい?』
いやだからツレかって!
ほんと人をなんだと思ってるんだ…
勝たせてやったのに礼の一つも…あ、もしかしてそれかな?
「明日はパパと会う?」
「ああ、もしかしたら選挙のお礼かもな」
そんな無駄な期待をしてしまっていたが、校長にとってはそれはそれは大変な事態でした…
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