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第62話 プライド
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「おい、足が邪魔だ!」
「そっちこそさっさと運べ!」
師走とはいえ、まだ年の暮れどころかクリスマスも迎えていない。
なのに寮は朝から大忙しの大賑わいだ。
命先輩の提案で突如鍋をすることになった。
そして朝から準備があるからと薬師寺さんと二人が押しかけてきた。
鍋の開催場所にこの寮が選ばれた理由はただ一つ、みんな学校に住んでいるからだ…
「先輩方、一つ言いますけど俺はまだ許可してないですよ!?なんで勝手に色々準備してんすか!?それにまだ朝だよ!?」
「なんでって、俺たちも寮に住んでいたんだからいいだろ?ほら、一度住めば我が家って言葉あるだろ?」
「ねえわそんな都合のいいことわざ!なんだそれ?一回住んだらもう自分の家になるわけ?大した寄生虫精神だな!」
命先輩と薬師寺さんの図々しさは本当に大したものだ…
それに加えて今日は蓮水さんと大石さんもくるそうだ。
カレンはそのせいで朝から機嫌が悪い…
「うう、快斗とコタツでイチャイチャできない…」
「まぁまぁ…言い出したら聞かないしさ、どこか出かける?」
「うん、ホテルいこ!」
「行かない!」
もう二回と奇跡は起きない、次は絶対に襲ってしまう…
「今日はエッチなこと禁止!」
「じゃチューも?」
「い、いやそれは…」
それは俺がしたい…
「チュー以外ダメ!」
「むー」
二人で行くあてもなく外に出た。
プラプラしていると、サンタクロースの姿をした人が近づいてきた。
アンかと思ったが、よく似た違う人だった。
子供に取り囲まれながらこちらにくるサンタはとても紳士なイメージで、アンが栄養をとって寝不足を解消して幸せになったらこうなるのではと言った風貌だった。
「桜庭さんですね?」
「は、はい…あなたは?」
「私はブラ・ジール、アンの弟です」
突然アンの兄弟が現れた…
「ええ!?アンって兄弟いたの!?それになんか男前だし…普通に喋ってる…」
「兄は人見知りなのですよ。でも電話ではよく君たちのことを話してくれます。」
「はぁ…で、弟さんは何の仕事してる人なんですか?」
「え、石油会社の社長です。」
「めっちゃ金持ちじゃん!え、兄も雇ってあげたら!?」
「いえ、兄はこんな小さな世界にとどまる人間ではないですから。兄の才能を活かすために彼は経営から外れてもらってます。」
「才能を活かす前に自分が生きるのに精一杯だぞ…」
「兄は今どこに住んでるのか知りませんが、きっと格闘技などで稼いだお金でいい車に乗って安気に暮らしているでしょうね。」
「住んでるのはどこかの土管だよ!それに…あ、車は持ってるのか…」
「ドカン?変わった名前の住まいですね」
「金持ち特有の世間知らずスキル出してくるな!お兄さん死んじゃうから援助してあげて!」
「いえ、今日はお二人にクリスマスの素敵なプレゼントがありまして。」
「俺たちに?」
「はい、これ」
渡されたのは0.01と書かれた…まぁあれだった…
「いや余計なお世話だよ!」
「ちゃんとつけてしないとダメですよ?ハハハ」
そう言って弟とやらは去っていった…
「カレン、アンに弟いたの知ってた?」
「うん、七人兄弟だって言ってた」
「多いな!アンみたいなのいっぱいいるのか?」
「ううん、もやし以外全員番付入るくらい金持ち」
「ほんとどうしてこうなったというアンの言葉が重いな…」
なんで突然弟が現れたのかはもはや考えもせず、また街をプラプラしていた。
「快斗、チューしたい!」
「なんだ急に…」
気がつけば公園に来ていたのだが、その辺中カップルばかりだった…
そしてみんな人目も気にせずチュッチュしている…
このせいか…
「いやまぁ、今更だけど人前は恥ずかしいだろ…」
「いいの!」
ああ、カレンはわがままだなと思いながらも喜んでキスをした。
「快斗、好き」
「ああ、俺もだよ…」
ほんと大好きだ。
早く年があけてほしい、そして早く三年生になりたい…
そのあとはしばらくウロウロしながらカレンとなんでもない話をしていた。
「快斗、来年新しい学部が新設されるって聞いた?」
「え、あの学校に?なんか嫌な予感しかしないぞ…」
「なんかのエキスパートの子供が集まるってパパは言ってた」
「ほー、やっぱり嫌な予感しかしないな…」
まぁ俺には関係ないことだろうけど、学校がこれ以上変なことになるのはごめんだぞ…
とりあえず寒くなってきたので寮にもどった。
そしてすでに鍋の準備が整っていた。
「おお、チェリー。もうできるから座っててくれ。」
「はぁ…それよりなんで蓮水さん以外にアンまでいるの!?」
アンがコタツにいた。
「だってよー、玄関先で震えてたんだから入れてやらないとかわいそうだろ?」
「なにしにきたんだよ…」
「お邪魔してる」
「見たらわかるよ!弟になんとかしてもらえ!」
「それはできない」
「仲悪いのか?」
「兄のプライド」
「捨てろそんなもん!」
こういうやつが一番損するタイプだ…
「とにかく鍋食ったら帰れよ!」
「コタツくれ」
「公園でどうやって電気とるんだよ!」
たしかに冬は野宿してたら死ぬだろうけど…
「早く家借りろ」
「金ない」
「車売れよ」
「無理」
「…なんで?」
「差し押さえられた」
「やっぱ弟になんとかしてもらえよ!」
不幸だ…いやこいつは自ら不幸に向かっている気がする…
そして鍋になった。
蓮水さんと薬師寺さんがラブラブしているのを羨ましそうにアンと大石さんが見ていた。
命先輩は鍋奉行の血が騒いでずっと鍋の管理をしていた。
そして賑わう中、カレンは早く帰ってくれと言わんばかりに鍋の具材を食べまくっていた…
「カレン、太るぞ…」
「いいもん!それとも太ったら嫌いなる?」
「いや…そんなわけないだろ」
「えへへへ、大好きー」
俺にチュッチュするカレンをアンが写真に撮っていた。
「おい、撮るなよ!」
「もう撮った」
「消せよ!」
「ネットに晒す」
「なんの恨みがあるんだよ!」
「リア充爆発しろ」
「ちょっと古いぞそれ…」
そんな感じで賑やかな半日が過ぎた。
本当に鍋を食べにきただけのようで、それが終わると全員帰っていった…
いや逆になにしにきたんだよ…
「あー静かになったな…」
「快斗、お腹いっぱい。眠たい…」
「昼寝でもするかー」
二人で昼間からダラダラした。
そして寝た。
気がついたら夜だった…
目が覚めて校長からのラインが来ていることに気がついた。
『ちょいええ話があるぞい、校長室で待っておる』
なんか嫌な予感しかしないんだけど…
「カレン、校長から連絡きてるから行ってくる」
「やだ、私もいくー」
「いやでも寒いぞ?」
「快斗と一緒なら平気ー、えへへ」
か、可愛い…
厚着をしてから二人で校長の待つ夜中の学校へと向かった…
次回 快斗に渡される最後の課題!
そして快斗に告げられる衝撃の内容とは!?
まぁ夜中に生徒呼び出さなという話だよ…
「そっちこそさっさと運べ!」
師走とはいえ、まだ年の暮れどころかクリスマスも迎えていない。
なのに寮は朝から大忙しの大賑わいだ。
命先輩の提案で突如鍋をすることになった。
そして朝から準備があるからと薬師寺さんと二人が押しかけてきた。
鍋の開催場所にこの寮が選ばれた理由はただ一つ、みんな学校に住んでいるからだ…
「先輩方、一つ言いますけど俺はまだ許可してないですよ!?なんで勝手に色々準備してんすか!?それにまだ朝だよ!?」
「なんでって、俺たちも寮に住んでいたんだからいいだろ?ほら、一度住めば我が家って言葉あるだろ?」
「ねえわそんな都合のいいことわざ!なんだそれ?一回住んだらもう自分の家になるわけ?大した寄生虫精神だな!」
命先輩と薬師寺さんの図々しさは本当に大したものだ…
それに加えて今日は蓮水さんと大石さんもくるそうだ。
カレンはそのせいで朝から機嫌が悪い…
「うう、快斗とコタツでイチャイチャできない…」
「まぁまぁ…言い出したら聞かないしさ、どこか出かける?」
「うん、ホテルいこ!」
「行かない!」
もう二回と奇跡は起きない、次は絶対に襲ってしまう…
「今日はエッチなこと禁止!」
「じゃチューも?」
「い、いやそれは…」
それは俺がしたい…
「チュー以外ダメ!」
「むー」
二人で行くあてもなく外に出た。
プラプラしていると、サンタクロースの姿をした人が近づいてきた。
アンかと思ったが、よく似た違う人だった。
子供に取り囲まれながらこちらにくるサンタはとても紳士なイメージで、アンが栄養をとって寝不足を解消して幸せになったらこうなるのではと言った風貌だった。
「桜庭さんですね?」
「は、はい…あなたは?」
「私はブラ・ジール、アンの弟です」
突然アンの兄弟が現れた…
「ええ!?アンって兄弟いたの!?それになんか男前だし…普通に喋ってる…」
「兄は人見知りなのですよ。でも電話ではよく君たちのことを話してくれます。」
「はぁ…で、弟さんは何の仕事してる人なんですか?」
「え、石油会社の社長です。」
「めっちゃ金持ちじゃん!え、兄も雇ってあげたら!?」
「いえ、兄はこんな小さな世界にとどまる人間ではないですから。兄の才能を活かすために彼は経営から外れてもらってます。」
「才能を活かす前に自分が生きるのに精一杯だぞ…」
「兄は今どこに住んでるのか知りませんが、きっと格闘技などで稼いだお金でいい車に乗って安気に暮らしているでしょうね。」
「住んでるのはどこかの土管だよ!それに…あ、車は持ってるのか…」
「ドカン?変わった名前の住まいですね」
「金持ち特有の世間知らずスキル出してくるな!お兄さん死んじゃうから援助してあげて!」
「いえ、今日はお二人にクリスマスの素敵なプレゼントがありまして。」
「俺たちに?」
「はい、これ」
渡されたのは0.01と書かれた…まぁあれだった…
「いや余計なお世話だよ!」
「ちゃんとつけてしないとダメですよ?ハハハ」
そう言って弟とやらは去っていった…
「カレン、アンに弟いたの知ってた?」
「うん、七人兄弟だって言ってた」
「多いな!アンみたいなのいっぱいいるのか?」
「ううん、もやし以外全員番付入るくらい金持ち」
「ほんとどうしてこうなったというアンの言葉が重いな…」
なんで突然弟が現れたのかはもはや考えもせず、また街をプラプラしていた。
「快斗、チューしたい!」
「なんだ急に…」
気がつけば公園に来ていたのだが、その辺中カップルばかりだった…
そしてみんな人目も気にせずチュッチュしている…
このせいか…
「いやまぁ、今更だけど人前は恥ずかしいだろ…」
「いいの!」
ああ、カレンはわがままだなと思いながらも喜んでキスをした。
「快斗、好き」
「ああ、俺もだよ…」
ほんと大好きだ。
早く年があけてほしい、そして早く三年生になりたい…
そのあとはしばらくウロウロしながらカレンとなんでもない話をしていた。
「快斗、来年新しい学部が新設されるって聞いた?」
「え、あの学校に?なんか嫌な予感しかしないぞ…」
「なんかのエキスパートの子供が集まるってパパは言ってた」
「ほー、やっぱり嫌な予感しかしないな…」
まぁ俺には関係ないことだろうけど、学校がこれ以上変なことになるのはごめんだぞ…
とりあえず寒くなってきたので寮にもどった。
そしてすでに鍋の準備が整っていた。
「おお、チェリー。もうできるから座っててくれ。」
「はぁ…それよりなんで蓮水さん以外にアンまでいるの!?」
アンがコタツにいた。
「だってよー、玄関先で震えてたんだから入れてやらないとかわいそうだろ?」
「なにしにきたんだよ…」
「お邪魔してる」
「見たらわかるよ!弟になんとかしてもらえ!」
「それはできない」
「仲悪いのか?」
「兄のプライド」
「捨てろそんなもん!」
こういうやつが一番損するタイプだ…
「とにかく鍋食ったら帰れよ!」
「コタツくれ」
「公園でどうやって電気とるんだよ!」
たしかに冬は野宿してたら死ぬだろうけど…
「早く家借りろ」
「金ない」
「車売れよ」
「無理」
「…なんで?」
「差し押さえられた」
「やっぱ弟になんとかしてもらえよ!」
不幸だ…いやこいつは自ら不幸に向かっている気がする…
そして鍋になった。
蓮水さんと薬師寺さんがラブラブしているのを羨ましそうにアンと大石さんが見ていた。
命先輩は鍋奉行の血が騒いでずっと鍋の管理をしていた。
そして賑わう中、カレンは早く帰ってくれと言わんばかりに鍋の具材を食べまくっていた…
「カレン、太るぞ…」
「いいもん!それとも太ったら嫌いなる?」
「いや…そんなわけないだろ」
「えへへへ、大好きー」
俺にチュッチュするカレンをアンが写真に撮っていた。
「おい、撮るなよ!」
「もう撮った」
「消せよ!」
「ネットに晒す」
「なんの恨みがあるんだよ!」
「リア充爆発しろ」
「ちょっと古いぞそれ…」
そんな感じで賑やかな半日が過ぎた。
本当に鍋を食べにきただけのようで、それが終わると全員帰っていった…
いや逆になにしにきたんだよ…
「あー静かになったな…」
「快斗、お腹いっぱい。眠たい…」
「昼寝でもするかー」
二人で昼間からダラダラした。
そして寝た。
気がついたら夜だった…
目が覚めて校長からのラインが来ていることに気がついた。
『ちょいええ話があるぞい、校長室で待っておる』
なんか嫌な予感しかしないんだけど…
「カレン、校長から連絡きてるから行ってくる」
「やだ、私もいくー」
「いやでも寒いぞ?」
「快斗と一緒なら平気ー、えへへ」
か、可愛い…
厚着をしてから二人で校長の待つ夜中の学校へと向かった…
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