校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?

明石龍之介

文字の大きさ
68 / 80

第68話 幼なじみ

しおりを挟む
「落ちた」

今日もアンが就活に失敗していた。

「なぁ、そろそろ諦めてピザ屋に専念したらどうだ?」

「それは嫌だ」

「…なんでだよあんなに頑張ってるのに?」

「プライドの問題」

「あ、そ…」

アンが今までに受けた会社は406社。
うち面接まで行ったのが2社…

「お前履歴書がいけないんじゃないか?見せてみろ」

「これ」

そこには職歴欄が真っ黒になるくらい埋め尽くされている悲壮感たっぷりな履歴書があった…

「これは採用しようとは思わないよなぁ…そうだ、校長に聞いてみたらどうだ?」

「校長…」

「どうした、聞きにくいのか?」

「信用できない」

「お前の主人だろ!よくそんなのに実直に仕えてるなお前!」

まぁ俺も信用できないけど…

「ま、いいところあったら聞いてきてやるよ」

「サンクス」

アンが帰ったあと、俺は校長に電話をした。

「もしもし校長ですか?アンの就職先ってどっか空いてないんすか?」

「ほほ、どうした急に。アンは武士道を極める男、生半可な仕事はやつには似合わんぞい」

「いや刀と素手で闘ってたやつが武士道もなにもないだろ…それに金は最低限必要でしょ?」

「うーむ…それなら今度新しく始める地下格闘技場の番人でもさせようかの?」

「また怪しい響きが出てきたな…なんですかそれ?」

地下格闘技場
ここでは公式戦に出られない格闘技のはぐれ者から犯罪者までもが集い、真の最強王者を決めるというバトルコロシアム。
もちろん観客も誰が勝つか賭けをして大いに盛り上がるシステムになっているというが…

「そんな違法ビジネスやって大丈夫ですか!?」

「大丈夫じゃ、胴元の名義はアランとセバスチャンにしておるからの」

「落ちたらとことんまで扱い悪くなるなあんたの組織って…」

早速明日からプレオープンだと言うのでアンに電話した。

行くと返事をもらったのはいいが、給料について相談してやるのを忘れてた…ま、いっか。

翌日の夜

「カレン、地下格闘技場に行ってみようよ」

「えー、キョーミないー」

「まぁそう言わずに…」

図書館の地下を改装したということで、早速学校に向かうと、図書館裏に長蛇の列ができていた。

見るからに無法者と言ったやつらがゾロゾロと並んでいる…
これ本当に見つからないのか!?

列に並んで入場すると、中には凄まじいコロシアムが完成していた。
そして5万人を優に超える観客がいた…

いやいつのまにこんなのつくったの!?

「さぁ始まりました!地下格闘技場のプレオープンです!この大会は日本各地の猛者が、この闘技場に潜む最強の相手を倒せるかどうかのデスマッチ!さぁあなたはどっちに賭ける?」

そう言って出てきたのは、細身の剣士だった。
そして反対側からはアンが満を辞して登場した。

アンと挑戦者がなにか話している。

「フラ」

「アン兄さん、今日こそ貴方を倒します」

よく見るとアンをすんごくイケメンにしたようなやつだ。

「挑戦者の名前はフラ・ジール!なんと番人をつとめるアン・ジールの異母兄弟です!」

やっぱりアンの弟か…
それに異母兄弟?あいつの家庭ってちょっと複雑なのか?

「あら、二人きてたの?どっちに賭ける?」

俺たちに声をかけてきたのはバニー姿のメラニーさんだった。

「うお、その恰好で覗き込まないでくださいよ…んー、アンに一応賭けますけどいくらからですか?」

「一口と言えば100万円からよー」

「そんな金ないって!え、みんなそんなに金持ちなの?」

「ママ、私5口いくわ」

「カレンちゃーん!熱くならないで!」

結局500万円をアンにベットして試合が始まった。

「兄さん、兄さんは正室の子供だからずっと寵愛を受けてきた。そんな兄さんが憎い!」

「今は生活苦」

「なにをしらじらしい!数多の格闘技で優勝した兄さんが貧乏なわけないだろ!」

「いやマジ」

「まだいうか!」

「公園に住んでるのに」

二人の会話はマイクで拾われて会場にダダ漏れだった…
いやマジで貧乏だから信じてあげて弟よ!

「もらった!」

フラジールが真剣でアンの首元を切りかかった。
あ、避けれない!え、これ大丈夫!?

しかしアンの首は真剣をはね返した。それどころか刀の方が折れた…

「そ、そんなバカな…」

「鍛えた」

いや鍛えてそうなるの!?

「まいりました…兄さん、また挑戦しにくるよ…」

「ウェルカム」

フラジールは帰っていった…

「うお、アンのやつ勝ったよ!これどうなるの!?」

「えーと、アンのオッズは1.01倍だから5万円勝ちね」

「人気ありすぎだろ!」

結局5万円儲かった…

「楽しかった!明日もくる!」

「お前絶対にパチンコとかハマる人間だな…」

結局アンに会いにいくと、「最強の男を待つ」と言ってここへの就職を決めた。

給料は手取り25万で喜んでいた…
いや絶対騙されてるぞ!

そして夜に寮まで帰ると、寮の前に誰かがいる…

「誰だ…?」

何度もいうが、もはや神様とまで知り合いになった俺は不審者一人くらいで驚くことはしない。

「あ、カレンちゃん!俺だよ俺!」

「オレオレ詐欺?」

「どこの世界に会いにくるオレオレ詐欺があるんだよ!俺だよ、幼なじみのバートだよ!」

なに、幼なじみだと…


幼なじみ
これはラブコメを語るには外せない必須ワードである。
もう運命に導かれたかのように生まれた時から一緒にいるというその関係は、少々のぽっとでが抗っても崩すことのできない信頼関係を持っているとかなんとか…

「カレン、幼なじみって…」

「?知らないこんな人」

「そんな、昔はあんなによく一緒にお風呂とか入ったじゃないか!」

お風呂…だと!?

「おい、幼なじみとやら。急に出てきて何の用だ?」

「俺はカレンちゃんを迎えにきたんだよ。小さい頃にした約束を果たすために」

「約束?」

「ああ、俺はカレンちゃんの処女をもらう約束をしてるんだ!」

「はぁ!?それいつの話だよ…」

「5歳の時」

「無効だよ!なんで5歳が処女とか知ってんだ!」

「あ、したかもそんな約束」

「5歳がそんな約束すんな!」

急に出てきてなんだこいつは…

「アホらし、カレン寝るぞ」

「はーい」

「お、おい待て、待て!」

なんか幼なじみがワーワー言ってるのを無視して二人で中に入って鍵をしめた…

しかしあの男、ちょっと面倒くさそうな予感がする…

次回 幼なじみ属性ってこんなんだったか?

しつこい男にカレンもピリピリ…

さらにアンと互角の闘いをする刺客が現れて格闘技場は騒然!?




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

高校生なのに娘ができちゃった!?

まったりさん
キャラ文芸
不思議な桜が咲く島に住む主人公のもとに、主人公の娘と名乗る妙な女が現われた。その女のせいで主人公の生活はめちゃくちゃ、最初は最悪だったが、段々と主人公の気持ちが変わっていって…!? そうして、紅葉が桜に変わる頃、物語の幕は閉じる。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...