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第2章 新人冒険者の奮闘
45.半年が経ちまして
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肌寒さを感じたことでふわりと意識が浮上し、開けた視界に最初に映るのは世界の主神リーデンの健やかな寝顔――。
「っ⁈」
上げそうになった声を飲み込み、ゆっくりと深呼吸を繰り返した。
大丈夫。
一緒に眠っただけ。
これが初めてでもないのだから動揺する事なんて何もない……。
(動揺しないわけがあるかー……っ!)
真っ赤だろう顔を両手で覆って、声を出さずに「うううっ」と唸る。
寝ててもカッコいいし。
無防備なのが可愛いし。
朝日で薄い紫色の髪がきらきらしているように見える。嘘だ、まだ薄暗いのに!
至近距離に晒される肌はじんわりと温かく、俺を抱き込むように乗せられている腕の重みだって恐ろしいくらい心地良い。
(ううっ。す、すっ、好き、だけどっ、これは、幸せを通り越して辛い)
動揺のし過ぎで心臓が痛くなって来た。
(そっと……そぉっと……)
心の中で念じながら腕から抜け出し、ゆっくりとベッドを降りる。カーテンを開けると、秋特有の低気温と、乾燥した空気が見せる真っ赤な朝焼けが視界一杯に広がり、まだ薄暗い世界が季節の移り変わりを日々実感させてくれる。
この世界――ロテュスに転移してから、早半年。
すっかり習慣になった朝5時の起床を果たした俺は、音を立てないよう気を付けながら洗面所に移動した。
「はぁ……」
いまは体が子どもだから大きな問題は起きていないが、中身は成人済みの男だ。25年分の人生経験は……乏しくても相応の知識があるせいで無駄に考え過ぎてしまう。
妄想と言い換えても良い。
(……精通したの14歳の冬だったから、あと2年くらいは平気かな)
ただでさえ自分の嗜好にショックを受けていたのに、汚れた下着を見てますます自分がおかしくなっていく気がして辛かった日々を思い出す。
いま思えば当たり前の生理現象なんだけど。
(そう思えるのもこっちの世界に来たから、か)
おかげで毎日が楽しい。
鏡に映る自分に失笑し、朝の身支度を整えてからリビングに戻るとリーデンがキッチンにいて、ヤカンでお湯を沸かしていた。
「ぁ、おはようございますリーデン様」
「おはよう」
「お湯をありがとうございます」
「大したことは……いや、どういたしまして、だ」
言い直したのはこの半年間の成果。
嬉しくなりながら前を失礼して冷蔵庫を開ける。
「今朝は何にしますか?」
「……サラダだな。あとはカッフィでいい」
「はーい。パンも焼くので、食べれそうなら食べてくださいね」
「ん」
天界には、俺が普通だと思っている食事を、普通に食べる神様もいるみたいだけど、リーデンは今まで食べるということをして来なかったからか、例えるならベジタリアンみたいな食事を好む。
いや、好むというよりはようやくその段階まで馴染んだと言った方がいいのかも。
リーデン自身は俺と同じものを食べてみたいっていう気持ちがあるんだけど、それを口に運ぼうとする手が止まってしまう。ただし全部じゃなくて、例えば「家族になりましょう」って伝えた初日に用意した肉じゃがは、肉はダメだったけどじゃがいもは美味しかったんだって。
白米も大丈夫。
かつおぶしはダメだけどほうれん草はいけた。
サラダは完食。
お肉と一緒に煮込んだ野菜が大丈夫なら……ってことでその後もいろいろ試した結果、今は肉や魚そのものじゃなければ大体食せるようになって来ているので、もっと時間を掛けて「食事」っていう行為に馴染めば、たぶんいつかは俺と同じ食事を取れるようになるのではないか、と。
本人(本神?)はとても意欲的。
地球の俺にとって珈琲は朝の必需品だったって話をしたら真似してくれちゃうんだよ、可愛過ぎじゃないですか。おかげで、子どもの身体にカフェインを摂取させなくても大好きな珈琲の匂いで朝を過ごせる。
「今日はこれで」
パントリーに保管されている一杯分のドリップバッグを選んでカップと一緒に置けば、リーデン様は何も言わずに慣れた手つきで淹れてくれるし、その姿のなんて絵になることか!
(もう好きしかない)
腰が砕けそうな威力には息切れまで起こしそうになるが何とか正気を保つ。
まったく、これで大神様からの預かりものでしかないとか、あくまで保護者とか、口惜しい事この上ない。
(この姿じゃ仕方ないか……)
そもそも神と人では存在そのものが違い過ぎるんだ。
判っている。
……判っていて、それでもリーデンに恋をした。
「レン」
「っ、なんですか?」
まさか心の中まで読めるのかと身構えたけど、リーデンは「頼みがあるんだが」と続けた。
「頼み?」
「ああ、……面倒だとは思うが、先に起きるなら一緒に俺を起こして欲しい」
ん?
どういうこと……、っていうか。
「ずっと聞きたかったんですけど」
「なんだ」
「リーデン様、寝ないでもいいんじゃなかったんですか?」
神は人ではないので、人の三大欲求とは無縁の存在だと教えてくれたのは他でもないリーデンである。
食べたり飲んだり、何なら人の世界にお忍びで出掛けて享楽に耽る変わり者も多いけど、それはあくまで人に擬態したり、面白そうだから真似っこしているだけで、必須の行為ではないはず。
「家族になりましょう」と伝えたあの日、話の流れで、夜はどうするのかと聞いたらリーデンは世界を監督するのが自分の仕事だと答えた。
つまり24時間365日態勢の徹底警備ってやつだ。
初日は「試しに寝てみる」って感じで、しかも「どうやって寝るのか」なんて言い出したから俺のベッドで一緒に寝たけど……もちろん何も無かったけど!!
あの日以降も1週間に1~2回は、朝になると隣で寝ているリーデンに驚かされている。
その度にローズベリーをはじめとした管理補佐の中級・下級神が苦労しているらしいけど、一先ずそれはおいておいて。
隣で寝られるのは嫌ではないし、というか、まぁ、あれだし、俺が眠ってから横に入り込まれる分には緊張もないのでそのままにして来たが、一緒に起こせと言われるとさすがに確認したい。
「横で寝るのは、全然、大丈夫です、けど」
「ふむ」
言うと、リーデンは顎に手を置きながら考えている。
「理由は幾つがあるんだが、一晩寝ると、それからしばらくは非常に世界管理の効率が良くなる」
「――」
「ローズたちが、俺の機嫌が良くて作業し易いと言うし」
「……えっと」
「大神様から預けられているおまえが手の届く場所で無防備に寝ているのを見ると肩の力が抜けるのが自分でも判るんだ」
「あの」
「しかし眠ると俺の神力も一時的に休むらしく目覚めた直後は世界を把握し難い。そのせいで、隣におまえが居ないのは非常に、何と言うか、不安になる」
「~~っ」
ああああもう!
それってつまり寝ないでも良いけど健康のためには寝た方が良いって事だろ!
これ!
これで保護者面!
「レン?」
「っく……わ、判りました。今後は起こします……!」
強く出られない俺っ、情けなっ!
朝から疲労困憊。
精神的に大ダメージを負ったものの、習慣とは恐ろしいもので朝ごはんからの洗濯、掃除、弁当作り、そして買出しリストの作成までを流れるように済ませた俺は、やはりいつも通りの8時半にリーデンに見送られて部屋を出た。
買出しリストは、もちろんロテュスで購入した紙とペン。
スキル「通販」で何でも揃えられるけど、依頼で稼いだお金はロテュスで循環させるのが健全だと思ったので、最近の食事はこちらの食材を使うようになった。
その甲斐あって昼食のための弁当も作れるようになった。
冒険者の鉄級依頼は「お手伝い」がメインのため、昼に買いに行くことが難しい場合が多かったから弁当に切り替えたのは正解だったと思う。
それに、もうすぐ銅級になったらレイナルドがいろんな依頼に連れて行ってくれると約束しているし、その時はパーティで野営する事もある。こちらの食材を調理できるかどうかはかなり重要だと思うんだ。
転移してから半年。
そう。
半年を経て、俺はようやく鉄級の新人冒険者を卒業しようとしている……!
「おはようございます」
「おう、レンか」
「うぃーっす」
『猿の縄張り』から冒険者ギルドへ移動するのは、俺一人。
以前は気付いたら後ろで気を失っている男がいたりして怖かったこともあるが、最近はそれもなく、声を掛け合える冒険者仲間が増えた。
「一人か?」
そう声を掛けて来たのはバルドル――ここの酒場でクルトさんを泣かせてしまった半年前のあの夜に、真っ先に温かなスープを差し入れてくれた男だ。
イヌ科の27歳、銀級冒険者の彼の頭上には赤味を帯びた黄色い毛並の三角耳。
これもこの半年で学んだことだけど、一言でイヌ科と言っても、その祖先は狼、狸、コヨーテ、狐、ジャッカルと様々で、バルドルの祖先は狐だと本人が教えてくれた。
レイナルドと同じイヌ科なんですねって言ったら、一緒にするのは不敬だぞって。
不敬って、そんな王様じゃあるまいし……とその時は思ったんだけど、レイナルドはそういう話になるとものすごく悪い顔をして笑うので、たぶん監察官云々以外にも何か隠しているんだろう。
監察官の身分隠してても貴族にだって顔が利くんだよ、あの人。
疑わない方がどうかしている。
と、それはともかく。
「はい、今日は一人ですよ。クルトさんはレイナルドさん達と一緒にダンジョンに行っちゃったのでしばらく戻りません」
「そうか」
淡々と答えているように見えて、残念そう。
獣人族は、同じ系統の方が好みが合いやすいっていう理由で、イヌ科はイヌ科と、リス科はリス科とっていう具合に恋人関係になる事が多いけど、それが絶対ってわけじゃない。
レイナルドとハーマイトシュシューみたいに種族が違ったって恋仲になる二人はいるし、それはリーデンも祝福すると言っていた。ただし出生率は下がるみたいで、運よく生まれた子は両親のどちらかの種族に偏ってしまうという。
以前にララが「混血だけどゾウ科だ」って言っていたのは、そういう意味だ。
つまり何が言いたいかと言うと、俺は「見守ります」ってこと。
さて、鉄級最後の依頼はどれにしようかな。
「っ⁈」
上げそうになった声を飲み込み、ゆっくりと深呼吸を繰り返した。
大丈夫。
一緒に眠っただけ。
これが初めてでもないのだから動揺する事なんて何もない……。
(動揺しないわけがあるかー……っ!)
真っ赤だろう顔を両手で覆って、声を出さずに「うううっ」と唸る。
寝ててもカッコいいし。
無防備なのが可愛いし。
朝日で薄い紫色の髪がきらきらしているように見える。嘘だ、まだ薄暗いのに!
至近距離に晒される肌はじんわりと温かく、俺を抱き込むように乗せられている腕の重みだって恐ろしいくらい心地良い。
(ううっ。す、すっ、好き、だけどっ、これは、幸せを通り越して辛い)
動揺のし過ぎで心臓が痛くなって来た。
(そっと……そぉっと……)
心の中で念じながら腕から抜け出し、ゆっくりとベッドを降りる。カーテンを開けると、秋特有の低気温と、乾燥した空気が見せる真っ赤な朝焼けが視界一杯に広がり、まだ薄暗い世界が季節の移り変わりを日々実感させてくれる。
この世界――ロテュスに転移してから、早半年。
すっかり習慣になった朝5時の起床を果たした俺は、音を立てないよう気を付けながら洗面所に移動した。
「はぁ……」
いまは体が子どもだから大きな問題は起きていないが、中身は成人済みの男だ。25年分の人生経験は……乏しくても相応の知識があるせいで無駄に考え過ぎてしまう。
妄想と言い換えても良い。
(……精通したの14歳の冬だったから、あと2年くらいは平気かな)
ただでさえ自分の嗜好にショックを受けていたのに、汚れた下着を見てますます自分がおかしくなっていく気がして辛かった日々を思い出す。
いま思えば当たり前の生理現象なんだけど。
(そう思えるのもこっちの世界に来たから、か)
おかげで毎日が楽しい。
鏡に映る自分に失笑し、朝の身支度を整えてからリビングに戻るとリーデンがキッチンにいて、ヤカンでお湯を沸かしていた。
「ぁ、おはようございますリーデン様」
「おはよう」
「お湯をありがとうございます」
「大したことは……いや、どういたしまして、だ」
言い直したのはこの半年間の成果。
嬉しくなりながら前を失礼して冷蔵庫を開ける。
「今朝は何にしますか?」
「……サラダだな。あとはカッフィでいい」
「はーい。パンも焼くので、食べれそうなら食べてくださいね」
「ん」
天界には、俺が普通だと思っている食事を、普通に食べる神様もいるみたいだけど、リーデンは今まで食べるということをして来なかったからか、例えるならベジタリアンみたいな食事を好む。
いや、好むというよりはようやくその段階まで馴染んだと言った方がいいのかも。
リーデン自身は俺と同じものを食べてみたいっていう気持ちがあるんだけど、それを口に運ぼうとする手が止まってしまう。ただし全部じゃなくて、例えば「家族になりましょう」って伝えた初日に用意した肉じゃがは、肉はダメだったけどじゃがいもは美味しかったんだって。
白米も大丈夫。
かつおぶしはダメだけどほうれん草はいけた。
サラダは完食。
お肉と一緒に煮込んだ野菜が大丈夫なら……ってことでその後もいろいろ試した結果、今は肉や魚そのものじゃなければ大体食せるようになって来ているので、もっと時間を掛けて「食事」っていう行為に馴染めば、たぶんいつかは俺と同じ食事を取れるようになるのではないか、と。
本人(本神?)はとても意欲的。
地球の俺にとって珈琲は朝の必需品だったって話をしたら真似してくれちゃうんだよ、可愛過ぎじゃないですか。おかげで、子どもの身体にカフェインを摂取させなくても大好きな珈琲の匂いで朝を過ごせる。
「今日はこれで」
パントリーに保管されている一杯分のドリップバッグを選んでカップと一緒に置けば、リーデン様は何も言わずに慣れた手つきで淹れてくれるし、その姿のなんて絵になることか!
(もう好きしかない)
腰が砕けそうな威力には息切れまで起こしそうになるが何とか正気を保つ。
まったく、これで大神様からの預かりものでしかないとか、あくまで保護者とか、口惜しい事この上ない。
(この姿じゃ仕方ないか……)
そもそも神と人では存在そのものが違い過ぎるんだ。
判っている。
……判っていて、それでもリーデンに恋をした。
「レン」
「っ、なんですか?」
まさか心の中まで読めるのかと身構えたけど、リーデンは「頼みがあるんだが」と続けた。
「頼み?」
「ああ、……面倒だとは思うが、先に起きるなら一緒に俺を起こして欲しい」
ん?
どういうこと……、っていうか。
「ずっと聞きたかったんですけど」
「なんだ」
「リーデン様、寝ないでもいいんじゃなかったんですか?」
神は人ではないので、人の三大欲求とは無縁の存在だと教えてくれたのは他でもないリーデンである。
食べたり飲んだり、何なら人の世界にお忍びで出掛けて享楽に耽る変わり者も多いけど、それはあくまで人に擬態したり、面白そうだから真似っこしているだけで、必須の行為ではないはず。
「家族になりましょう」と伝えたあの日、話の流れで、夜はどうするのかと聞いたらリーデンは世界を監督するのが自分の仕事だと答えた。
つまり24時間365日態勢の徹底警備ってやつだ。
初日は「試しに寝てみる」って感じで、しかも「どうやって寝るのか」なんて言い出したから俺のベッドで一緒に寝たけど……もちろん何も無かったけど!!
あの日以降も1週間に1~2回は、朝になると隣で寝ているリーデンに驚かされている。
その度にローズベリーをはじめとした管理補佐の中級・下級神が苦労しているらしいけど、一先ずそれはおいておいて。
隣で寝られるのは嫌ではないし、というか、まぁ、あれだし、俺が眠ってから横に入り込まれる分には緊張もないのでそのままにして来たが、一緒に起こせと言われるとさすがに確認したい。
「横で寝るのは、全然、大丈夫です、けど」
「ふむ」
言うと、リーデンは顎に手を置きながら考えている。
「理由は幾つがあるんだが、一晩寝ると、それからしばらくは非常に世界管理の効率が良くなる」
「――」
「ローズたちが、俺の機嫌が良くて作業し易いと言うし」
「……えっと」
「大神様から預けられているおまえが手の届く場所で無防備に寝ているのを見ると肩の力が抜けるのが自分でも判るんだ」
「あの」
「しかし眠ると俺の神力も一時的に休むらしく目覚めた直後は世界を把握し難い。そのせいで、隣におまえが居ないのは非常に、何と言うか、不安になる」
「~~っ」
ああああもう!
それってつまり寝ないでも良いけど健康のためには寝た方が良いって事だろ!
これ!
これで保護者面!
「レン?」
「っく……わ、判りました。今後は起こします……!」
強く出られない俺っ、情けなっ!
朝から疲労困憊。
精神的に大ダメージを負ったものの、習慣とは恐ろしいもので朝ごはんからの洗濯、掃除、弁当作り、そして買出しリストの作成までを流れるように済ませた俺は、やはりいつも通りの8時半にリーデンに見送られて部屋を出た。
買出しリストは、もちろんロテュスで購入した紙とペン。
スキル「通販」で何でも揃えられるけど、依頼で稼いだお金はロテュスで循環させるのが健全だと思ったので、最近の食事はこちらの食材を使うようになった。
その甲斐あって昼食のための弁当も作れるようになった。
冒険者の鉄級依頼は「お手伝い」がメインのため、昼に買いに行くことが難しい場合が多かったから弁当に切り替えたのは正解だったと思う。
それに、もうすぐ銅級になったらレイナルドがいろんな依頼に連れて行ってくれると約束しているし、その時はパーティで野営する事もある。こちらの食材を調理できるかどうかはかなり重要だと思うんだ。
転移してから半年。
そう。
半年を経て、俺はようやく鉄級の新人冒険者を卒業しようとしている……!
「おはようございます」
「おう、レンか」
「うぃーっす」
『猿の縄張り』から冒険者ギルドへ移動するのは、俺一人。
以前は気付いたら後ろで気を失っている男がいたりして怖かったこともあるが、最近はそれもなく、声を掛け合える冒険者仲間が増えた。
「一人か?」
そう声を掛けて来たのはバルドル――ここの酒場でクルトさんを泣かせてしまった半年前のあの夜に、真っ先に温かなスープを差し入れてくれた男だ。
イヌ科の27歳、銀級冒険者の彼の頭上には赤味を帯びた黄色い毛並の三角耳。
これもこの半年で学んだことだけど、一言でイヌ科と言っても、その祖先は狼、狸、コヨーテ、狐、ジャッカルと様々で、バルドルの祖先は狐だと本人が教えてくれた。
レイナルドと同じイヌ科なんですねって言ったら、一緒にするのは不敬だぞって。
不敬って、そんな王様じゃあるまいし……とその時は思ったんだけど、レイナルドはそういう話になるとものすごく悪い顔をして笑うので、たぶん監察官云々以外にも何か隠しているんだろう。
監察官の身分隠してても貴族にだって顔が利くんだよ、あの人。
疑わない方がどうかしている。
と、それはともかく。
「はい、今日は一人ですよ。クルトさんはレイナルドさん達と一緒にダンジョンに行っちゃったのでしばらく戻りません」
「そうか」
淡々と答えているように見えて、残念そう。
獣人族は、同じ系統の方が好みが合いやすいっていう理由で、イヌ科はイヌ科と、リス科はリス科とっていう具合に恋人関係になる事が多いけど、それが絶対ってわけじゃない。
レイナルドとハーマイトシュシューみたいに種族が違ったって恋仲になる二人はいるし、それはリーデンも祝福すると言っていた。ただし出生率は下がるみたいで、運よく生まれた子は両親のどちらかの種族に偏ってしまうという。
以前にララが「混血だけどゾウ科だ」って言っていたのは、そういう意味だ。
つまり何が言いたいかと言うと、俺は「見守ります」ってこと。
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