<奇病物語>

銀じゃけ

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第12話

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そんなある日の買い物の帰り道
花が咲いた。
赤い花。


「ううっ…久しぶりに花が。これは、カーネーション?」


カーネーションなんて初めて咲いた。
お母さんと最近一緒にいるから咲いたのかな?
なんか嬉しいからリアンとお母さんにも見せたいし、取って花瓶に飾っておこうかな。
早く2人に見せに帰らないと。

何か人が多い気がする、何かあったのかな?
ドクターの車だ。
誰かの家の前に止まってるみたい。
誰か倒れたりしちゃったのかな?
あれ?なんで、私の、店の前にドクターの車が、あるの……?


 「ちょっとすみません、通してください!リアン!お母さん!」

 「メリス、おかえり…あのね、お母さんが…」

 「お母さんが、どうしたの…?」

 「お母さんが目を覚ましてくれないの…さっき私が仕事から帰ってきたらベッドでお母さんが横になっていたから起こそうと思って声を掛けたら、全然返事をしてくれないの。だから慌ててドクターに連絡してきてもらって。今は寝ているだけってドクターが。」


頭が真っ白になった。
リアンが説明してくれているけど途中から声が遠くなっていく。
朝までは普通に話していたのにこんな急に目を覚まさないほどになってしまうの?
私が買い物に出ていなければ異変に気付く事が出来た?
嫌だ…
まだ話したい事もいっぱいあるのに。
“今は”寝ているだけってことはいずれ目が覚めるってこと?
頭がついて行かない


 「ちょっと失礼するよ。メリス、リアン久しぶりだね。ちょっと話がしたいんだけどいかな?」

 「ドクター…」

 「本人のいないお店の方で話そうか。ね?」


私たちはお母さんが寝ている寝室を後にして、寝室からは少し離れているお店の方でドクターと話すことにした。


-つづく-
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