転生

福猫

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第8話

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1時間後、治療を終えた怜香と夜空は蓮をベッドに仰向けで寝かせ目覚めを見守った。

「夜空、あとお願いね」

「怜香、ありがとう」

「何かあったら連絡してね」

「本当にありがとう」

「……」

夜空に向かって笑みを浮かべると怜香はその場から離れていった。

その後、夜空は壁に近づき座り込むと壁にもたれながら蓮を見つめた。

「目が覚めると良いけど」

そう言って10秒後、夜空は身体を倒し眠りについた。

2時間後、蓮が目を覚まし身体を起こした。

「助からないと思ったけど助かったんだ」

そう言って蓮は寝ている夜空に目を向けベッドから離れると夜空に近づき眠っている姿を見つめた。

「……」

無言で夜空の頬に蓮が触れようとしたその時、夜空が目を覚ました。

「蓮さん!」

元気になった蓮の姿を見て夜空は嬉しさで蓮を抱きしめた。

「夜空さん」

「目覚めて良かった」

「夜空さんが治療をしてくれたんですよね」

「俺1人じゃ無理だった、怜香の治療がなかったら…」

「怜香さんにお礼を言わないと」

そう言って蓮と夜空は互いの顔を見つめ合いそのまま唇を重ねた。

その頃、恭介は森林の中で苦しんでいた。

「俺のせいで蓮は傷ついた、あああー」

叫びながら歩きその後、倒れると黒い羽に黒いドレス黒い長髪の黒天使ベニーが現れた。

「私が転生した人間が暴走するなんて情けない」

「俺が…情けないだと」

そう言って恭介が立ち上がるとベニーが口を開いた。

「私も姉のアダンが好きだったけどあなたみたいに暴走はしなかった」

「……」

「どこに行くき」

歩いて離れる恭介にベニーが話しかけると動きを止め背を向けながら恭介が口を開いた。

「夜っちゃんの家に行くんだ」

「まだわからないの蓮さんの気持ち」

「蓮の気持ち?」

「……」

ベニーは恭介に近づき前に立つと口を開いた。

「夜空さんの命を奪っても蓮さんはあなたのものにならない」

「……」

「蓮さんが夜空さんを庇って傷ついた時点でわかったんじゃないの、蓮さんは夜空さんに惚れてるって」

「黙れ」

再び恭介が歩き出すとベニーは行かせまいと恭介の手首を掴んだ。

「手を離せ」

「離さない」

「俺がどう生きようとお前には関係ないだろ」

「関係あるわよ」

「俺があんたの転生した人間だから関係があるって言いたいのか」

「そうよ」

「嫌なら神様に頼んで他の人にしてもらったら」

そう言って恭介がベニーの手を離れさせようとしたその時、何も言わずベニーは恭介の唇を奪った。

その後、ベニーが唇を離すと驚いた顔で恭介が口を開いた。

「お前、正気か?」

「正気じゃなかったらキスなんてしないわよ」

「そうだよな」

「……」

「……」

恭介の会話後、ベニーと恭介は無言になり一瞬、顔をそらすも再びベニーと恭介は顔を合わせ見つめ合った。

その姿を天界から神様が見つめていた。
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