2人の王子

福猫

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第16話

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リタはベッドからおり理人を寝かせた。

リタは理人の頬に触れながら口を開いた。

「熱い」

口にした後、リタは水に濡らしたタオルを理人のおでこに置きそのまま見守った。

1時間後、理人が目を覚ました。

「目が覚めたか」

リタが声をかけると理人は身体を起こし口を開いた。

「あなたがタオルを?」

「熱があったからな」

「ありがとうございます」

「お前は倒れた俺を看病してくれたお礼だ…」

口にした後、リタは背を向けた。

「お兄ちゃんを傷つけないでください」

「……」

「恋人だった春菜さんに傷つけられお兄ちゃんの心は酷く傷ついています…だから…」

うつ向きながら口にする理人の目から涙が流れるとリタは振り向き顔をあげさせ唇を重ねた。

「……」

「……」

ゆっくり唇を離しリタと理人は見つめ合った。

「…あの?…」

理人が口にするとリタは背を向け口を開いた。

「落ち着かせるためにキスしただけだ…お前に惚れてないし…好きじゃない…」

「……」

背を向けているリタを見つめながら理人は手を伸ばしリタの服を掴んだ。

「……」

喋っていたリタは喋りを止め振り向き理人を見つめた。

「……」

「どうした」

無言で服を掴んでいる理人にリタは声をかけた。

理人が口を開いた。

「俺じゃダメですか?」

「……」

「俺は魅力ないですか?」

「……」

「いつも俺よりお兄ちゃんがモテる…俺は魅力ないですか…」

「……」

涙を流しながら口にする理人の姿を見てリタは服を掴んでいる手を離れさせそのまま理人を抱きしめ口を開いた。

「お前は美しい男だ」

口にした後、リタは理人を見つめながら手で涙を拭った。

「……」

「……」

リタと理人は無言で見つめ合った。

「思っていなくても嬉しいです」

「……」

微笑む理人を見つめリタは理人の身体を倒し覆い被さった。

「……」

驚いた顔で理人が見つめるとリタが口を開いた。

「お前を置いて結城の元に行こうと思ったがお前のことが気になって行けない」

「お兄ちゃんを傷つけないならお兄ちゃんの元に行って良いですよ」

「本当に行って良いのか?」

「お兄ちゃんのことが好きなんでしょ…俺を置いて行ってください」

「もう、喋るな」

口にするとリタは理人の左右の手首を掴みながら唇を重ねた。

その後、リタは唇を離しそのまま理人の衣類を全て脱がせ口を開いた。

「理人、今からお前は俺のものだ」

「……」

バスローブを脱ぐリタの姿を理人はドキドキしながら見つめた。

全裸姿になったリタは再び理人の唇を奪い口を開いた。

「理人、お前の心と身体は俺のものだ」

口にした後、リタは身体を奪い理人はリタに身体を捧げた。

こうして理人は銀の国の王子、リタと結ばれホテルで一夜を共にした。
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