伝説のナイト2

福猫

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第11話 浄化された黒い虎

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━大きな羽の中━

友也を抱きしめながら黒い虎は泣き続けた。

「友也…友也…」

「……」

黒い虎の声に反応した友也はゆっくり目を覚まし小さな声で口を開いた。

「泣かないで…」

友也が手を伸ばし涙を拭うと黒い虎は驚いた顔で見つめた。

「友也!」

「無事ですか?」

「友也のお陰で俺は助かった」

「良かった…」

「友也…」

「俺の命、もうすぐ消えます」

「友也」

「頼みがあります」

「頼み?」

黒い虎が問いかけると友也は黒い虎の耳元で頼みを口にした。

頼みを聞いた黒い虎は「わかった」と返事をし大きな羽の中から姿を見せると黒い虎は友也をお姫様抱っこしながら立ち上がりそのまま上空に飛んでいった。

「逃がして良いのか?」

「黒い虎から悪の心は感じなかった、闇珠、別荘に帰るぞ」

偉織が無人島の海辺から姿を消すと闇珠も姿を消し無人島の別荘に向かった。

━友也の家━

全裸姿で背中に羽が生えた黒い虎は部屋のベッドで友也を抱き寄せながら口を開いた。

「友也、部屋だぞ」

「2人きり…」

「あぁ、2人きりだ」

「黒い虎…最後にお願いがあります」

「何だ?」

「俺が眠るまでキスをしてください」

「わかった」

「……」

黒い虎の腕の中で友也が目を閉じると黒い虎は顔を近づけ唇を重ねた。

その後、黒い虎の目から涙がながれると友也は優しく微笑みながら光に包まれながら黒い虎の腕の中であの世に逝った。

「友也…あああー」

友也に惚れていた黒い虎が友也の死を悲しみ険しい顔になると黒い虎の身体から黒水晶が現れた。

「あの兄弟が憎い、黒水晶よ俺に力を貸してくれ」

「黒い虎よ、復讐はダメだ」

「復讐はダメだ?あの兄弟は友也の命を奪ったんだぞ」

「お前も兄弟の両親の命を奪った」

「……」

「黒い虎よ、戦いなどやめてやり直せ友也の為に」

「俺は人間の弱い心で生きているそんな俺がやり直せるわけないだろ」

「本気でやり直す気持ちがあるなら力を授けよう」

「お前ただの黒水晶じゃないだろ、正体を見せたらどうだ」

黒い虎が口にした後、黒水晶から黒長服姿の人間に変身した。

「やっぱりな」

黒い虎が口にすると黒水晶が口を開いた。

「返事は」

「返事?何の」

「本気でやり直す気持ちがあるなら」

「やり直したいよ、やり直して友也と生きたかったよ」

「わかった」

「……」

黒い虎が見つめると黒水晶は何も言わずその場から消えた。

「あのやろう」

黒い虎がベッドから降りたその時、黒水晶が偉織と闇珠を連れて現れた。

「……」

驚いた顔で黒い虎が見つめると黒水晶が口を開いた。

「今から俺と偉織と闇珠でお前を普通の人間にする、偉織、闇珠、変身しろ」

「……」

「……」

互いの顔を見つめながら頷くと偉織と闇珠は白ナイトと金ナイトに変身した。

その後、人間姿の黒水晶は宝石の黒水晶に変身し口を開いた。

「白ナイト、金ナイト、お前達の白水晶と金水晶を黒い虎に向けながら悪の心を浄化しろそうすれば黒い虎はやり直せる」

「わかった」

「わかった」

同時に返事をすると白ナイトの偉織と金ナイトの闇珠は白水晶と金水晶を黒い虎に向け力を送った。

黒い虎は白水晶と金水晶の光に包まれながら悪の心は浄化されその後、黒い虎は床にうつ伏せで倒れた。

その後、宝石の黒水晶はうつ伏せで倒れている黒い虎に近づき身体の中に入った。

そして黒い虎は普通姿に戻った偉織と闇珠の目の前で心優しい黒い虎に変身した。
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