赤い髪の海賊と猫

第8話

ウィルはルイと仲間達がいる自分の船に姿を現し声をかけた。

「ルイ！」

「ウィル様！」

「大丈夫か？」

「俺は大丈夫ですけど、仲間達の命が失われました」

悲しげな顔でルイが口にするとロウがウィルに向かって口を開いた。

「ルイと仲間達を助けに来たのか」

「当たり前だろ、ルイと仲間達は俺の大事な仲間だ」

「仲間達の命は奪った、ルイとテットの命を奪えばウィル、お前は俺のものになる」

「ロウ、元のロウに戻れ」

ウィルはロウに近づき見つめた。

「ウィル様！」

ルイが叫ぶとウィルはロウを抱きしめた。

その時、ウィルとロウの頭上に猫の眼の宝石が現れた。

ルイは驚いた顔で見つめた。

気づいていないウィルはロウを抱きしめながら口を開いた。

「ロウは俺にとって大事な仲間で友達だ」

「友達か…俺はウィルを愛してるのに…」

「俺が愛してるのはリーナなんだ」

「リーナって猫の眼の宝石を守っている黒猫か」

「あぁ」

「……」

「……」

ウィルとロウが無言で見つめ合った。

その時、頭上で宙に浮いている猫の眼の宝石がウィルとロウに光を注いだ。

その光をロウは浴びロウの身体から闇が消え猫の眼の宝石が現れた。

ロウは仰向けで倒れ猫の眼の宝石は闇から水晶の中に黒い猫の眼の形をした黒い水晶が埋め込まれた猫の眼の宝石に戻った。

「闇をまとっていた猫の眼の宝石が元に戻った」

手のひらを差し出すと猫の眼の宝石はウィルの手のひらにのった。

「リーナの元に戻れ」

ウィルが口にした後、猫の眼の宝石はウィルの手のひらから消え宙に浮いている猫の眼の宝石も消えた。

ルイはウィルに近づき声をかけた。

「大丈夫ですか？」

「大丈夫だ、ルイ、ロウを部屋に運ぶから手伝って」

「はい」

「……」

ウィルとルイはロウの身体を支えながらウィルの部屋に向かい中に入るとベッドに仰向けで寝かせた。

「暫く寝かせておこう」

「ロウが目を覚ますまで側にいてあげてください」

ウィルにお辞儀をするとルイは部屋を出てドアを閉めた。

ウィルは立ったままロウを見つめた。

それから暫くしてロウが目を覚ました。

「目が覚めたか」

ウィルが声をかけるとロウは身体を起こしウィルを見つめ口を開いた。

「俺、何でウィルの船にいるんだ？」

「覚えてないのか？」

「何を？」

「忘れてる方が良いかもな」

「ウィル、教えてくれ」

「知らない方が良い」

ウィルは部屋を出て運転席にいるルイに近づいた。

「ルイ」

「はい」

「ロウを家に運んでくれないか」

「それは良いですが、ウィル樣は一緒に行かないんですか？」

「俺は暫くの間、リーナの側にいてやりたいんだ」

「ロウを家に送ったらキャットフォレストに行けば良いんでしょうか」

「ロウを家に送ったらお前は自由行動しろ」

「ウィル様！」

「用事があるときは言うから」

「わかりました」

ルイが返事をするとウィルはその場から姿を消しルイは船を動かした。

ー洞窟の中の部屋の中ー

「……」

「……」

無言でリーナとテットが立ち尽くしているとウィルが姿を現した。