美少年戦士2

福猫

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第5話

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晶と都のことが心配で落ち着かない直道は部屋の中をウロウロした。

そこへ傷だらけの白猫が現れ開いた窓から中に入り倒れた。

直道はウロウロをやめ「シロ!」と言って白猫に近づき声をかけた。

「シロ、何があったんだ」

「晶が…」

「晶がどうしたんだ」

「晶が…豊に奪われ…た」

そう言って白猫は気を失った。

「シロ!」

険しい顔で直道は立ち上がり学校に向かった。

ー体育館ー

黒い気の中で気を失っていた都が目を覚ました。

「豊」

「目が覚めたか」

「都、晶さんは頂いたぞ」

「母さんをどうするきだ」

「俺のパートナーになって貰う」

「パートナー?」

「この学校を黒天使の城にする、俺が王、そして晶さんは俺を支える王妃」

「そんなの俺は認めない」

「お前は俺の友達、お前だけは助けてやる、俺の部下になれ」

「ふざけんな」

都が睨みつけると豊は笑みを浮かべそのまま背を向け口を開いた。

「俺の目的が叶うまでお前は黒い気の中でおとなしくしていろ」

「豊、待て…豊」

体育館を出ていく豊に何度も都が声をかけるも豊は体育館からいなくなり都は「豊ーー」と叫んだ。

ー保健室ー

目を覚ました晶はベッドから離れドアに近づいた。

ゆっくりドアを開き廊下を見た。

「いない」

廊下に出ると晶は警戒しながら廊下を歩き都を探し始めた。

「晶さん」

「……」

背後から名を呼ばれ晶は背を向けたまま立ち止まった。

「どこに行くんですか?」

「……」

返事をしないまま晶は剣先が尖った白と黒の水晶の剣を構えながら近づいてくる豊を警戒した。

「晶さん」

「……」

肩に触れられたその時、晶は振り向き剣を腹に突き刺し離れた。

「ゴメンね、豊君」

「晶さん、こんなもので俺の命を奪えると思ったんですか」

そう言って突き刺さった剣を外すと豊が口を開いた。

「返しますね」

そう言って豊は剣を投げ飛ばした。

投げ飛ばされた剣は晶の腹に突き刺さりそのまま倒れた。

「……」

腹の傷を魔法で治すと豊は晶に近づきお姫様抱っこした。

その後、豊は保健室に向かいベッドに晶を寝かせ剣を抜き取ると傷の手当てを始めた。

その頃、白い羽に白いスーツに白いマントを羽織った直道は体育館で黒い気の中に飛び込められている都に再会していた。

「都!」

「父さん、ここから出してくれ」

「少し離れてろ」

そう言って直道は白い剣の剣先に力を込め白い光線を出現させるとそのまま黒い気に放った。

白い光線に当たるも黒い気は壊れることはなかった。

「ダメか」

「父さん、後ろ」

「……」

都の言葉に直道は振り向きミョウとセイに目線を向けた。

そして直道は白い剣を構えた。

「敵は倒す」

「敵は倒す」

そう言ってミョウとセイが向かっていくと直道は白い剣で戦い始めた。

ー保健室ー

晶が目を覚ますと豊が覆い被さりながら見つめた。

「豊君」

「体育館であなたの愛する直道さんが俺の部下、ミョウ、セイと戦っています」

「え…」

驚いた晶が上半身を起こそうとしたその時、豊に唇を奪われ身体も奪われた。

「豊君、やめて」

「あなたは俺のものだ」

そう言って豊は晶の身体を奪い続けた。
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