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スクナビコナとチュルヒコ⑦―スクナビコナとチュルヒコ、とりあえずクエビコの元へと向かう―
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『…ねえ、これからどうするの……』
チュルヒコは不安そうにスクナビコナに問いかける。
キジヒコが遠くに離れてしまってから、スクナビコナはチュルヒコと共に周辺を簡単に探索してみた。
「うん、とりあえずさっきある程度この辺りの様子を見た感じだけど……」
『何かわかったの?』
「…うーん、僕は以前ここに来たことがあるような気がするんだ……」
『えっ、来たことがあるの?』
「ああ、僕はかつて地上を旅してたことがあるからな。それでこの辺りをざっと見た感じで言えば、ここは出雲からさほど離れてない場所だ」
『すごいな、そんなことまでわかるんだ』
「うん、まあ出雲はまさに僕が地上で普段住んでいた場所だからな。だから僕たちが今どの辺りにいるかもある程度わかったよ」
『そうなんだ!じゃあこれからどこに行けばいいかもわかるんじゃない?』
「…うーん、…そうだな、とりあえず美保に向かうとするか」
『ミホ?』
「ああ、そこに行けば〝クエビコ様〟っていう物知りの方がいらっしゃるのさ」
『ふうん、地上にはそんな方がいるんだね。じゃあ、そこに行くためにはどうすればいいの?』
「うん、とりあえず僕たちが落ちた湖ぞいに北西に向かって歩けばいいよ」
『そうか、じゃあそうしようよ』
「ちょっと待った!」
歩き始めようとするチュルヒコをスクナビコナが止める。
「せっかくお前がこうしているわけだ。僕を背中に乗せろよ」
『わっ、ちょっと待ってよ!』
嫌がるチュルヒコを無視して、スクナビコナは無理やりその背中にまたがる。
「さあ、出発!…って、うん?」
『…むぎゅううううう……』
なんとチュルヒコはスクナビコナの体重の重みに耐えられず、完全に潰れて地面に無様に這いつくばっている。
「…はあ、…チュルヒコ、本当にお前はなんの役にも立たないやつなんだな……」
スクナビコナはそれを見て、完全に呆れ果てながら言う。
『…ぼ、僕は君を背中に乗せるためにこの世に生まれてきたんじゃないよ……』
スクナビコナの言葉にチュルヒコは倒れながら抗議する。
「…ふう、しょうがないな……」
スクナビコナはチュルヒコに乗るのをあきらめて、その背の上からどく。地べたに這いつくばっていたチュルヒコも立ち上がる。
「…くっくっくっくっ、よーし、決めたぞ!」
その後いくらかの時間何事かを考えていたスクナビコナは突然笑い出し、ニヤニヤといった感じの笑みを浮かべながら、チュルヒコのほうを見る。
『なっ、スクナ、一体何を考えてるの?ものすごーく嫌な予感がするんだけど……』
チュルヒコはスクナビコナのいやーな笑みを見て、背筋が冷え冷えとするのを感じる。
「くっくっくっくっ、なーに、そんなにたいしたことじゃないよ」
『たいしたことじゃない?その割には、スクナは本当に嬉しそうだよね?こっちが、気味が悪くなるくらいに……』
「はっはっはっはっ、そりゃあもう、これは考えただけでも笑いが止まらないよ!」
スクナビコナは実に愉快そうに高笑いする。
『な…、何がそんなに面白いのかな?』
「ははっ、僕は決めたんだ!これからできる限り危険なことをやるって!」
『…な、なんで……?』
チュルヒコは突然スクナビコナが宣言した内容に面食らう。
『な…、なななっ…、なんでそんなことするの?』
「そんなに難しい理屈じゃないよ。僕が危険なことをすれば当然お前も危険なことをすることになる。お前がいっぱい危険な目に会ってそれを乗り越えれば、お前をそれだけ鍛えることができるってわけだ。どうだ、いい考えだろう!」
『どこがだよ!なんで僕がわざわざ危険な目に会わなきゃならないんだ!』
チュルヒコはスクナビコナの〝考え〟に猛抗議する。
「それは今のお前がひ弱すぎるからだよ。お前はこれから幾多の試練を乗り越えて、今とは比べ物にならないくらい強くなるんだ!どうだ、今から楽しみだろう?」
『ちっとも楽しみじゃないよ!僕は強くなりたくなんかない!旅はなるべく安全に楽しみたいんだ!』
「お前はそんなくだらないことを本気で考えてるのか?」
スクナビコナはチュルヒコの考えをあからさまにバカにする。
『僕の考えは全然くだらなくないよ!スクナのあえて危険なことをするって言う考え方のほうが僕に言わせればよっぽどくだらないよ!』
「ふん、そんな考え方をしている限りお前は永遠にひ弱なままだ!もうこれは僕の中では決まったことなんだ。お前はこれからさんざん危険な目に会い、それを乗り越えなきゃ生きられないわけだ」
『ぜったーい、嫌だ!』
「ふーん、そうか……」
あくまで拒絶の姿勢を崩さないチュルヒコに対して、スクナビコナは意味深な笑みを浮かべる。
「だったらいいよ、危険なことをしないことにしようか……」
『えっ、いいの?』
突然スクナビコナが自分のそれまでの主張を引っ込めたため、チュルヒコは拍子抜けする。
「もっともその場合、お前とはここでお別れだけどな」
『…え……?』
チュルヒコはスクナビコナの意図がわからず、呆然とする。
「つまりお前はこれから僕に頼らずこの地上で生きていかなくちゃならないってことだ。お前はお前自身だけを頼りに高天原に戻る方法を探したり、その日の食料を確保したりしなくちゃならないわけだ。じゃあな、せいぜい頑張れよ」
そう言うと、スクナビコナはその場から立ち去ろうとする。
『ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!』
そんなスクナビコナをチュルヒコは必死でとりすがって引き止めようとする。
「なんで止めるんだ?僕はお前に自由に生きていいって言ってるんだぞ」
『だだだ、だって僕は高天原への戻り方も、食べ物の手に入れ方も知らないよ!』
「そんなものはお前が自分で考えればいいだろ?」
『そ、そんな、無理だよ!とにかく僕にとってスクナと別れることは、死ね、って言われるのと同じことなんだ!お願いだから置いていかないでよ!』
「そうか、そんなに僕と別れたくないのか?」
スクナビコナは今までで一番凶悪な笑みを浮かべながら、チュルヒコのほうを見る。
『…う、…うん……』
「だったら一つ条件がある。その条件をお前はぜえーーったいに守らなければならない!守れるかな、チュルヒコ君?」
『…ま、守れるよ……』
チュルヒコは最高に嫌な予感がしたが、もはやスクナビコナの言葉を拒否できる状況ではない。
「よし、お前はこれからいかなるときも僕の言うことに従うこと、これが条件だ。どうだ、簡単だろう?」
それは今のチュルヒコにとっては自分自身の力だけで生きていくことの次に困難な条件である。しかし今のチュルヒコに選択の余地はない。
『…わ、わかったよ、これからはスクナの言うことはなんでも聞く……』
チュルヒコはしぶしぶ答えるのだった。
チュルヒコは不安そうにスクナビコナに問いかける。
キジヒコが遠くに離れてしまってから、スクナビコナはチュルヒコと共に周辺を簡単に探索してみた。
「うん、とりあえずさっきある程度この辺りの様子を見た感じだけど……」
『何かわかったの?』
「…うーん、僕は以前ここに来たことがあるような気がするんだ……」
『えっ、来たことがあるの?』
「ああ、僕はかつて地上を旅してたことがあるからな。それでこの辺りをざっと見た感じで言えば、ここは出雲からさほど離れてない場所だ」
『すごいな、そんなことまでわかるんだ』
「うん、まあ出雲はまさに僕が地上で普段住んでいた場所だからな。だから僕たちが今どの辺りにいるかもある程度わかったよ」
『そうなんだ!じゃあこれからどこに行けばいいかもわかるんじゃない?』
「…うーん、…そうだな、とりあえず美保に向かうとするか」
『ミホ?』
「ああ、そこに行けば〝クエビコ様〟っていう物知りの方がいらっしゃるのさ」
『ふうん、地上にはそんな方がいるんだね。じゃあ、そこに行くためにはどうすればいいの?』
「うん、とりあえず僕たちが落ちた湖ぞいに北西に向かって歩けばいいよ」
『そうか、じゃあそうしようよ』
「ちょっと待った!」
歩き始めようとするチュルヒコをスクナビコナが止める。
「せっかくお前がこうしているわけだ。僕を背中に乗せろよ」
『わっ、ちょっと待ってよ!』
嫌がるチュルヒコを無視して、スクナビコナは無理やりその背中にまたがる。
「さあ、出発!…って、うん?」
『…むぎゅううううう……』
なんとチュルヒコはスクナビコナの体重の重みに耐えられず、完全に潰れて地面に無様に這いつくばっている。
「…はあ、…チュルヒコ、本当にお前はなんの役にも立たないやつなんだな……」
スクナビコナはそれを見て、完全に呆れ果てながら言う。
『…ぼ、僕は君を背中に乗せるためにこの世に生まれてきたんじゃないよ……』
スクナビコナの言葉にチュルヒコは倒れながら抗議する。
「…ふう、しょうがないな……」
スクナビコナはチュルヒコに乗るのをあきらめて、その背の上からどく。地べたに這いつくばっていたチュルヒコも立ち上がる。
「…くっくっくっくっ、よーし、決めたぞ!」
その後いくらかの時間何事かを考えていたスクナビコナは突然笑い出し、ニヤニヤといった感じの笑みを浮かべながら、チュルヒコのほうを見る。
『なっ、スクナ、一体何を考えてるの?ものすごーく嫌な予感がするんだけど……』
チュルヒコはスクナビコナのいやーな笑みを見て、背筋が冷え冷えとするのを感じる。
「くっくっくっくっ、なーに、そんなにたいしたことじゃないよ」
『たいしたことじゃない?その割には、スクナは本当に嬉しそうだよね?こっちが、気味が悪くなるくらいに……』
「はっはっはっはっ、そりゃあもう、これは考えただけでも笑いが止まらないよ!」
スクナビコナは実に愉快そうに高笑いする。
『な…、何がそんなに面白いのかな?』
「ははっ、僕は決めたんだ!これからできる限り危険なことをやるって!」
『…な、なんで……?』
チュルヒコは突然スクナビコナが宣言した内容に面食らう。
『な…、なななっ…、なんでそんなことするの?』
「そんなに難しい理屈じゃないよ。僕が危険なことをすれば当然お前も危険なことをすることになる。お前がいっぱい危険な目に会ってそれを乗り越えれば、お前をそれだけ鍛えることができるってわけだ。どうだ、いい考えだろう!」
『どこがだよ!なんで僕がわざわざ危険な目に会わなきゃならないんだ!』
チュルヒコはスクナビコナの〝考え〟に猛抗議する。
「それは今のお前がひ弱すぎるからだよ。お前はこれから幾多の試練を乗り越えて、今とは比べ物にならないくらい強くなるんだ!どうだ、今から楽しみだろう?」
『ちっとも楽しみじゃないよ!僕は強くなりたくなんかない!旅はなるべく安全に楽しみたいんだ!』
「お前はそんなくだらないことを本気で考えてるのか?」
スクナビコナはチュルヒコの考えをあからさまにバカにする。
『僕の考えは全然くだらなくないよ!スクナのあえて危険なことをするって言う考え方のほうが僕に言わせればよっぽどくだらないよ!』
「ふん、そんな考え方をしている限りお前は永遠にひ弱なままだ!もうこれは僕の中では決まったことなんだ。お前はこれからさんざん危険な目に会い、それを乗り越えなきゃ生きられないわけだ」
『ぜったーい、嫌だ!』
「ふーん、そうか……」
あくまで拒絶の姿勢を崩さないチュルヒコに対して、スクナビコナは意味深な笑みを浮かべる。
「だったらいいよ、危険なことをしないことにしようか……」
『えっ、いいの?』
突然スクナビコナが自分のそれまでの主張を引っ込めたため、チュルヒコは拍子抜けする。
「もっともその場合、お前とはここでお別れだけどな」
『…え……?』
チュルヒコはスクナビコナの意図がわからず、呆然とする。
「つまりお前はこれから僕に頼らずこの地上で生きていかなくちゃならないってことだ。お前はお前自身だけを頼りに高天原に戻る方法を探したり、その日の食料を確保したりしなくちゃならないわけだ。じゃあな、せいぜい頑張れよ」
そう言うと、スクナビコナはその場から立ち去ろうとする。
『ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!』
そんなスクナビコナをチュルヒコは必死でとりすがって引き止めようとする。
「なんで止めるんだ?僕はお前に自由に生きていいって言ってるんだぞ」
『だだだ、だって僕は高天原への戻り方も、食べ物の手に入れ方も知らないよ!』
「そんなものはお前が自分で考えればいいだろ?」
『そ、そんな、無理だよ!とにかく僕にとってスクナと別れることは、死ね、って言われるのと同じことなんだ!お願いだから置いていかないでよ!』
「そうか、そんなに僕と別れたくないのか?」
スクナビコナは今までで一番凶悪な笑みを浮かべながら、チュルヒコのほうを見る。
『…う、…うん……』
「だったら一つ条件がある。その条件をお前はぜえーーったいに守らなければならない!守れるかな、チュルヒコ君?」
『…ま、守れるよ……』
チュルヒコは最高に嫌な予感がしたが、もはやスクナビコナの言葉を拒否できる状況ではない。
「よし、お前はこれからいかなるときも僕の言うことに従うこと、これが条件だ。どうだ、簡単だろう?」
それは今のチュルヒコにとっては自分自身の力だけで生きていくことの次に困難な条件である。しかし今のチュルヒコに選択の余地はない。
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