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スクナビコナとクエビコとアマノジャク②―アマノジャクとドブヒコ登場!典型的な悪役コンビ?―
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『クックックックッ……!』
「ハーッ、ハッハッハッハッ……!」
さて、スクナビコナとチュルヒコがクエビコと話している間中、その様子の一部始終を少し離れた場所から見ていた鬼とネズミがいた。
「ハハッ、ドブヒコよ。あいつら本当に間抜けだな」
鬼は灰色の毛をしたネズミに話しかける。その出で立ちは頭から一本の角を生やし、全身の皮膚は黒く、腰には皮の腰巻を巻いている、といったものである。体の大きさはスクナビコナとそう変わらない。
『ククッ、全くその通りですぜ、天邪鬼様。俺たちが見ているとも知らずにどこまでものん気なやつらだ』
アマノジャクという名らしい鬼の言葉にドブヒコという名のネズミは答える。
「フフッ、とはいえドブヒコよ、噂によればどうもあいつらは高天原からやってきたらしいじゃないか」
『ええ、このドブヒコがこの辺りのネズミどもから仕入れた情報によれば、やつらはつい今日の朝方にネコを退治してしまったとのことですぜ』
「ふん、もうすでに今朝の出来事がネズミどもの間に広まっているというわけか。それならあいつらもずいぶんと調子に乗っていることだろうな」
『まったくですぜ。あの小生意気なスクナビコナのほうは傲慢な態度になり、とぼけたチュルヒコのほうは誇大妄想にでもふけっていることでしょうよ』
「あんなくだらないゴミみたいな連中がただ単に運よくネコを退治したくらいで英雄気取りか。俺にとっちゃあこんな気にいらねえ話もないな」
アマノジャクは苦虫を噛み潰したような表情をしながら吐き捨てる。
『クックックッ、アマノジャク様。そんなあなた様のためにこのドブヒコ、いい考えを思いつきやしたぜ!』
「ほう、聞かせてみろ」
『とりあえずはあいつらのあとをつけて、あいつらの行動を逐一観察しやす』
「ふむ」
『そしてもしあいつらのやることがうまくいったら、あとでそれをそっくりそのまま真似て、うまくいかなかったら、途中から俺たちであいつらを出し抜くんでさあ!』
「フハハハハッ、いいぞ、それはいい考えだ!」
アマノジャクはドブヒコの〝考え〟を聞いて大喜びする。
「ふふん、さすがだ、ドブヒコよ。ドブネズミらしいこの世のどのようなドブよりも汚い考えだ!」
『ククッ、アマノジャク様のほうこそ、この世のどのような生き物よりもねじ曲がった根性をしてらっしゃいますぜ!…グハッ……!』
ドブヒコはいきなりアマノジャクの拳にその頭を殴られる。
「ふん、いいか、ドブヒコよ。このアマノジャク、断じて根性がねじ曲がってなどいない。ただ単に己の欲望に正直に生きているに過ぎないのだっ!」
『…な、殴ることはないだろ……』
ドブヒコはアマノジャクの言葉は一切聞かず、そのあまりの痛さに殴られた頭を前足で押さえて、地面にうつぶせにつんのめりながらぼやく。
「ハッハッハッハッ、スクナビコナ、チュルヒコ、このアマノジャクがお前たちをぶっ潰してやる、覚悟しろ!」
アマノジャクはすでにスクナビコナとチュルヒコが登り始めている近くの山のほうを見ながら、一人ほえる。
『…あ、あの、アマノジャク様……』
ようやく頭の痛みがいくらか治まったドブヒコがアマノジャクに言う。
「なんだ、ドブヒコ」
『あんまりここで油を売っていると、あいつらを見失うかも……』
「あっ、確かに!ふん、ドブヒコよ、貴様の話が長すぎたせいでこのままではやつらに置いていかれそうだ、急ぐぞ!」
アマノジャクは自分たちが出遅れた責任を全てドブヒコに押しつけ、スクナビコナたちを追うために山に向かって走り出す。
『…あーあ、また俺のせいか…、アマノジャクのヤツ、いつだって都合の悪いことはみんな俺に押しつけるんだから…。俺はアマノジャクの最大の被害者、いや〝被害ネズミ〟だ……』
ドブヒコは己の身の不幸を嘆きながら、アマノジャクのあとを追うのだった。
「ハーッ、ハッハッハッハッ……!」
さて、スクナビコナとチュルヒコがクエビコと話している間中、その様子の一部始終を少し離れた場所から見ていた鬼とネズミがいた。
「ハハッ、ドブヒコよ。あいつら本当に間抜けだな」
鬼は灰色の毛をしたネズミに話しかける。その出で立ちは頭から一本の角を生やし、全身の皮膚は黒く、腰には皮の腰巻を巻いている、といったものである。体の大きさはスクナビコナとそう変わらない。
『ククッ、全くその通りですぜ、天邪鬼様。俺たちが見ているとも知らずにどこまでものん気なやつらだ』
アマノジャクという名らしい鬼の言葉にドブヒコという名のネズミは答える。
「フフッ、とはいえドブヒコよ、噂によればどうもあいつらは高天原からやってきたらしいじゃないか」
『ええ、このドブヒコがこの辺りのネズミどもから仕入れた情報によれば、やつらはつい今日の朝方にネコを退治してしまったとのことですぜ』
「ふん、もうすでに今朝の出来事がネズミどもの間に広まっているというわけか。それならあいつらもずいぶんと調子に乗っていることだろうな」
『まったくですぜ。あの小生意気なスクナビコナのほうは傲慢な態度になり、とぼけたチュルヒコのほうは誇大妄想にでもふけっていることでしょうよ』
「あんなくだらないゴミみたいな連中がただ単に運よくネコを退治したくらいで英雄気取りか。俺にとっちゃあこんな気にいらねえ話もないな」
アマノジャクは苦虫を噛み潰したような表情をしながら吐き捨てる。
『クックックッ、アマノジャク様。そんなあなた様のためにこのドブヒコ、いい考えを思いつきやしたぜ!』
「ほう、聞かせてみろ」
『とりあえずはあいつらのあとをつけて、あいつらの行動を逐一観察しやす』
「ふむ」
『そしてもしあいつらのやることがうまくいったら、あとでそれをそっくりそのまま真似て、うまくいかなかったら、途中から俺たちであいつらを出し抜くんでさあ!』
「フハハハハッ、いいぞ、それはいい考えだ!」
アマノジャクはドブヒコの〝考え〟を聞いて大喜びする。
「ふふん、さすがだ、ドブヒコよ。ドブネズミらしいこの世のどのようなドブよりも汚い考えだ!」
『ククッ、アマノジャク様のほうこそ、この世のどのような生き物よりもねじ曲がった根性をしてらっしゃいますぜ!…グハッ……!』
ドブヒコはいきなりアマノジャクの拳にその頭を殴られる。
「ふん、いいか、ドブヒコよ。このアマノジャク、断じて根性がねじ曲がってなどいない。ただ単に己の欲望に正直に生きているに過ぎないのだっ!」
『…な、殴ることはないだろ……』
ドブヒコはアマノジャクの言葉は一切聞かず、そのあまりの痛さに殴られた頭を前足で押さえて、地面にうつぶせにつんのめりながらぼやく。
「ハッハッハッハッ、スクナビコナ、チュルヒコ、このアマノジャクがお前たちをぶっ潰してやる、覚悟しろ!」
アマノジャクはすでにスクナビコナとチュルヒコが登り始めている近くの山のほうを見ながら、一人ほえる。
『…あ、あの、アマノジャク様……』
ようやく頭の痛みがいくらか治まったドブヒコがアマノジャクに言う。
「なんだ、ドブヒコ」
『あんまりここで油を売っていると、あいつらを見失うかも……』
「あっ、確かに!ふん、ドブヒコよ、貴様の話が長すぎたせいでこのままではやつらに置いていかれそうだ、急ぐぞ!」
アマノジャクは自分たちが出遅れた責任を全てドブヒコに押しつけ、スクナビコナたちを追うために山に向かって走り出す。
『…あーあ、また俺のせいか…、アマノジャクのヤツ、いつだって都合の悪いことはみんな俺に押しつけるんだから…。俺はアマノジャクの最大の被害者、いや〝被害ネズミ〟だ……』
ドブヒコは己の身の不幸を嘆きながら、アマノジャクのあとを追うのだった。
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